018話 メイドさんに襲われそう
俺の目の前にはクラウチングスタートの体制に入ったメイドさんが見える。
以前の俺だったらメイドさん萌えー。同伴出勤したいでーす。
とか言っていたかもしれない。
変な言動などなく、普通のメイドさんだったら大歓迎だ。
マリアさんは、どちらかというと美少女に入ると思う。
初対面の印象は、かわいいなー、メイドな子が彼女だったら楽しそうだなー。
とか思ってみたりもした。
自分の部屋に呼んで、部屋の掃除してもらって、それを遠目で眺める。
「もぅ、純一様のエッチ、そんなところばっかり見てるんだから」
「そんなこと言うなよ、ちょっと位いいだろ?」
「ちょっとだけですよ。あ、あまりじろじろ見ないでくださいね?」
「わかってるって! ほら、早くまくって!」
「じゅ、純一様。は、恥ずかしいです……」
「マリア、今日も紐なんだね」
「純一様……、カーテンを閉めてもらえますか?」
「そんなに恥ずかしいのか? じゃぁ、もっと恥ずかしい事を……」
な、なんてねー! いいねー! そんなシュツ、最高じゃないですか!
メイドさんとイチャチャもいけますね!
しかし、現実には今か今かとスタートダッシュを決めようとしているメイドさん。
名をマリアさんというらしい。さっきから何かぶつぶつ言っている。
小声で良く聞き取れない。
いったい何を呟いているのだ?
「私は悪くない。純一様が部屋に誘ってくれた。純一様は私を選んでくれたのよ!」
おーい、マリアさん? 何か勘違いされているような?
確かにマリアさんは美人だし、多分と年も同じくらいだと思うし、メイドだし、シマシマだし。
でもまだ俺達会ったばっかりだぜ? お互い性格がわからないだろ?
まずはお友達からって事で……。
「マリア! 行きます!」
正面を向き、真っ直ぐ俺を見ながらスタートダッシュしてくる。
は、早い! あっという間に距離が縮まる。
や、やばい! 俺は一度距離を取る為バックステップで数歩下がる。
足がベッドに当たり、もう後ろには逃げられない。
右は壁、左はテーブル、足場は悪いが、まだ逃げられそうだ。
目の前まで来たマリアさんは肉食獣の目だ。
まるで目の前の獲物を確保しに来た目。
完全に目が座っている。おそらく俺が何を言っても聞いてはくれないだろう。
「マ、マリアさん! 一度、落ち着いてください!」
ダメもとで叫んでみよう。もしかしたら聞いてくれるかもしれない。
「私は落ち着いていますよ。いたって冷静です。問題ありません」
ハキハキ答えられた。さっきまであんなにカミカミだったのに。
「メイドが純一様を襲うのはご法度ですが、今回は純一様が私を誘ったので、問題ありません」
……問題あります! 大ありです! 何が『問題ありません』だ!
こっちには問題ありまくりだっつーの!
「純一様。わ、私を選んでくれて、本当にありがとうございますぅぅ! 全身全霊でこの体を捧げます!」
この身を捧げますって! どの身ですか!
そーゆー意味でとらえていいんですか! 本当にいいんですか!





