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マイ  作者: 水谷一志
エピローグ
14/14

エピローグ 三 エメラルド

「ああ、楽しい時間も、もう終わりか…。また、2人で旅行に行きたいね、翔太!」

「それ、どこかで聞いたことあるような…。」

「あ、ばれた?」

2016年9月。舞、翔太の2人は、大学の夏休みに、海外旅行でフランスに行っていた。そして、2人は旅行を満喫した後帰って来て、今は、日本の空港に到着した所であった。

 「にしても、翔太が行きたがってたルーアン、意外と…ってかマニアックだけど、良かったね!」

「当たり前じゃん!

あと、マニアックは余計だよ…。」

「だって、本当のことだもん!」

「まあ、それもそうだね…。」

こう言って2人は、笑った。

 舞の手術が成功し、腫瘍が完全に取り除かれてから、約3カ月が経過していた。舞は、術後の経過も良好で、医師から、

「9月なら、海外旅行に行ってもらっても、大丈夫ですよ。気分転換に、旅行もいいかもしれませんね。」

とも、言われていた。

 そして、舞の首には、退院祝いとして翔太からもらった、エメラルドのネックレスが、光っている。

 そして、舞がふと周りを見回した瞬間、1組のカップルが、舞の目にとまった。

 そのカップルの男性の方は、翔太とよく似た雰囲気で、女性の方は、背が高めで、ダークブラウンの髪色の綺麗な人…。

 「…あれってもしかして、麻衣ちゃんと健吾くんじゃない?

 …ちょうど旅行の時期も、重なってるし。」

「いや、それはさすがにないよ。

 2人とも、どこかで生きているとは思うけど…。」

「だって、あっち、見てよ。」

「…え、どこどこ?」

舞は翔太を促したが、翔太がその方向を見ると、そのカップルは、もういなくなっていた。

 「…誰もいないじゃん。気のせいだよ。」

翔太はそう言ったが、舞の胸の中には、ある確信のようなものがあった。

 『いや、あれは絶対、麻衣ちゃんだ。私には、分かる。

 麻衣ちゃん、絶対に、幸せになってね。これから色々あると思うけど、頑張ってね!

私も、翔太と、幸せになるから。』

舞は、心の中で、そう呟いた。

 それは、まだ厳しい残暑の残る、9月のことであった。 (終)

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