061話 ほろ苦いコーヒーの味・再び
ベッドに腰掛けている俺。その上にまたがっている由紀。
両腕は俺の肩の上の乗っかっており、しっかりとホールドされている。
しかも、俺の両足にまたがるように乗っかっているので、動けない。
薄らと目を開け、状況を確認する。
目の前には由紀の髪が見える。そして、予想通り俺の頬を舐めている……。
目を閉じ、子犬のように俺の頬を舌で舐めている。時折唇を当て、吸い込むように舐めている。
確かに、痛みは引いている。不思議だ。
そして、由紀は頬から首筋の方へ舐める場所を移動させ、チロチロと首筋を攻めてくる。
「ん……。はぁ……」
時折、由紀の口から声が漏れる。
俺もなされるまま、されるがまま。確かに頬の痛みも結構無くなり、ジンジンする事もなくなった。
由紀の回復術(唾液?)の効力はすごい。
そして、首筋を舐めていた由紀の唇が離れる。
「兄さん……。痛みは引きました?」
「あぁ、随分と痛みが引いたよ。そろそろ目を開けてもいいか?」
「あっ、まだ待って下さい。あと、少しだけ……」
由紀は両足に力を入れ、俺をしっかりとホールドし始める。
そして、両腕にも若干力が入り始める。
「由紀?」
「ゆ、由紀も責任取ります。だから、薫さんだけではなく、由紀も……。由紀の身も心も全て兄さんに……」
そして、再び俺の唇は唇にふさがれた。
二回目のキスもほろ苦いコーヒーの味だ。
由紀の両腕、両足にホールドされ、両手は俺の頭の後ろを鷲掴みしている。
唇にかかってくる圧力が薫の時よりも半端ない。
由紀は『これでもかっ!』と言う位、激しい口づけをしてくる。
そして、口の中に由紀の舌がにゅるんと入って来た。
俺もそれに合わせ、舌をからめる。 な、なんかいやらしいな……。
今回も絶賛息止め中である。ホールドされた状態ではそう長く持たない。
由紀は目を閉じ、しっかりと呼吸をしながら俺を求めている。
や、やばい。そろそろ限界だ。由紀は気が付いているのか?
何か、理性がぶっ飛びそうだ。クラクラする……。
気持ちいい。ずっと、ずっと、由紀とこうしていたい。
こんな気持ちのいい事を、もっとほしい。もっと、もっと……。
「っん……。んぱぁ……。兄さん、由紀との初キスはいかがですか? 気持ちよくないですか?」
ん? 由紀が何か言っている。 そんな事より、もっと、もっとさっきのを……。
「あぁ、最高だよ。もっと、もっと欲しい。由紀が欲しい」
由紀の顔を見ると、高揚している表情以上に、口元がにやけている。
なんだその笑顔は? いや、笑顔と言うより、してやったりのにやけ顔?
こんな表情はあまり見たことが無いな……。
いや、そんな事より、さっきの口づけをもっと……。
「そうでしょ? 由紀ともっと良い事したいと思いませんか? さっきより、もっともっと気持ちいですよ?」
「本当か? さっきよりも気持ちがいいのか? あぁ、もっと気持ちよくなりたい……」
由紀は再び俺の唇に唇を重ねてくる。
そして、さっきと同じように舌を俺の口内へと侵入させ、舌をからませる。
再び俺の頭が白くなりつつあり、気分が高まるのがわかる。
俺の四四マグナムもマックスになり、暴発寸前のようだ。
あぁ、気持ちがいい。こんなに気持ちがいいものだなんて、知らなかった……。
頭の中が白くなり、空を飛んでいるようだ。
心音も激しく、相手に聞こえるのではないかと思う位に激しく鼓動している。
いつの間にか、俺も由紀を両手で抱きしめ、包容している。
もっト、クレ。モット、キモチ ヨク ナリタイ。
モット ハゲシク。 モット キモチヨク。
そして、由紀の口から移されたラムネのような物が俺の口内で溶けていく……。
「兄さん、もっと一緒に気持ち良くなりましょ? 大丈夫です。責任は私が全て、これからずっととりますから……」
由紀に支えられ、フラフラの俺は由紀の肩に乗りかかる。
そのまま自室のドアを出て、由紀の部屋へと移動する。
「ゆ、由紀……。あ、頭がクラクラする。それに暑い……」
「大丈夫ですか? 由紀のベッドで、少し横になってください」
由紀は俺を自分のベッドに下し、そのまま俺の頬をさする。
「少し熱が出ていますね。ちょっと多かったかな?」
頭がくらくらする。由紀は何を言っている? それよりも、この状態を何とかしてくれ……。
「由紀、胸が苦しい。爆発しそうだ。(四四マグナムも爆発しそうです)」
由紀は満面の笑みで、俺に微笑みかける。
丸で子供を見るようなその目は、優しくも見えるが違和感を感じる。
「それは大変ですね。今から直しますね。抵抗しないでくださいね?」
抵抗? 抵抗なんかするか。早くしてくれ。このままでは、死んでしまいそうだ。
由紀は俺の頬から手を離し、俺の腰あたり手をのせる。
そして、おもむろにベルトを外し始める。
「では、治療をしますね。動かないでくださいねー」
ベルトをはずされ、ホックをとり、ファスナーを下げる。
モット キモチヨク モット ハゲシク
俺の思考は停止し、由紀にされるがままで良いと判断。
もう、どうにでもなれ……。





