中学2年の勇者がダイヤで魔王をカットする話
「うわあああ」
ぼてっ
おれは理科の授業中に居眠りをしていたはずなのに見知らぬアフリカのような草原の上に落ちていた。
「どこだここは?」
「おお、勇者様だ、勇者様が降臨されたぞ」
「すごーい」
ざわざわ
「な、なんだ」
俺の周囲には民衆が群れている。
「よし勇者よ、これからわれわれと魔王を迎え撃つのじゃ」
王冠をかぶったいかにも王様っぽいおじさんが俺に言った。
「おいおいなんのことだ」
よくわからないが、怪しげな儀式で勇者を召還しようとしたが、何の因果かただの中学2年生の異世界の俺が召還されて、今は魔王軍に攻められて国が存亡の危機らしい。頭の回転だけは速い俺がすぐに理解した。
「あ、魔王軍がくるぞ、すぐにみんな守備につけ!」
「え、マジで?もうきたの?早くね?」
「おー」
「おー」
「おー」
「わけもわからず勇者にされたが、一体どうすりゃいいんだよ」
「わしに任せろ」
ヒゲ眼鏡ハゲじじいがでてきた。
「なんだお前」
「わしは国防研究所の博士じゃ、武器の研究をしておる。これを見ろ」
「こ、これは・・・・・・スーパーダイソンニコノスオルガズムキヤノン!どうしてこんなものがここに・・・・・・!」
スーパーダイソンニコノスオルガズムキヤノンは100年前に滅んだ第二十六帝国陸軍の発明した特許出願中の最強兵器である。この砲は弾着地点で極小のブラックホールを発生させ、周囲1㎞以内の敵を全て吸引し消滅せしめる恐ろしい武器である。しかも、防水防滴性能が高く、水中でも発射可能という優れものである。強すぎるので使ったらエクスタシー必死である。
博士がにやりと笑う。俺もにやりと笑い返す。
「これなら勝てるぞ!おい見張り!敵はどこまで迫っている」
「城壁手前800mであります!」
「よしまだ間に合う!行けえええええええええ!」
俺はスーパーダイソンニコノスオルガズムキヤノンを抱え上げてスーパーダイソンニコノスオルガズムキヤノンの引き金を引いた。
ボンッ・・・・・・ヒュウー・・・・・・カッ・・・・・・ぐにゃあ・・・・・・
弾着地点が少し光ったかと思えば空間が歪んでいく。
くるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくる・・・・・スポッ
そして魔王軍が左回りの渦(北半球)をえがきながらブラックホールに吸い込まれていく。
「いいぞ!やった!さすが勇者様だ!」
「すごーい」
「うおお」
城壁に集まった兵士たちが大喜びだ。
「まだだ、こっちからまだ第2軍が来るぞお」
「よし、2発目のスーパーダイソンニコノスオルガズムキヤノンだ!行けえええええ!」
スーパーダイソンニコノスオルガズムキヤノンを第2軍の中心に向けて俺は発射ボタンを押した。
ボンッ・・・・・・ヒュウー・・・・・・カッ・・・・・・ぐにゃあ・・・・・・
くるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくる・・・・・・スポッ
第2軍は一瞬にして消滅した。
「あ、あっちから第3軍が来るぞ」
「任せろ!スーパーダイソンニコノスオルガズムキヤノンをくらええ」
俺はスーパーダイソンニコノスオルガズムキヤノンを第3軍に向けて撃った。
ボンッ・・・・・・ヒュウー・・・・・・カッ・・・・・・ぐにゃあ・・・・・・
くるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくる・・・・・・スポッ
「ああっ!今度はそっちからとうとう魔王が現れたぞ!で、でけえええええ!まるでビルだ」
スーパーダイソンニコノスオルガズムキヤノンを構えて俺は撃った。
ボンッ・・・・・・ヒュウー・・・・・・カッ・・・・・・ぐにゃあ・・・・・・・・・しーん
「まずい!魔王がでかすぎてブラックホールに入りきれんようだ」
「うわあああ!逃げろお」
「わー」
「わー」
魔王はどんどん目の前に迫ってくる。
「やばいぞ、スーパーダイソンニコノスオルガズムキヤノンをうてー」
おれはスーパーダイソンニコノスオルガズムキヤノンを連射した。絶倫じゃないのできつい。
ボンッ・・・・・・ヒュウー・・・・・・カッ・・・・・・ぐにゃあ・・・・・・・・・しーん
ボンッ・・・・・・ヒュウー・・・・・・カッ・・・・・・ぐにゃあ・・・・・・・・・しーん
「だめだあ、きかないぞ」
「ぐにゃあ・・・・・までは行くのにそのあとがダメなんだよな、うーんおしい」
民衆たちがいろいろ騒いでいる。
魔王は手を伸ばしスーパーダイソンニコノスオルガズムキヤノンをつまみ上げようとする。スーパーダイソンニコノスオルガズムキヤノンのシートベルトが引っかかって俺もそのままスーパーダイソンニコノスオルガズムキヤノンごと持ち上げられそうになる。
「勇者!スーパーダイソンニコノスオルガズムキヤノンから離れるんじゃ」
博士がスーパーダイソンニコノスオルガズムキヤノンを見ながら騒いでいる。
「くそっ、スーパーダイソンニコノスオルガズムキヤノンを離せ」
俺はスーパーダイソンニコノスオルガズムキヤノンのシートベルトを外そうともがいていたが、スーパーダイソンニコノスオルガズムキヤノンをつまんだまま魔王はスーパーダイソンニコノスオルガズムキヤノンを握りつぶした。その直前俺はスーパーダイソンニコノスオルガズムキヤノンのベルトを外したので潰されなかったわ。
「くそ俺のスーパーダイソンニコノスオルガズムキヤノンが握りつぶされた!」
スーパーダイソンニコノスオルガズムキヤノンを潰された俺は城壁に落ちて死に物狂いハイハイで逃げた。
「勇者様がピンチだ」
「勇者様がやられるぞ」
みんながざわざわ騒いでいる。
「勇者よ、今度はこれを使え!」
博士がまた俺になんかを投げてよこした。
「こ、これはなんだ?使い方がわからん!」
渡されたのは透明なガラス玉だった。
「それの使い方は・・・・」
「あっ」
「ああっ使い方を説明している途中の博士が魔王に踏みつぶされた」
「もうもしまいだあ」
「いや、まだだ、この兵器の使い方を考えるぞ。感じるんだ!俺は勇者なんだから!」
俺は考えたり、博士が言おうとしたことを想像したり、都合のいい妄想をしていろいろと考えた。
俺は選ばれし勇者だから、このオーブを触媒として神の力を使えるのだ。
「神の力を食らえええええ!スコールオブダイヤモンド!」
すごい高いところからすごい速さで世界一固い無数のダイヤモンド(カット済み)が落ちてくるのだから魔王でもひとたまりもない。
「うおー」
一瞬にして魔王はものすごい断末魔をあげながらもがき苦しんでじわじわと消滅してしまった。
「やったぞ、魔王を倒したぞ!」
「すごーい」
「勇者様万歳」
「やったぞ、さすが俺だ」
その後俺は授業には戻らず姫(王様の次女、長女はもう嫁に行ってた)と結婚し、死ぬまで幸せに暮らした。