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リアルチートは突然に _ゲーム初心者の最強プレーヤー_  作者: Lizard
第三章 蛇帝ニーズヘッグ
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四十四本目 撃退

遅くなりました……

申し訳ない(´・ω・`)


作戦会議を終えたショート達は、すぐさまリューセイの救出に向かった。

―――しかし、(ようや)くニーズヘッグの輪郭が見え始めた時、全員が走る足を止めた。



「おいおいおいッ!何だよあれ!!」

「……やっぱ飛んでるよな」

「見間違い……じゃないね」

「僕の目がおかしくなった?それともニーズヘッグがおかしい?」

「「「ニーズヘッグがおかしい」」」



救出隊の足を止めたのは、巨大な翼で宙に浮かぶ超巨大生物(ニーズヘッグ)だった。


そう、リューセイにニーズヘッグが翼を持っていることを知らされなかったのは、何もニーズヘッグの全体を見たことがある者が秘匿したからではない。

単に知らなかったのだ。

これはニーズヘッグの翼がとある能力で造られたものだからなのだが、そんなことは分かる筈が無かった。



「落ち着けお前らぁ!!わざわざ飛んでるってこたぁ、リューセイは生きてるってことだろ!」



曲がりなりにもトップクラスのプレイヤーであるショートや、他数名も立ち直っていたのだが、多くの面々はその異様な光景に目を奪われていた。


しかし、そのトッププレイヤー達も次の瞬間、唖然とした表情を浮かべた。

それも当然だろう。ニーズヘッグの左右に、真っ赤な禍々しい巨大な魔法陣が浮かんでいたのだから。



規格外のサイズの魔法陣。

その魔法が発動すれば地形が変わるレベルの攻撃範囲になることは目に見えている。



だが、ショートは直ぐに気を引き締め、一際大きく叫んだ。



「ほらな!生きてんだよ、アイツ(リューセイ)は!分かったらさっさと走れやてめぇらあああ!!」

「「「「おっ、おう!!」」」」



ショートの怒号を聞いて、(ようや)くプレイヤー達もハッとした表情で走り出した。

そう、空を飛ぶのも、魔法陣を描くのも。

()がいなければするはずがないのだ。

ならば、まだリューセイは生きている、と。

そう己を奮い立たせ、救出隊の面々は走った。



尚、これほどリューセイを助けようとするものが多いのは、勧誘が目的だからだったりする。

当然ギルドの長に言われて渋々従っている者もいたが。



「でもさショート、飛ばれたら作戦も消えない?」


鎧が擦れるガシャガシャという音が鳴る中、リリーがショートに問いかける。

そう……立てた作戦はニーズヘッグが地上にいることを前提としている。

当然、空を飛ぶのなら作戦など通用しなくなる。



「………気合いだ!!」

「無茶言うんじゃないわよ」



笑顔でそう言い返すショートに対し、エスティアのツッコミが飛ぶ。


しかしショートは――――



「元々無茶なんだからいんじゃね?」



最早深く考えていなかった。

周囲のプレイヤー達が「それでいいのか」という視線を向ける中、『紅鎧』の面々は別の反応を示した。



「「「確かに」」」



納得である。

こうなると作戦会議の時間の意味が無くなるのだが、張本人達は大して気にしていなかった。

なにせ相手は『蛇帝ニーズヘッグ』。

元々正面から戦いを挑んでも勝てないと判断していた相手だ。





「おっ、おいアレ!!」



そんな中、二つが重なり一つになった魔法陣が一際強く輝く。

それが発動した瞬間、まだかなりの距離があるにも関わらず、爆風に近い暴風が救出隊を通り抜けた。

遠方であったが故に、光の柱が地面に突き刺さるような、そんな神々しさすら覚える光景だった。


誰もが―――そうショートですらも―――諦めかけたその時―――



―――蛇帝の片翼が、斬り落とされた。



◇◇◇



『グゥガァァァオォァァァァ!!???』


 ニーズヘッグが地面に墜落し、痛みにのたうち回る。

 耳が痛いなぁ……いや比喩とかじゃなくて。


 痛みに慣れていないのか、随分と効いている。


 けど……正真正銘、さっきので最後だ。

 戦えないこともないけど、もうニーズヘッグに通用する手札はない。



『グゥゥ……貴様、人間にしてはやるようだな』

「それはどうも」



 どうやら痛みで冷静になったらしい。

 再び言葉として音が聞こえるようになった。



『……それよりも、貴様が持っているその卵……いや、何も言うまい。くれぐれも壊すようなことのないように』

「……え?」



 卵……?

 急にニーズヘッグが大人しい雰囲気になった。

 どうしたんだろ?



『ふむ……逃げるような真似は癪だが、これ以上戦えばこの体に支障を来す。我は退こう。――が、もしも()()()()を切り倒すようなことがあれば、その時は全力を以て貴様を潰す。よいな?』

「え?……うん?」



 我が兄弟?

 今ニーズヘッグは世界樹の方を向いてそう言ったけど……

 ……意味が分からない。



『さらばだ。再び相見えることがあれば、全力で戦おう』

「う、うん。そうだね」



 兄弟切り倒しても、もう一回会っても全力で戦うんだね。

 まぁ次に会う時は……倒せる力を身に着けてからにしよう。



 ニーズヘッグはその言葉を最後に、地面に潜っていった。

 尚、身体が巨大すぎるので潜るだけで地面に大穴があいた。

 ―――が、土魔法を使ったのか、すぐに穴は埋まった。



 ……随分と、余力残ってるね。

 いやそうでもないのか?





 《グランドモンスターの撃退に成功しました》




 うん…………

 展開急過ぎない?




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