二年生の身だしなみの問題 解決まで
今日も元気に図書室当番!
…といきたいところなのだが、先程の狼少年の件があり今はあまり機嫌が良くない。
今は給食後の昼休み、少なからず本が好きなものたちが図書室へ足を運ぶ。
「今日もあまり来ていないな…」
私は図書室のパトロールをしながら今ハマっている『放課後転生』を読むことにした。
しかし本には集中出来なかった。
あの件が引っ掛かる。
私は本を閉じ、友達の鈴木さんにパトロールを任せた。二年生の様子を見るためだ。
相変わらず仕事をサボっている。空いている時間は返却棚の本を本棚に戻す、という仕事をするのだが、彼らは椅子に座り本を読んでいる。
なんとも腹立たしい……。
しかし魔女といえど、校則に魔法禁止とあるため、強制的には正せないのだ。
そのため説得しなければならない。
私は二年生の集団に声をかけた。
「二年生の図書委員の方、返却棚の本をもとの位置に戻して下さい。」
「りょっす。」
『りょ』とはなんだろうか。私はそういうのに疎い。(後に調べたが、『了解』という意味らしい)
そんなことはともかく、返事はしたものの行動にうつしていないことが問題だ。
「今は仕事をする時間です。やることを行って下さい。」
「生き物は休む時間も必要っすよ。」
確かにそうかもしれない。しれないが、働いていないのであれば休むも何もないのだ。
「図書委員になったからには仕事をしていただきます。」
「別に好きでなったわけじゃねぇし」
図書委員会ではこれが多い。
図書委員会は人気がないため、やる気のない者達がよく来る。
だからこそ今この問題が起こっているわけだが。
「好きじゃなくともやることはやる。それが大切です。勉強だってやりたくてやっている訳だはないでしょう?」
「いやー。勉強は未来のためでもあるけど、委員会は役に立たないじゃないっすか。」
少し時間をおいた。
「役に立ちます。」
私は自信たっぷりに言った。
どんな委員会だろうが、その言い訳だけは許せなかった。危うく魔法を出してしまいそうだった。
委員会は役に立たないのなら、学校には存在していない。意味があるからここにある。
「まだわからないかもしれませんが、将来絶対この経験を使う時がきます。」
「なんすか、知っているような言い方。」
「図書委員会を勤めて三年。やってきてよかったと思ったこと、意味があったと感じたことは多いです。図書だけではなく、どの委員会も同じはず。やることにはメリットしかありません。」
段々脱線しているのはわかっている。
しかし、足りないところを正している自覚はある。自意識過剰かもしれないが、委員長なりには活動していると今感じている。
「なんで、そこまで委員会に力をいれてるんすか。」
「誰かのためになるからです。」
一瞬二年生は驚いたような顔をした。
「私がここまで貴方達に説教をしているのも貴方達のためになるとおもったからです。今の貴方達の態度は、私だけではなく色んな方々に迷惑をかけています。それを正すのが先輩の役目だと感じたからです。」
私は言いたいことを言い切った。
二年生はなんだか申し訳なさそうな顔をしていた。
「そこまで委員会のこと考えていたんですか。」
「すみませんでした…」
私の熱弁によって彼らは納得してくれたようだ。
「それでは早速当番をお願いします。」
「はい!」
なかなか良い返事だ。
私は少し表情を緩め笑った。
これで二年生の身だしなみの問題は終わりです