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023話 黒のオーラ


 由紀の部屋に入り、ハート型ラグに座る。

目の前にはハート形のローテーブル。正面には由紀、がいると思ったらいない。

由紀は服を着て、そのまま俺の隣に座る。


 おおぅ、近いっす。細い肩紐の下には中学生と思えない素敵な山が。

さっきは服に目がいって気にならなかったが、改めて間近で見るとはちきれんばかりに強調している。


「由紀、いくつだ?」


 おわっふ。思わず声に出てしまった。思いっきりセクハラですね……。


「由紀ですか? 十三ですが? 由紀の年も忘れてしまったのですか?」


「そうそう! 由紀の年齢を知りたかったんだ!」


 危ない。勘違いされて良かった。

危なくカップ数を聞いたことがばれてしまうところだった。


「兄さんは本当に記憶が無いのですね……」


「ごめんな、でもこれからは大丈夫。一緒に暮らしていくんだ、仲良くしていってほしいな」


「も、もちろんですよ。私も兄さんと仲良くしたいですし……」


 由紀は俺に寄りかかり、手を握ってくる。



「由紀?」


「兄さん、由紀は兄さんと父親が違います。この意味わかりますか?」


 上目で俺を見てくる由紀は、瞳が潤んでおり、心なしは頬も赤くなってる。

 

「……婚姻できるって事か?」


「そうです。由紀はまだ十四ですが、いつか兄さんと一緒になりたい……」


「一緒に暮らすだけじゃ、ダメなのか?」


 ほっぺを膨らませ、唇をツーンとする。

あ、ちょっとかわいいかも。


「嫌です。由紀はずっと兄さんといたい……」


「そうか……。まだ、返事はできないが、考えておくよ」


 こんなかわいい子にそんなこと言われたらその気になってしまう。

でも、今でも家族なんだよね。家族。


「由紀は他の女とは違います。兄さんを襲ったり、(よこしま)な目では絶対に見ません!」


 潤んだ瞳で俺を見るのは邪な目ではないな、確かに。

獣のような、野獣のような、イっている目とは全く違う。


「そうだな、由紀だけは兄さんとして見てほしいな」


「だから、兄さんが婚姻できる年になっても、この指は絶対に空けておいてくださいね……」


 由紀は握っていた俺の手をとり、左手の小指を自分の口に入れた。


「ん、にいはん……、このゆひ、由紀の予約でふよ……」


 ……由紀。なぜ指を……。あ、そんなにチロチロ舐めないで!


「由紀……」


「他の、ゆひに、リングをしても……ん、このゆひは、由紀に……」


 人生で初めて異性に舐められている指。

妙に色っぽい。年下で、かわいい妹が、俺の指を……。


「ああ、この指は由紀の予約だ。だからそろそろ……」


――ちゅっぽん!


「ぜ、絶対ですよ! 兄さん、今約束しましたよ!」


「おおぅ! そんな大声いきなり出すな! 耳が近い!」


「ご、ごめんなさい。でも、本当に記憶が無いんですね。以前の兄さんとは全く違います」


「まぁ、気にするな。兄さんは兄さんだ。何も変わらないさ!」


「そうですね、兄さんは兄さんですからね」


 少し沈黙の時間が流れる。

俺の小指はでろでろに。由紀の口元にもよだれが……。


 由紀が何やら俺の首元をスンスン嗅ぎ始めた。


「兄さん、女の匂いがしますね? 気のせいでしょうか?」


 おっふ、由紀さん鼻がいいですね。

さっきまで、自室でモフモフされておりましたゆえ、残り香もあるかもしれぬ。

ごまかすか、本当の事を言うか……。


「ああ、さっきマリアさんが部屋に来ていて、段ボールを運んでもらっていたんだ」


 急に由紀が立ち上がり、黒いオーラを出し始めた。

由紀さん? そのどす黒いオーラは何ですか?


「マリアが? 兄さんの部屋に? ……始末しないと」


 ちょー! すとーーぷ! 家で殺人事件なんか起こさないでー!


「ちょっと待て! なぜ始末とか言うんだ!」


「へ? 兄さんの部屋に入ったのでしょう? 処罰されて当たり前じゃないですか? メイドの分際で」


 こ、怖い! 初めて心底怖いと思った。

間違いなく一人や二人やってしまいそうな勢いを感じる。

と、止めなければ……。


「問題ない! マリアにも言われたが、兄さんが許可したんだ。大丈夫だ!」


「マリアが侵入したのではなく、兄さんが招き入れたのですか?」


「そ、そうだ。段ボールを持ってきてもらっただけだ」


「そうですか……。それでは、今度私も部屋に行ってもいいでしょうか?」


「ああ、今は荒れているが、掃除が終わったらいいぞ」


 由紀の体から黒のオーラが消え、顔に笑みが戻る。

あ、危なかった。ここの女性陣はみんな怖い……。

もしかしたら俺が一番弱いんじゃ……。


「兄さん、絶対ですよ? 約束ですよ?」


 由紀は俺に抱き着き、ぐりぐりしてくる。


「ああ、約束。今度な、今度呼んでやるよ」


「由紀は幸せものです! ありがとう! 兄さん大好き!」


 由紀は抱き着いたまま俺に話しかけている。

俺も、頭をなでなでしてやる。妹ってこんな感じなのか。

なかなかかわいいけど、ちょっと嫉妬深いのかな……。



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