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リアルチートは突然に _ゲーム初心者の最強プレーヤー_  作者: Lizard
第三章 蛇帝ニーズヘッグ
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三十七本目 蛇帝ニーズヘッグ


 ニーズヘッグのもとへ向かう道中、今回の作戦内容の説明を受けた。

 重要なのはニーズヘッグがいる場所。

 ナーガみたいに薄暗い場所にいるのかと思っていたけど・・・どうやらそうじゃないらしい。

 ニーズヘッグがいるのは、巨大な木。

 少なくとも数百メートルはある木らしい。

 そこに巻き付いた状態で存在しているのだとか。



ニーズヘッグがいる木を"紅鎧"を含むプレイヤー達は世界樹と呼ばれるものだと考えていた。

これはニーズヘッグという化け物が神話において世界樹の根に噛り付いている蛇、またはドラゴンのことを指すからだ。

しかし、これは正しいと同時に、間違っている。

あまりに現実離れした大きさであるが故に、プレイヤー達は考えなかった。

ニーズヘッグが巻き付いているのが、世界樹の末端にすぎないという可能性を。




 道中はモンスターがいなかった。

 まぁニーズヘッグが聞いた通りの化け物なら当然か・・・


 それにしても、ニーズヘッグが『十二体の最強種』の一体なら、ナイアードよりも強いのかな?

 ナイアードは『最強種』に属していないらしい。

 なんでも、『十二体の最強種』はその名の通り強いだけでなく、人間の敵である場合に名付けられるとか。

 ナイアードより強いとしたら、さすがに手強いな・・・

 まぁ、どちらにしろ、楽しませてもらおうじゃないか。



リューセイが戦闘意欲を高めているところ、前を歩いていたプレイヤー達が騒ぎ出した。


「見えてきたぞ!世界樹だ!!」

「おお・・・!あれが・・・!!」



感嘆の声を聞いたリューセイも人々の隙間から覗いた。


まだかなり距離があるものの、それが途方もなく巨大であることは分かった。

まさに天を衝く巨木。

世界樹と考えられるだけはある。

距離がありすぎて緑の(もや)にしか見えないが、それが鬱蒼と生い茂る葉であることは分かった。

壮大で幻想的。

圧倒的な存在感。

プレイヤー達は一斉に騒いでいた。

―――が、一部の者は違う理由からだった。



「おい・・・お前ら。アレ・・・ニーズヘッグが巻き付いてるように見えるか?」

「・・・いや、見えねぇ」

「だよなぁ・・・俺の幻覚じゃねぇよな」



ニーズヘッグがいない。

既にニーズヘッグと戦ったことのある者達の様子を見て先ほどまで歓声を上げていた者達も静まった。

ほとんどの者は戸惑いが隠せず、焦りが見えていた。

作戦はニーズヘッグが木に巻き付いていることを想定して立てているのだ。それは当然だった。


「ど、どうすんだ・・・?作戦じゃ気に巻き付いてるとこに動き出す範囲外から攻撃するじゃなかったのか!?」

「落ち着け・・・まずニーズヘッグがどこにいったのかを――――」


不意に大地が鳴動する。

暫く揺れと地鳴りが続いた。


「お、おい何だよコレ!」

「予定外だよ畜生!!」


プレイヤー達の罵声が響く中、()()は現れた。




最初に、集団の前方で爆発が起きたように地面が吹き飛んだ。

いや、正確に言うのなら、持ち上げられたと言うべきだろう。

続いて耳が痛くなるほどの轟音が響く。

凄まじい速度と力によって地面が破壊される。



当の本人、いや本蛇にとってはただ地面から出ただけ。

しかし、それだけの動作がプレイヤー達にとっては天空から岩石を落とす攻撃のように思えた。



現れたのは、ナーガが赤子に見えるほどの大蛇。

胴の太さは二十メートルほどあるように見える。

身体の大部分を地中に隠しており、長さは分からない。

が、胴回りから考えても間違いなく数百メートル、下手をすればキロメートルの単位にも届くかもしれない。

真っ青な鱗、金色に輝く瞳。

口元には三対の巨大な牙がそれぞれ違う角度ではみ出している。

背中には水生の生物の様なヒレがあった。

更に頭頂部には鱗がある角、としか言い表せない突起物が二本生えていた。

顔の形は蛇らしさもあるのだが、明らかに異形。

その姿は龍の特徴が混ざっているように思えた。

そしてそのどれもが巨大。

今まで戦ってきたどの敵ともスケールが違いすぎる相手に、リューセイは冷や汗を流した。




『また羽虫がぞろぞろと・・・鬱陶しいものだ』



神の領域に至った蛇の王、一つの生物の到達点がリューセイの前に現れた。

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