一本目 VRゲーに挑戦する武術の達人
いやー!VRもの書いてみたくなって書き始めました!!
魔法の設定等はややありきたりかも。
※2018/6/23 若干内容変更しました
主な変更点
・龍成と彰太の会話で「一ヶ月前くらいにしたろ?」→「二ヶ月くらいまえにしたろ?」
20XY年、フルダイブと呼ばれる形式のMMORPGが発売された。それまでに発売されていたVRゲームとは一線を画すAI技術と脳波の読み取り速度、動きの正確性、そして何より過去最大最高規模の世界という、まさに夢のような世界を売りにしているのである。
そのゲームの名前は―――
Battle Frontier Online、
通称『BFO』。
製作者曰く「リアルなファンタジー」。
現実で出来ることは全て実現可能。
それでいながら現実には存在しえない『魔法』を主とした少年が一度は夢見るものが存在する世界。
当然の如くその他のゲームの人気を総取りするように世間の目はBFOに向けられた。
それまでも様々なVRゲームが存在していたものの、BFOは内容的にも技術的にも革新的と言える。
故に、このゲームを遊ぶためには最新式のVRセット、このBFOのために開発された『VR-EX』――通称Vレックス――は飛ぶように売れ、瞬く間に品切れとなった。
だが、そんな最新式なVR機器は、当然ながら安い代物ではない。学生どころか大人ですら躊躇するような値段設定、加えてそもそもの販売台数が決して多くないということもあり、このゲームを特に欲しがるであろう学生達の中で手に入れているものはそう多くなかった。
そして、そんな『VR-EX』を間違いなく持っているであろう人物が、放課後の教室に残っていた覇城 龍成の視線の先に、いる。
「なあ龍成ッ!ゲームしようぜ!!」
またか……
今までも何度か目の前の、赤羽彰太に誘われたことはある。けどなぁ、そうなると鍛練に使う時間が……
「フッフッフッ、龍成、お前、また鍛練に使う時間が~とか考えてたろ?」
「何で分かったの?」――と首を傾げていると、げんなりした表情で彰太が口を開いた。
「何度も同じ理由で断られてんだから当たり前じゃね?」
「そうなの?」
「何でそんな時は鈍いんだよ・・・って、そんなことはどうでもいいんだ!今回のゲームは今までとは違うぜぇ?」
「へぇ、そうなの?」
「ああ!今回のもVRなのは変わらないんだがな、何を隠そう、今回ご紹介するのは、あの!B・F・O!!」
「??どんなゲーム何だい?」
首を傾げて聞いてみると、彰太が「マジかコイツ」という顔で驚いている。
「マジかコイツ」
あ、言った
「BFOってのは最近話題の最新型VRMMORPGだろうがっ!!」
再び首を傾げて記憶を探る―――ふと、数日前に目の前の人物から聞いた話を思い出した。
「......あ、確か売り切れ続出してるゲームだっけ?」
「そうそう!さすがに知ってたか!」
「君に教えられたからね。でも数か月前だったと思うけれど」
「あー・・・そういやそうだったな!」
「忘れないでよ、って僕も人のことは言えないか。どんなゲームなんだい?」
「他のVRゲーとは違う圧倒的な動作の正確さ!より現実に近い動作ができるだけでなく、何よりも戦闘が臨場感溢れる、と言うと何か変だがリアルな闘いが楽しめ――」
「よしやろう」
「――って早いなオイッ!?今まで散々誘った俺の苦労は一体ッ!?畜生!!」
「やってほしいのかほしくないのか……そもそも何で彰太はそんなに僕を誘うの?」
「フッ……親友を我が遊戯に誘うのは当然の事だろう」
今更な僕の質問に、彰太はあからさまに演技な喋り方で返した。
「――で、本音は?」
「お前絶対やらかすもん」
「……彰太が三階から落ちていく姿は見たくないなぁ」
「すいませんでした!!」
そんな会話をしながら、ふと気づいたことを彰太に尋ねる。
「でも、さっき言ってたように売り切れ続出で入手困難じゃなかったの?それに、僕はそんな高価なものは買えないよ?」
