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041話 口移しはいかが?


 薫と一緒に商店街を歩き、高校に向かう。

昔ながらの商店街で色々な店が立ち並んでいる。


 雑貨屋、スポーツ用品店、床屋に花屋。

あ、あそこの肉屋からいい匂いがする!

肉屋のメンチカツはうまいんだよなー。


「薫、ちょっとメンチ買っていい?」


「え? なんでメンチ切るのよ?」


 ……薫、いったいそんな言葉どこで覚えた?


「もう一度言うぞ。メンチカツ買ってもいいですか?」


「ああ、メンチカツね。いいわよ」


 薫を店の前で待ってもらい、俺だけ店内に入る。

うん、いい匂い。そして陳列されている揚げ物はおいしそう!


「すいませーん! メンチカツひとつ!」


「はいはいーい」


 カウンターの奥の方から一人の女性が出てくる。

割烹着を着た綺麗めなおねーさんだ。

頭には三角巾、ちょっと昭和のお母さんをイメージしてしまう。

でも、なぜか安心してしまう顔付をしている。


「あら、珍しいわね。男のお客さんは久しぶりよ」


「そ、そうですか。この春からそこの学校に通う事になったので」


「そう、それは良かったわ。沢山サービスするからいつでも来て」


「ありがとうございます、えっと、メンチを一つ」


「あ、ありがとう。エッチを一つね」


 ……ん? 俺の聞き間違いか?

俺は確かにメンチと言ったはず、言い間違ったのか?


「えっと、メンチカツを一点お願いします」


「はい、メンチカツ一個ね。すぐ食べますか?」


 通じた。よかった、俺が言い間違ったのかな?


「はい、直ぐに食べます」


「はい、あーんして……」


 おねーさんはメンチを一つ手に取り、俺に差し出す。

確かにすぐに食べますと言ったけど、そんなすぐじゃないよ?

それに、お会計まだよ?


「それとも、口移しの方がいいかしら?」


「だ、大丈夫です! 一人で食べれます!」


「そう、残念ね。はい、メンチどうぞ」


「ありがとう。お金、置いておきますね」


「また来てね」


「は、はい……」


 メンチ一個でこんなに時間がかかるとは……。

でも、い匂いだし、おいしそう!


 店を出て薫に声をかける。


「お待たせ。ほら、半分やるよ」


 メンチを半分にし、片方を薫に差し出す。


「珍しいわね。遠慮なくもらうわね」


 薫はハフハフしながらメンチを食べる。

俺もハフハフしながら一口。 おーう、やっぱりうまい!


 二人でハフハフしながら学校に向かう。

何だかデートしている気分だ。女の子と食べ歩きしてる自分。

相変わらず、手はつないだままだけど、ちょっと幸せを感じてしまう。


「そろそろつくわね」


「おう、思ったよりきれいな学校だな」


 正門を目の前に高校を見渡す。


「そりゃそうでしょ。このあたりの中学から進学する男子学生はほとんどここに来るんですから」


 え? ほとんど? どういうこと?


「ほとんど来るとは?」


「このあたりの中学から進学する男子はみんなここよ。共学はここだけ。他はみんな女子高ね」


 なんてこったい。競争率が高くなるじゃないか!

何でそんなめんどいことを!



「なんでここに男子を集めているんだ?」


「さぁ? 政府のすることは良くわからないわ。男子用の設備の問題とかいろいろあるんじゃない?」


「そ、そうか……。まぁ、俺以外にも男が近くにいると、ちょっと安心するな」


「ホモなの?」


「違うわ! 俺は女が好きだ!」


「そう、良かったわ」


「早く制服取りに行こうか」


「そうね、たしか配布場所は一年生の教室だったわね」


 薫と一緒に一年の教室を目指す。

俺の通っていた高校と同じだ。三年も通ったからしっかりと覚えている。

確かあそこを曲がったら昇降口に出るはずだ。


 ほら、当たった。やっぱりこの学校は俺の知っている学校で間違いない。

昇降口でスリッパに履き替える。


 下駄箱が並んでいる。

下駄箱? ……手紙! そうだ! 手紙だ!


 お、思い出したぞ! 俺に手紙を書いてくれた子がいるんだ!

そうだ、探さないと。


 え? 探せるの?

ど、どうやって……。


「ど、どうしたの? 顔色悪いわよ?」


「な、何でもない。早く行こう」


 思い出したが、思い出したが無理だ。

でも、彼女は最後に何か俺に言っていた……、なんだっけ?

彼女は、最後に俺になんと言った?


 っく、思い出せない。肝心なところがもやがかかっている感じだ。

何か、思い出せるきっかけがあれば、きっと思い出せるはず……。


 彼女の手紙、手紙を探さないと!

って、どこにあるんだ?

……恐らくないだろう。でも字はうっすらと覚えてる。

可愛い字だった。もう一度あの字を見れば思い出すだろうか……。


 薫と一緒に一年生の教室を目指す。

一年は一階、二年は三階、三年は二階だったはず。


 この世界の高校でも同じだろうか?


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