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リアルチートは突然に _ゲーム初心者の最強プレーヤー_  作者: Lizard
第三章 蛇帝ニーズヘッグ
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四十本目 決着



「うわぁ・・・アレはヤバいな」


 禍々しい赤色の魔法陣。

 それも、途轍もなく巨大な。

 魔法陣のことを詳しく知っているわけではない。

 けれど()()は不味い。

 まさかちっぽけな魔法の矢が出てくるだけ、なんてことはありえない。


 恐らく・・・数打っても当たらないから面での攻撃に来たってところかな?

 経験上魔法陣の大きさは魔法の規模で変化する。

 本当にあの規模の魔法が出てくるとしたら・・・


 思わず身震いした。



「ハハッ・・・『蛇帝』なんて大層な名前持ってるんだから、それぐらいはするか。それが本気かは知らないけど・・・早めに決めた方が良さそうだ」



 少なくとも、あれはニーズヘッグにとっても弱い力じゃない筈だ。

 【無謀な英雄】の効果でステータスが上がってる今なら・・・賭けてもいいかもしれない。

 どれくらい上昇するのかは知らないけど・・・ニーズヘッグほど格上の相手なら上がり幅も少なくない筈。


 失敗したら・・・死ぬよね。

 まぁ、それはそれで・・・格上の相手にここまで戦えたなら、悪くない。






「けどさ・・・死ぬ気は無いんだよなぁ!!!」


 ――――【王の剣】



 ぽつりと、そう呟いた。


 黒妖の刀身が白い光を放つ。


 【王の剣】。武器の攻撃力と耐久が上がる。

 けれど今重要なのはそっちじゃなくて。




 魔力を黒妖に籠める。

 残った魔力のほとんどを注ぎ込んだ。



 手に握る黒妖が更に輝きを増す。

 既に目くらましになるほど眩しい。


 【王の剣】は魔力を使って次の一撃を強化するスキル。

 そして【撃龍閃】は物理攻撃の威力次第で威力が変化する。

 【撃龍閃】は魔力を消費して威力を上げることも出来るけど、物理攻撃を強めた方が上昇幅が大きい。



 逢魔の分も、全て次の一撃に注ぎ込む。

 外しても、効かなかったとしても終わり。

 正真正銘の賭け。


 でも・・・だからこそ気分が高まる。

 余計なことを、この一撃以外のことを、全て思考から外す。



 魔法陣が強く輝く。

 ついに発動するのかと思ったら、移動しだした。

 二つの魔法陣がニーズヘッグの正面まで移動し、重なる。

 どうやら攻撃を警戒してるみたい?


 まぁ、それならそれで。

 やることは変わらない。




 【撃龍閃】用を残して、魔力を籠め終わった。

 身体強化系の魔法でどんどん魔力が減ってる・・・あんまり時間はないな。



 二つの魔法陣が合わさってより複雑な模様になった巨大な魔法陣。

 それが眩く輝きだした。

 まるで太陽がもう一つあるような、そんな感覚だった。

 辺り一帯が赤に染まる。

 世界そのものが色づいたような錯覚を覚える。




『グゥゥルオアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!』


 蛇帝の咆哮。

 大地が震え、頭を打つ様な感覚に陥る。


 けれど、本気を感じさせるその轟音に笑みさえ浮かんだ。



「・・・光栄だな。蛇帝にそれだけの力を出してもらえるなんて」


 この言葉は嘘じゃない。


 全力だとは限らない。

 だとしても、だとしてもそれに近い力を出してもらえる。

 圧倒的な格上相手に。

 それが素直に嬉しかった。



 刀を上段に構える。



 ――――全てを切り裂き


 ――――悉くを両断する


 ――――遮るものを許さず


 ――――敵の全てを凌駕する




 神経を研ぎ澄まし、全力で振る。

 その一念だけを心に留める。





 ニーズヘッグの魔法陣から、膨大な量の光が放たれた。

 それは、天から降り注ぐ紅色の光。

 まるで蛇帝のブレスを巨大化したような魔法。


 途方もなく巨大な魔力の塊。

 けれど、範囲が広い分、対抗できないわけじゃない。







 大気を焼くような魔法を前に、心を鎮める。




 黒妖を振り下ろした。

 僕が今出来る、全力の一撃。






 刀を振る直前、ニーズヘッグが身体を逸らしたのが見えた。



―――()()()()()()()()()()





 振られた刀身から、巨大な魔力の刃が放たれる。



 赤い光線とぶつかった瞬間、膨大な魔力が唸り、一瞬も拮抗することなく白い魔力の刃が斬り進んだ。

 けれど蛇帝の魔力は散ることが無く。

 左右に分かれた魔力は、そのまま押し進む。




 轟音と、破壊の波。

 僕の立ち位置から数メートルほど離れた地面を紅い魔力が駆け抜ける。



 全て終わった時には、僕の左右の地面が抉れ、消し飛び、深い崖になり―――





『ギャゥァアオオオオオオオオオオアアアアアアアアアア!?!?!!』




――――蛇帝の隻翼が、地に落ちていた。

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