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079話 ボディーガード



 ん、朝か……。

カーテンの向こうは薄暗く、目覚ましが鳴る前に目が覚めた。


 昨夜の事を考えれば、もっと深い眠りにつきギリギリまで寝ていただろう。

しかし、なぜか気が張ってしまい、目が覚めてしまった。


 五時までにはまだ時間がある。新しいスマホを片手にもう一度目をつぶり寝に入ろうとする。



――キィィ…… パタン


 部屋の扉を開ける音が聞こえた。

寝る前に鍵をかけたにもかかわらず、いとも簡単に部屋に入られる。

一体誰だ、勝手に忍び込むのは。


 起きるのもだるいし、それよりもまだ眠い。

静かにベッドに近づいてくる足音を無視して、再び俺は寝に入ろうとする。


 ベッドの隣で足音が止まる。その場に立ち留まっているようだ。

眠い、俺の事はそっとしておいてくれ……。








――ピピピピピピ


 スマホのアラームが鳴る。

その瞬間、俺の上に物凄い重圧がかかってきた。


「純一様! 朝です! 予定通り起こしに来ました!」


 薄らと開けた瞼にはレイが映っている。

俺の真上にポジションと取り、意気揚々と満面の笑みで俺を起こしにかかる。


「レイ……重い。それと、眠い……」


「じょ、女性に対して重いとは! 非常識です!」


 レイは俺の掛布団を無理やり剥ぎ取り、掛布団をベッドの外に投げつける。


「起きてください! さぁ、朝から一戦しましょう!」


 確かに男には朝起きる事象があり、それははたから見たら一戦できるかもしれない。

しかし、夜の一戦と朝の一戦は同じようで異なる。


「分かった、起きるからどいてくれ。それと勝手に部屋に入るな。時間が来たら起きるから……」


 テンション低めに俺が答えると、あっさりとレイはベッドから降りる。

そして、着ていたジャケットを床に落とし、スカートのチャックに手をかける。


「レイ。何をしている?」


「へ? 一戦するのでは?」


 朝から突っ込みどころ満載。どうしたらその考えになるのか……。

俺は床に落ちたジャケットを手に拾い、レイに投げ渡す。


「準備ができたら玄関に行くから、レイも準備して待っててくれ」


「そうですか……。普通に朝練するんですね。私的には納得できませんが、仕方ありません」


 レイはジャケット片手に部屋を出ていく。

そのまま俺はゆっくりと起き上がり、軽く背伸びをして朝練の準備をする。

まだ朝の五時。さすがに眠いし、二度寝したい。だが、そうもいっていられない。

色々と俺にも事情がある。早く能力値を上げ、デートの下準備をしたい。


 そうだ。俺には聖戦(初デート)が待っている、

レイと体力つくりや模擬戦も必要かもしれないが、聖戦に勝つことが重要だ。


 着替えて、玄関に行き、レイと朝練をする。

初めは基礎体力からだな……。




 朝は基礎体力つくり、その後剣道や柔道の基本技の練習。

昼まで基礎訓練を行い、午後はレイと模擬戦。

準備された武器を片手に、レイと一対一の練習が行われる。

夕食後はレイと由紀も含めた三人で勉強の時間。


 そんな日が三日も続き、寝る前の数十分くらいしか自分の時間が取れなかった。

そして、母さんは旅立ち、本格的に母さん抜きの生活が始まった。








 母さんが旅立ったその翌日……。


――ピンポーン


 昼も過ぎた午後一番。珍しく来客がある。


「初めまして。今回純一様のボディーガードとして派遣されたアンジュだ」


 リビングで顔を合わせたアンジュは十代後半くらいの男性。

髪を後ろで一つにしばり、目は細目。細身の体はモデルのような体形で足も長い。 


「母から話は聞いています。よろしくお願いします」


 俺がアンジュにそう話すと、隣で由紀とレイはアンジュに対し冷たい目で見ている。


「アンジュ様。奥様から話は聞いています。この後少しお時間いいでしょうか?」


 マリアがアンジュに話を持ちかける。


「もちろんいいですよ。私もマリア様から直接話があると、事前に聞いていましたので」


 二人はそのままリビングから出てってしまった。


「兄さん、あの方どう思われますか?」


 んー、正直初対面だし、これと言って気になる所はないんだよな。

どのくらいの力があって、何ができるとか、全然わからないし。


「これと言って気になるところはないな。男性だし、俺から見たら特に……」


「純一様、男性のボディーガードは一般的に見て稀有です。正直裏がありそうなんですが……」


 そうなのか? 確かにテレビでもみたがボディーガードは女性が多かった気がする。

アンナさんは今頃何をしているかな……。そうだ、今度連絡してみよう。


「兄さん、私としては男性の方がありがたいのですが、能力的に大丈夫でしょうか?」


「そうです、純一様。男性でも女性でも能力がなければ採用することはできません!」





 そんな話を三人でしていると、リビングに二人が戻って来る。


「マリア! その格好はどうしたの! いったい何が!」


 マリアの着ていたメイド服はそれなりにダメージがあり、顔や膝に傷がついている。

一方アンジュの方はさっきと同じ服装に、綺麗な格好をしている。


「レイさん……。アンジュさんは問題ありませんでした。きっと純一様をガードしてくれます……」


 ややよろけながらマリアはリビングを出ていき、アンジュはさっきまで座っていた席に座って、出されていたコーヒーを片手に一息つく。


「マリアさんも中々いい動きでしたが、本職とアマチュアの差ですかね。まぁ、ここで私が負けてしまったらそれこそ廃業になってしまいますよ」


 にこやかに話し始めたアンジュさんは少し汗をかいている。まったくの快勝ではなかったようだ。


「分かりました。奥様からは住み込みでと聞いていますので、お部屋に案内します。今日は手荷物のみで、後日お引越しでよろしいでしょうか?」


「いやいや、そもそも私には荷物はそんなにない。自分で適当にするから気にしなくていい」



 レイとアンジュはリビングを出ていき、由紀と二人きりになる。


「兄さん、アンジュさんは信用できそうでしょうか?」


「さぁ? 正直わからないな。しばらくは様子見だな」


「この家に兄さん以外の男性が来ることは、由紀も予想していませんでした。少し不安です」


 俺は男の仲間ができたと思ってるから、ちょっと嬉しいのが本音だ。

いままで色々とモヤモヤしていたこととか、こっそり相談してみよう! そうしよう!


 リビングを後に、俺は部屋に一人戻ってデートの計画を練る。

今日は来客があったから、午後の稽古は休みだ。

久々に自分の時間が取れる。さて、大体のプランはまとまったがこれでいいのか?


 そうだ! ここはひとつアンジュさんい相談してみよう!

同じ男として、このプランでいけるのか聞いてみるのだ。


 さっそく俺は自分の部屋を後に、アンジュさんの部屋に向かう。




――ガチャ


「アンジュさん! 相談したいことが!」



 勢いよく開けた扉の前では上半身裸でなぜか胸にさらしを巻いたアンジュさんが、こっちを見てる。

あ、ノック忘れた。


 それよりも、なぜ胸にさらしを巻いているのですか?

次第にアンジュサンの頬が赤くなっていき、沈黙の時間が過ぎていく。


 もしかして、俺は地雷を踏んだのか?



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