四十二本目 ニーズヘッグ戦 ショート視点②
うええええええええ!??
ニーズヘッグパイセン何でここに・・・!?
『妙な気配がすると思って来てみれば・・・取るに足らない雑魚とは・・・儂に手間をかけさせおって!!』
何だよ妙な気配ってええええええええ!!
どこのどいつだそんなもん発してる奴は!!!
《グランドモンスター、『蛇帝ニーズヘッグ』との戦闘に入ります》
「ぎゃああああああああああ!?」
「何でこんなとこにいるんだよおおおおおお!!?」
「死ぬううう!!!」
マズい・・・!!
これじゃ世界樹どころじゃねぇよ!!
「畜生ッ!!なんでこんなとこに・・・!!お前らぁ!全力で逃げろ!!撤退だ!振り返るんじゃねぇぞ!!」
この人数でも正面から挑めば負ける・・・!!!
今は一旦引かねぇと!!
俺!!今こそ全力で!!
全力で逃げろオオオオオオ!!!!!
ハッ今俺の体は風と一体化して―――
ショートは調子に乗って後ろを振り返った。
ニーズヘッグが射殺すような眼力で睨みつけているのが見えた。
ませーーーーん!!!
「くっそ・・・!何だって今回に限って・・・!!」
「ショート」
うおおっ!!?リューセイかよ!!
ビビらせやがって・・・
「何だ!?今余裕ねぇんだが!?」
「僕が足止めするから、とりあえず全力で逃げて」
「はぁ!?おまっ、足止めって―――」
いくらお前でもそれは―――
「多分あいつがここに来たのは僕のせいだから。それじゃ、行ってくる」
「お、おいっ!!」
畜生・・・けど確かにこのままじゃ逃げ切れるわけねぇ・・・
アイツなら足止めくらいなら出来るか・・・?
ショートは一瞬だけ後ろを振り返った。
リューセイが淡く発光し、その腕が黒く染まっているのが見えた。
否、黒い鱗に覆われていたのだ。
いや何アレえええええ!!?
いっ、今はとりあえず逃げるんだ・・・!!
もしかしてアレがリューセイが言ってた【竜魔法】か!!?
畜生羨ましいッ!!
いや、今はそのことはおいとこう!!
「僕のせい」とか言ってたしそれも気になるんだが!!おいておこう!!
「全員止まるなよッ!!足止めはリューセイに任せろ!!」
「はぁ!?ギルマス、いくらなんでもそれは―――!!」
「エスティアの言う通りだぜ。アレは一人で止められるようなもんじゃねぇだろ」
「そうだよギルマス!!このままじゃリューセイ君が無駄死―――」
いや、それは無い
「アイツがやるって言ったらやるんだよ!!何か考えがあるみてぇだしな!!」
「――!いいのかよギルマス!!俺らも行かなくて!?」
「あの野郎が素直に足止めなんかするわけねぇんだよ!!」
「いやそれじゃダメじゃない!!やっぱり私たちで止めないと―――」
「そうじゃねぇ!!足止めなんざ言い訳だってことだ!!」
「なおさら意味分からないよ!?」
まぁリューセイのことをよく知らなかったら自己犠牲に見えるかもな・・・
アイツが自己犠牲とか・・・ないないない絶対ナイって
「いや・・・足止めっつーか・・・アイツ一人で戦いたいだけだから」
「「「「・・・」」」」
「分かったか?アイツが足止めだけで満足するわけねぇんだよ」
そういうやつだからな。
ニーズヘッグが相手じゃ討伐は無理だろうが・・・
他のモンスター、普通のエリアボスとかなら足止め(未来永劫)になると思うし・・・
ニーズヘッグでも足止め(撃退)とかならありえそう。
いやマジで。
「少なくともアイツがそんな簡単に死ぬわけねぇから」
「ギルマス・・・それフラグ・・・」
「フラグ百回掛けても平然と生き残る気がする」
「「「「(いや何その謎の信頼)」」」」
お前らが疑う気持ちも分かるけどな・・・
「何て言うかな・・・アイツが死ぬとこが想像出来ねぇんだよ」
「ギルマス・・・」
「寿命で死なないって言われても俺は驚かねぇぞ」
「いやそこは死ねよ」
「うん、そこは死のう」
「死のうぜ?」
アレ?何でリューセイの話なのに俺がイジメられてるみたいになってんの?