新たなる世界
割りと早く書けたので
闇。
だが、何処か心地良い。
水の中だろうか?
浮き沈みしている気がする。
『ーーーーーーーーーーーーーーーー』
?・・・声?一体誰だ?
『ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー』
駄目だ・・・・・・意識が・・・・・・。
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誰も知らない様な鬱蒼とした森に洞窟があった。
その洞窟の最奥、そこには地底湖があった。
何のへんてつも無い湖だが人が見れば何故か「気味が悪い」と口を揃えて言うであろう気味の悪さがあった。
そんな湖の中、中央部に浮き沈みする影がある。
水面近くまで浮かぶと底の方へ沈んでいく、を繰り返している。
それは人だった。
水中で足を抱え込む様にしている。
誰も知らない様な森の中、そこにある洞窟に新たな生命が出来ようとしていた。
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所変わり自然の多い山。
その山道をかなり外れた所に小さな集落が出来ていた。そこには銀色の髪をした12歳位の少年少女達がいた。
少女達は畑仕事を、少年達はナイフ等物騒な物を持ち、10人位で集落の外へ出て行った。
そしてその集落の中で一番大きな建物の中に、一人の少年がいる。しかし、少年は目を瞑りまるで何かを待っている様に静かに・・・
すると、突然目を開いたかと思いきや建物を飛び出すと集落の家のうちの一件に駆け込んだ。
「産まれたか!?」
「お、長!?な、何故ここに?」
少年が入った家には三人の少年少女しかし、少女は弱りもう一人は赤ちゃんそして、中にいた少年は入って来た長と呼ばれた少年に驚き、恐縮した様に返したが・・・・・・
「ほう、産まれた様だな!して“ガル”、この子の名前は?」
「はぁ・・・。この子の名前は“メル”そう名付けました」
華麗にスルーした長はガルと言う少年に赤ちゃんの名前を聞いた。
ガルは呆れた様に、だが嬉しいそうに赤ちゃんの名前を言う。
長は一言「そうか」と言うと弱っている少女に「頑張ったな」と言った。
それに誇らしげに微笑むと少女は瞳を閉じ息を引き取った。
「・・・・・・よし!祝杯と葬儀の準備を始める!“狩り”に出ている男共が戻ったら早速“宴”の準備だ!」
長はしばらく黙って目を瞑っていたが、目を開くと早速とばかりに家の外に出て宴の準備を始めるのだった。
自然の多い山の山中。
そこには銀の髪を持つ少年少女達がいる。
彼等は“人間”では無い。
彼等は“ゴブリン”。
遥か昔に醜い姿で商人や冒険者達を襲う知能の限りなく低い魔物だった。
だが、魔物と呼ばれていた当時と今は違う彼等ゴブリンだけでなく、他の魔物と呼ばれていた者達は進化しているのだ。
唯一人間だけが当時から何の変化もせずに停滞している。技術も思想も。
魔物は悪、人こそ正義。
それが、昔から変わらない人間の考え方。
自分達が魔物と呼び自分から危害を加えてくる。なのに、抵抗すれば奴等は「襲われた」と言い張る。
奴隷にする人間までいる始末、テイマー等その良い例である。
その反面、彼等魔物は自分達を“亜人”と自称した。
そして、亜人間で人間へ対抗するために同盟紛いの事をした。
それは項を制した。
亜人達は昔から仲間意識が強く、今まで仲の悪かった種同士が協力する事が多くなった。
今、人間と亜人達は完全な対立をする時代。
後々、この時代はこう呼ばれる事となる・・・・・・
断裂の時代と。