017話 紺と白のしましま
俺のハンドルネームは『ジョニー』
ほとんどのゲーム、アプリ、ネットではその名を使っている。
もしかして、ここにある萌えアイテムは以前の俺が作ったのか?
確かにすばらしい作品ではあるが、あまりにも萌え萌えな部屋だ。
これでは部屋に呼んだ彼女に惹かれてしまう。いや、引かれてしまう。
とりあえず、時間もある事だし、一度掃除をしよう。
電話を手に取り、内線をかける。
――プルルルル
『はい、マリアです』
「すいません、段ボールがほしいのですが」
『じゅ、純一様! きゃしこまりました! ど、どれくらいお持ちしましょうか!?』
「えっと、大きめの箱で五個くらいお願いします」
『はい! すぐにお持ちします!』
彼女を呼んでもくつろげる部屋にしよう。
とりあえず、窓を開け空気の入れ替えだ!
俺は窓を全開にし、部屋の空気を入れ替える。
いい風が部屋に入ってくる。ちょっと風が強いな……。
――コンコン
「マリアです。段ボールお持ちしました」
「はーい! 中に入って適当に置いといてもらえますか!」
「は、入ってもいいのですか!」
「え? 別にいいですよ!」
「念のために確認しますが、純一様の部屋に招かれたととらえてよろしいでしょうか?」
招かれた? 確かに段ボールを持っていてほしいと言ったし、お願いをしたな。
「そうだね、僕がマリアさんを部屋に招いた。どうぞー」
「で、では! は、入りましゅ!」
若干噛んだ模様だが、マリアさんは扉を勢い良く開け、段ボールを片手に部屋に入ってくる。
右手と右足が同時に前へ出ている。緊張しているのかな?
ただ箱を持ってくるだけで緊張なんか……。
「初めて入りました……。ここが純一様の……」
鼻がぴくぴくし、深く深呼吸しているようだ。
「純一様は今まで誰一人、部屋に入れた事がありません」
「へ? なんで? 家族とか掃除とかで入って来るんじゃ?」
「それは今まで全て拒否されており、誰も部屋には入っておりません」
「そうなんですね……」
「わ、私が第一号ぅぅ! し、幸せですぅぅ!」
マリアさんは段ボールをその場に置き扉を閉めた。
深く深呼吸し、目がトロンとなり、頬が次第に赤くなっていく。
ま、まずい。嫌な予感がする。マリアさんのスイッチが入ったかも……。
その時、窓から強い風が部屋に入ってくる。
マリアさんのスカートが盛大にまくれ上がり、わーお。見えてしまった。
メイドさんの紺と白のしましま紐パン。
メイドさんの紺と白のしましま紐パン。
とても……、とても大切な事なので、二度言いました。
ご馳走様です。そして、ありがとうございます!
スカートがゆっくりと元に戻り、顔を真っ赤にしたマリアさんは俺を真っ直ぐに見たまま動かなくなっている。彼女の時間が停止しているようだ。
「う、うわぁぁぁ! 見られたぁぁぁ! これはもう、純一様に嫁ぐしかありません!」
嫁ぐ? 俺に? メイドな嫁……。
うん、響きはイイネ、響きは。





