四本目 初ボス討伐&ぼっち応援称号の入手
後書きを見るとリューセイの凄さが分かります。
今回は視点がリューセイなので分かりにくいけど(若干ネタバレ)
《ボスエリアに入りました》
夕飯を食べ終え、ゴブリンと戦闘をした平原を進んでいるとそんな機械的な声が脳内に届いた。
「ん?ボスエリア?」
突然すぎない?前触れとかないんだね。いや僕が知らないだけ?
《ボスモンスター『クリムゾンボア』との戦闘に入ります》
その言葉が聞こえた瞬間、木々をなぎ倒し真っ赤な猪が現れる。
―――――――
クリムゾンボア Lv25
ルミリエイスのエリアボス
―――――――
「クリムゾンボア、か。でっかいなー。てかルミリエイスって何?」
見ればわかる。普通の猪じゃない。
多分4mくらいかな?牙もかなり長い。1mぐらいはあると思う。
ボスエリアってことは多分ショートが言ってたフィールドのボスだろう。
ふふっ、さっきまでゴブリン達しか出てこなかったからなぁ。
ボスってくらいだし比べ物にならないくらい強いはず!
期待が膨らむねぇ。
「さて、やりますかー」
「ブモォッ!!」
猪が突進してくる。
あれは食らったらヤバそうだなぁ
まぁ、当たったらの話だけど。
突進してくる猪へ向けて走り出す。
そのまま地面へすべりこみ・・・即ちスライディングをする。
「身体が無駄に大きいせいで足下ががら空きだよ」
猪の腹の下を通り・・・ショートから教えられた〈インベントリ〉から取り出した剣で腹を切る。
が、狭い空間では当然剣を振る事は出来ず、表面の皮を斬っただけだった。
現在使っている剣は―――
―――――――――
〈木の剣〉
Damage+2
耐久:20
ほぼすべての町で買える木で出来た剣
壊れやすく攻撃力も低い代わりにとても安い。
初心者御用達
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というもの。
最初から持っているお金だけで買えたからこれにしたんだけどね。
正直初心者なのに御用達という表現はどうかと思う。
ちなみに所持金を知りたいときはそのまま頭の中で念じる。
すると、
―――――――
MONEY
1000G
―――――――
と出てきた。
木の剣を買い、ゴブリンのドロップアイテムを売ったところ、現在の所持金は1700Gになっている。
・木の剣-100G
・ゴブリンの魔石+100G ×4
・ホブゴブリンの魔石+400G
というのが詳細。
あと、ゴブリンやホブゴブリンがドロップした石は魔石というらしい。
おっと、考え事する時間じゃなかったね。
木の剣では大猪の腹を切り裂くことはできなかった。
けれど、どうやら突進した相手が逃げもせずに自分の腹を切りつけたことに驚いたらしく、
「ブモッ!?」
と驚愕の声をあげながら急ブレーキ。すぐに後ろを振り返ろうとする。
が――――
「遅い。無駄な動きが多いよ」
大猪が振り向いた瞬間に木の剣を左目につきたて、猪の牙を蹴って離脱。
どうやらこのゲームは血が出ることがないらしい。
代わりに赤いエフェクトが舞っている。
《部位破壊・目 『クリムゾンボア』の目を破壊しました》
おっと、部位破壊なんてのもあるんだ。多分体の一部が使えなくなると出てくるんじゃないだろうか。
「ボオオオオオオ!!」
大猪が悲鳴を上げ、怒りに染まった顔で再び突進。
けどなぁ・・・
「さらに単純になってどうするのさ」
直前で躱す。すると、そのまま背後にあった大岩にぶつかった。
おっと、岩が割れちゃった。やっぱりパワーはあるんだね。
「でも力だけじゃ・・・足りないよ」
岩にぶつかり勢いの止まった大猪の首筋に一閃―――
大猪の首に赤い線が奔る。まぁ真っ赤だからすごく分かりにくいけど。
どうやらこのゲームでは首の一部を切ったからといって即死なわけではないらしい。
「根性なのか、システムなのか。まぁどっちでもいいか・・・ん?」
大猪が立ち上がる。しかし、様子がおかしい。
真っ赤だった体の毛皮の色が・・・いや、毛皮ではない。周囲に赤黒いオーラのようなものが出ている。
これは――――
「ボス特有のパワーアップってとこかな・・・面白い!!」
口角が上がるのを感じる。
雰囲気で分かる。先ほどまでに比べれば、随分マシになってる。
僕の顔は今ニヤけてるのかな。
「来い」
「ゥガァァァ!!!!」
大猪の咆哮が響き渡る。
これは・・・鼓膜が破れちゃいそうだなぁ。
あ、回復魔法で鼓膜って直せるのかな?破れちゃったらやってみよう。
「ガァッ!!!」
「よっ、と」
大猪の牙による突きを横に跳躍して回避。
すると首を振って牙をぶつけようとしてきた。
それ・・・現実なら首ちぎれると思うんだけど・・・
今度は背後に跳躍して躱す。
大猪が忌々しそうに睨みつけてくる。
「ガァァ・・・!!」
「ははっ、怖いなぁ。さっきから声が猪っぽくないよ?」
怖いと言いつつも笑ってしまう。
言葉は分からずとも馬鹿にされていることを理解したのか、クリムゾンボアは駆け出した。
「・・・ここまでかな」
「ブ・・・ガッ・・・!?」
真横に跳躍。タイミングを僅かにずらし、剣を振るう。
先ほど首を切りつけた時は、大猪の右側から斬る。
今度は左から。
「ふっ!!」
気合の声と共に、一閃
首の右側にあった赤い線と太刀筋がちょうど重なるように切断。
現実なら首が落ちていたと思うけれど、このゲームではそんなことはないらしい。
まぁこのゲーム子供も出来るようになってるからね。
さすがにそこまでリアルにはしないか。
まぁゴブリンは腕とか普通に切れてたけど
腕と首じゃ扱いが違うのかな?