「それなら大丈夫だ!俺が持ってる!!俺の分ともう一つ!!BFO専用VR機器、『VR-EX』をな!!」
「……何で持ってるのさ」
不思議に思った。
それだけの人気商品を、一人が何個も入手できるものなのか。
僕の質問に対して、彰太はややバツが悪そうに口を開いた。
「いや……プレイ出来る確率を少しでも上げようと、複数の入手ルートを用意してたんだが……奇跡的に二つも、な?」
「……」
彰太は……生粋のゲーマーだ。
多くのクラスメイト達にはそう思われてはいないけれど。
見た目はむしろスポーツ系、だけど実際はかなりのオタク系。
そんな彼にとってゲームをしない世代すらも騒ぐようなゲームは何としてでも手に入れたい代物だったんだろう。
「とりあえず、お前はBFOをやってくれるってことで、いいんだな?」
「うんいいよ」
念入りに聞いてくる彰太に即答する。
「ほんと今までの俺の苦労・・・この戦闘狂ッ!!」
「人聞きが悪いなぁ。実戦にいいかもって思っただけだよ」
「VRゲーが実戦て・・・」
「それ以外にも理由はあるよ。リアルな戦闘が出来るRPGなんでしょ?ワクワクするよ」
「・・・まぁ、楽しんでもらえそうで何よりだ」
「うんうん」
「ま、とりあえず、大して面倒でもないからさ、お前の家行ってセッティングしてやるよ」
「いいのかい?」
「ああ。俺としては、BFOでお前には俺の戦力になって欲しいって思いもあるからな。まぁ自由にやってくれてもいいが。あとは・・・お前が一体何をやらかすかすっげぇ楽しみなんだよ」
「絶対最後のが理由でしょ?でもなんでやらかす前提なのかな?ん?」
「へっ、お前がやらかさないわけがねぇだろうがっ!」
「よしわかった。そのゲームでは主に君を殴り倒そう」
「なに笑顔で怖ぇーこと言ってやがるっ!?いやそうじゃなくてすいませんっした!!」
「分かればいいよ。さ、帰ろうか」
「おう!」
◇◇◇
家に着いた。
僕の家は道場でもある。『覇城』という剣道の流派で、幼い頃から父に教えられていた。
まぁ、僕自身は他にも空手や柔道なんかもやってたけど。
「さーて、セッティング開始だ!!……つーか相変わらず何もねぇな」
「うるさいよ」
特に何もない、それこそベッドや丸机といった生活用具くらいしかない部屋、僕の部屋で彰太が叫んだ。
「せめて本棚やらなんやら、もう少し物を置けばこの殺風景な部屋も変わるだろうに」
「いいんだよ、別に。特に困るわけじゃないから」
事実、基本的に家の道場部分で鍛錬をすることが多いし、特にこの部屋に家具はこれ以上必要ない。
床に座って何かを弄る彰太に肩を竦める。
「まぁ俺が言う事でもないけどな……終わりッ!」
「えっ?」
ものの数分も経ってない。
早すぎないかな?
「まぁ、本体の設定はもう終わってたからな。ぶっちゃけコンセントをさすだけだったりするわけだよ」
「そういうもんなの?」
「インストールさえ終わってりゃこんなもんよ」
「じゃ、ここを押して、これ被ってみろ。そしたら視界が明るくなるから、そうなったら〈バトルオブフロンティアオンライン起動〉って言ってみ?あ、別に〈BFO起動〉でもいいから」
そう言って彰太が差し出してきたのは、恐竜、T-Rexのマークが描かれた機械的なヘッドギア。
これがVR-EX...か。思ったより小さい。まぁそれでもバイクのヘルメットよりは大きいけど。
「あ、始める前にトイレと水分補給すましとけよ。そしたら、ベッドで横になって被ってみろ」
「分かったよ」
トイレと水分補給をすませ、ベッドで楽な姿勢になって、そのVR-EXを被る。
その状態で彰太からいくつかゲームの説明を聞いていると、目をつぶっているハズなのに、視界が明るくなった。
説明が終わったら、言われた通りにつぶやく。
「BFO、起動」
瞬間、意識が途絶えた。
はい、話の流れ的に一旦区切りました。続きが気になりますねッ!まぁ私作者なんですけど!!
(なにも考えずに書き始めたなんて言えない)