ニューゲーム
(マジか...転生なんてものが存在するなんて...)
俺は今、父親と思われる男に抱かれており、ベッドには母親であろう女が寝ていた。
「ーーーーー!」
「ーーー」
父親と母親が話している。が、俺には全く聞き取れなかった。正直、俺はこんな言語を聞いたことがない。
自慢じゃないが、俺は英語と中国語を話せる。いやマジで。
あれ?てことは、ここは地球じゃなかったりするのか?異世界ってやつか?
よくよく見ると、父親と母親の服装も、見たことのない物だった。どちらかというと、RPGの中に出てきそうな服だった。
「ーーー!ーーー?」
「ーー。ーー...ーーー!」
何話してんだろ...。それにしても自分だけ言語が分からないってやだなぁ...。まぁ、長い間に少しずつ覚えていきましょうか。
〜なんやかんやで五ヶ月〜
時間が経つのは早いものだ。あっという間に五ヶ月だ。
さて、この一ヶ月で分かったことをまとめようじゃないか。
まず、この世界なんだが、やっぱり異世界だ。父親が庭でバリバリ銃刀法違反な剣振ってたしね。
次にこの家。
この家は裕福だ。だが、立地条件は思いっきり田舎だった。村とかそういうレベルだ。あぁ、今日も村人が畑作してるよ...。
言語は大分理解出来るようになった。発音等はまだなんとも言えないが(第一声が出ないし)、理解出来るようにはなった(と思う)。なんつーかな...日本語と英語を8:2で混ぜて2で割った感じかな?
さて、それじゃ家族の名前を言って行こうじゃないか。まず俺。俺の新しい名前はオルファ・アージア。父親はハザル、母親はリアスだそうだ。
まぁ、取り敢えずはこんなもんかな。
それでも分からないことは多い。まだハイハイは出来ないが、多分もうすぐ出来るだろう。出来るようになったら家の中を回ろうじゃないか。
〜さらに一ヶ月〜
さて、ハイハイが出来るようになった。取り敢えず家の中を見て回ろうかな。と言ってもドアなんぞ開けられるはずもなく、唯一開いていた書斎にしか入れなかった。
中には、本棚いっぱいに立てられた本...と言いたいが、大体30冊程しかなかった。俺は一番下の段にあるすげぇ厚い本を取り出そうとした。が、所詮は赤ん坊だ。それを取り出せるほどの力は持ち合わせちゃいない。
(むぐがぐぐ...)
くそう一体どうすれば...。え?諦めろって?ふっふっふ...あらゆる死にイベントをはねのけて来た(例外を除く)俺はこんなことで挫折なぞせんのだ!
しかし、この状況...そうだ!
俺は両足の裏を目標の左右に当て、全体重を使って本を倒そうとする。
その時、扉が勢いよく開いた。
「オルファ!」
(うおう!びっくりした)
俺の心臓が縮み上がる。実は俺、こういうのが大の苦手だったりする。
扉を開けたのはリアスとハザルだった。
「あぁ、オルファ!私を心配させないでちょうだい!誰かに連れ去られたのかと思ったわ!」
心配性だなぁ。真っ先に息子の誘拐を考えるなんて。
「ほら、心配しすぎだよ」
「何言ってるのよ!もう、本当に心配したのに...」
「一人で出歩くなんて元気な子だ。おまけに本を取ろうとしているし、この子は結構賢いのかもね」
「当たり前じゃない!なんたって私とあなたの子供よ?」
「ふふふ、そうだな」
そう言ってハザルは俺が取ろうとしていた本を引き抜いた。
てか息子への期待度高すぎないか?
「ほら、オルファ。これが読みたいんだろ?」
「あら、これって『六天魔術の書』じゃない。この子魔法使いになるつもりかしら?」
「さぁなぁ。まぁ何であれ、俺はオルファの気持ちを尊重するさ。魔法使いになりたいってんならそれもいいさ」
「あなたオルファが生まれる前から剣士にするって張り切ってたじゃない」
「もちろん剣は教えるさ。けど、この子の目には今まで感じたことのない何かが宿っている。もしかしたら、今まで誰も成し得なかった『剣と魔法を統べる者』になれるかもしれないと思ったんだ」
剣と魔法を統べる者?なんかやばそうだな...。
こうして俺は六天魔術の書を持って、ベビーサークルの中に放り込まれるのだった。...もっと家の中まわりたかった...。
まぁいい。暫くはこの本で文字を学んで、この本を読んでみようじゃないか。
てか魔法があるとは。やっぱりここは異世界だったのか。
...よし、決めた。俺は、今度こそ人生をクリアする。いつクリア出来るかは分からないが、絶対にやってやる!
(やるぞー!)
俺は心の中で決意を固めるのであった。