なんて考えていると――――
《エリアボス『クリムゾンボア』の単独討伐に成功》
《〈紅い大猪の牙〉を入手しました》
《〈紅い大猪の毛皮〉を入手しました》
《【孤高の戦士】の称号を手に入れました》
《【孤高の僧兵】の称号を手に入れました》
おおっ!?
何か一杯頭の中に流れてきた。
まぁとりあえず、ステータス確認してみようか
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Name:リューセイ
JOB:聖法士
Lv:8
HP:142(初期値100+1Lvごとの増加量6×7Lv)
MP:324(初期値240+1Lvごとの増加量12×7Lv)
STM:135(初期値100+1Lvごとの増加量5×7Lv)
STR:142(初期値100+1Lvごとの増加量6×7Lv)
AGI:142(初期値100+1Lvごとの増加量6×7Lv)
VIT:142(初期値100+1Lvごとの増加量6×7Lv)
(通常のステータス増加量は1Lvごとに5)
Skill:【剣術】Lv2.【無手術】Lv3.【身体操作】Lv2.
【回復魔法】Lv1.【火魔法】Lv2
称号:【孤高の戦士】【孤高の僧兵】
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おおー結構ステータス上がってるね。剣は耐久がないからクリムゾンボア以外には使ってないんだけど・・・Lv2になってる。
聖法士はMPが魔導士の次に上がりやすいらしい。けどそれ以外も少しだけ上がりやすいみたいだ。
確か近接系の職業ならHP・STR・AGI・VITだけ上がりやすいはずだから、聖法士は魔導士と近接職の中間なのかな?
まぁかなり中途半端だから人気ないのもしょうがないか・・・パーティの役割分担ではやりづらいし。
得意の回復魔法も他の人が使えるんじゃね・・・近接職でもスキルが上がりにくいだけらしいから。
魔法系のスキルは初期のものを最初の街で〈スキルブック〉として入手できるみたい。お金が全く足りなかったから買ってないけどね・・・
無詠唱が出来ないなら誰でも使えるわけじゃない気がする。
ただ、スキルLvが低いとたとえ無詠唱で使えても魔力の消費が大きいらしい。
さらに、無詠唱だと集めた魔力が足りないと威力は落ちる。逆に無詠唱なら本来弱い魔法もつぎこむ魔力次第で強くなるらしいけどね。
まぁ聖法士もソロでやるならいいんじゃないかな?回復魔法まだ使ってないけどね
新しく手に入れた中で気になるのは称号ってやつだね。名前は似てるけど、どういうものなのかな
えっと、意識を集中すると詳細が見れるはず・・・
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称号【孤高の戦士】
取得条件:ボスを適正レベル未満で単独討伐する
効果:パーティを組んでいない時にステータス微増
――――――
いい効果だとは思うんだけど・・・ぼっちを応援する称号かな?
名前もかっこいい・・・けどぼっちをかっこよく言い換えただけな気がするのは僕だけ?
うん、僕は試しにソロやってるだけだから気にしないようにしよう。
次。
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称号【孤高の僧兵】
取得条件:ボスを適正レベル未満の聖法士で単独討伐する
効果:魔法職の職業特性による物理ダメージ削減と被物理ダメージ増加を軽減する
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おおー!これはいいね!
聖法士は職業特性で物理ダメージを70%に下げ、逆に物理ダメージを食らった場合120%に増やすらしい。
まぁ、剣を振る速度でダメージが変化するみたいだから、ボス相手にも通用してたけど。
これならもっと戦いやすくなるね!
けどぼっちを応援する称号多くない?
アイテムも手に入ったみたいだけど、今すぐ使えるようなものではないかな。
さっきの戦いで木の剣が壊れちゃったからなぁ・・・
まぁ、素手でも問題ないか。ショートが言うにはエリアボスを倒して少し進めば街があるらしいから、そっちに行けば買えるだろう。多分。
次の街に行ってみよー!
あれ?そういや前の街の名前なんだっけ?
※ルミリエイスです
『クリムゾンボア』
適正Lv20(適正Lvは最大人数のパーティの平均値を想定して設定されています。パーティの最大人数は六人。つまり六人のLv20プレイヤーで油断しなければ勝てるよ!っていう強さ)
毛皮は切り裂くことが難しく、打撃や魔法での攻撃が最良。
その突進の速度は相当なもので、適正Lvに達していても簡単に躱せるものではない。
攻撃する際は走っている時を狙うよりも、重戦士が動きを止めて攻撃するのがよい。走っているときにぶつかろうものなら、盾がなければ重戦士ですら即死する。魔法や弓による遠距離攻撃は有効なものの、そちらの方を先に狙おうとするため、魔法職では適正Lvの二倍くらいないと躱すのは至難の業。AGI250くらいで安定して躱せるようになる・・・けど油断するとやっぱり死ぬ。
岩にぶつけるのが一番いいけど、岩の近く、それも猪にぶつかる寸前で躱さないと普通に方向転換してくる。猪突猛進とか何それおいしいの?
体力が3割未満になると【狂獣化】が発動し、ステータス軒並み上昇、加えて怯まなくなる。これはほとんどのボスに言える。
結論:ルミリエイスからは離れてないけど、よく知らない初心者が挑んで死に戻りしてるので要注意!
適正Lvのパーティ二つくらいでいくとほぼ確実!
上記は〔BFOモンスター掲示板〕からの引用です。