016話 なでなでの破壊力
「夕飯まで時間があるから、純一さんは部屋でゆっくりしていてね」
「はい、わかりました」
「あ、それと、くれぐれも一人で外にはいかないように。もし行くのであれば声をかけてね」
俺は残ったコーヒーを飲みきり、軽く返事をして部屋に行く。
席を立ち、リビングの扉を開けようとした時、ふと思い出す。
あ、俺の部屋ってどこだ?
「すいません、俺の部屋まで案内してもらっていいですか?」
マリアさんに声をかける。
「わ、私がご案内します!」
マリアさんも席を立ち、扉を開け、廊下を進む。
俺はマリアさんの後ろをついていく。
ホールに出て、階段を上がっていく。
あと少し、あと少しでスカートの中が見えそう。
っく、微妙なラインだ。
スカートがヒラヒラし、見えそうで見えない。
ニーハイとスカートの間にある、絶対領域は素晴らしい。
メイドさんの絶対領域は萌え要素満載で心なしかウキウキしてしまう。
階段を上がりきり、一番奥の扉へ歩いて行く。
「ここが純一さまのお部屋です。中に電話の子機がありますので、何かあればお呼びください」
「分かりました。ありがとうございます」
モジモジしながら俺を見ている。
「あ、あの……。本当に記憶がないのですか?」
「ああ、全く無いんだ。マリアさんの事も……。本当にごめんな」
マリアさんの頭をポンッと軽くたたき、なでなでする。
「は、はうぁぁ! じゅ、純一様になでなでされたぁぁ!」
猛烈な速度で階段を下りていくマリアさん。
そんなに嫌だったかな……。あとで謝っておこう。
さて、俺は自分の部屋の扉を開ける。
記憶はないが、ここは俺の部屋だ。一体どんな部屋になっている?
もともと、俺は物は多く置かない。邪魔になるからだ。
以前は白をベースに、綺麗にまとまっている部屋だった。
なぜかって? いつでも彼女を部屋に呼べるようにだ。
さぁ俺の部屋よ! いざ尋常に勝負!
扉を開け、中に入る。
まぁ、なんという事でしょう!
壁には特大サイズの魔法少女ポスター、これはとても素敵ですね。
そして、棚には所狭しと並んでいる美少女フィギュア達。
中にはとってもきわどい姿の子もいますね!
壁際にあるベッドには萌え萌え枕。これは夜も安心して安眠できます。
お部屋は全体的に白をベースに整っていて、とってもおしゃれ。
……こんな部屋に彼女が呼べるか!
しかし、すごい部屋だな。ある意味芸術的だ。
ポスターの右下には作者のサインか? 名前が書かれている。
『北村ジョニー』
……フィギュア達も土台になっている所に名前が刻まれている。
全て『北村ジョニー』だ。
勉強机の上にはデッサン紙があり、美少女の絵コンテが描かれている。
上手いな、とても素晴らしい作品だ。
ふと、正面の色紙に目が入る。
『萌えが必要だ!』
色紙には力強く毛筆で書かれている。
左下には『北村ジョニー』の名前が。
『北村ジョニー』まさか……。





