閑話~『第二図書館』、そして『第四工房』~
ルルアラとラディの試合が始まった頃、人通りの少ない闘技場の通路を歩く一人の男性の姿があった。
顔には歳を現す皺、立派な顎ひげを蓄えた恰幅の良い老齢の男性である。紺色のシンプルながら上品なコートを羽織り、その下にはスーツを着ていた。そのたたずまいからは人の上に立つ者としての威厳を感じさせる。
老齢の男性――『第二図書館』の主である岩久良省三は魔法学園へと戻っていた。使っている通路は貴賓席に座るような身分の高い者が使う専用の通路である。通りがかる人はほとんどいない。
そんなほぼ無人の通路を通って闘技場の一般とは異なる別の出口から出ると、直後に真上から陽の光を浴びる。雲一つない青空はまさしく祭日和といった感じだろう。
誰もが浮かれた顔で歩いている中、ただ岩久良のみが険しい顔で歩いている。傍から見れば浮いている光景だ。
闘技場は魔法学園の敷地内にある。そのため時に魔法学園の生徒達とすれ違った。
「あ、こんにちは、校長先生」
「うむ、こんにちは」
通りすがった生徒に声をかけられた時は笑顔で返すがすぐさま険しい顔へと戻る。何かを考えているようなその顔に生徒達も空気を読んでそれ以上は話しかけない。
そんなことを繰り返しながらも岩久良は魔法学園へと入って行った。
岩久良の部屋は魔法学園にある。先程学生たちが言っていたように彼は『第二図書館』の主兼魔法学園の校長をしているのだ。
彼の部屋は魔法学園でも入口からみて奥の方にある。道中同じように生徒達から声をかけられながら、それに答えつつも岩久良は部屋へと戻っていた。
煉瓦造りの魔法学園の中は洋風である。渋い茶色ではあるが決して地味ではなくむしろ高貴さを感じさせた。廊下の壁には一定の間隔をあけて魔法石が灯りのように光っている。
しばらく歩いていると生徒の姿はもちろん教師の姿も見えなくなり、ただ岩久良の廊下を歩く音が反響していた。
しばらく歩いていると前方に両開きの荘厳な木製の扉が見えてきた。他に部屋は無い、岩久良の部屋である。
扉のノブに手をかけて小さく軋む音共に開け、部屋の中へと入る。部屋の中は左手にドアが見えるが、それ以上に目を引くのは壁一面に設置された本棚とそこにぎっしり詰まっている本である。古ぼけた色のものもあればつい最近発刊されたかのように色褪せの無い本と様々だ。
手前には接客用の小さな机と両脇にソファ、そしてその奥には執務机が設置されている。シンプルながらもどちらも丈夫そうな造りの高級品だ。床には青が基調の絨毯が敷かれており、足音が立たない程ふかふかである。
静寂が満ちる部屋の中を岩久良は執務机へと歩き椅子に座った。
「うむ……あのリリアラという選手……」
岩久良はリリアラの姿を思い浮かべた。
あの強さは『アトレナス』でも滅多に見られない、いやむしろ『第一闘技場』でも敵う相手がいるのか疑う程の強さだ。しかしそれならば『アトレナス』、『第一闘技場』で有名になってもおかしくはない。あの強さは良くも悪くも人の目を引くものだ。
しかし岩久良が『アトレナス』に来て彼女の姿を見たことも、名前を聞いたことも無い。そんな彼女は一体どこから来たのか、それが気になったのだ。
「私が知らないだけか、確かめてみるか……」
そう呟いた岩久良は一回大きく柏手を打った。次の瞬間、室内の様子が変わる。
先程まであった接客用の椅子や机は無くなり、岩久良のいる執務机を取り囲むように巨大な本棚がそびえ立っていた。
どの本棚も本が詰まっており、それでも入りきらないのか床にもうず高く本が積まれている。
『アトレナス』の知識が詰まった図書館、『第二図書館』である。
「さて、欲しい情報は『アトレナス』にいる人だ」
まるで宣言するかのように言い放つと、本棚の間を縫って何冊もの本が飛んでくる。ここ『第二図書館』において本を探す手段は本を本棚から手に取って確かめることもできるが、それ以外にも宣言するように調べたい事柄を言えばその本が飛んでくるようになっているのだ。
岩久良の元に飛んできた本は見た限り百を超えている。とてもこれでは調べ切ることは難しいだろう。
「いや、検索条件を変えよう。欲しい情報は『アトレナス』、リリアラだ」
再び宣言するように言い放つ。先程まで手元にあった数百冊の本は本棚の間を縫うようにして飛んでいき元の場所へと戻っていった。
一方で飛んでくる本が一冊、代わりに岩久良の手元へと飛んでくる。先程より圧倒的に少ない量、加えて本自体もそこまで厚みがない。
色褪せた表紙の題名部分には『アトレナス』住民とだけ書かれており、捲ってみると『アトレナス』にいるリリアラと同姓同名の人物一覧が載っていた。しかしどの人物も先程試合で見たリリアラの特徴と一致していない、同姓同名の別人である。
「ふむ、これは……」
本を書斎机に置くと岩久良は椅子に深く腰掛け考え始めた。
正直言うのならば、これと似た現象を以前彼は体験したことがある。その体験を岩久良は詳しく思い出していた。
魔法学園の要請を受けて『第二図書館』にて各世界の主関連について調べようとしたことがある。そのときどれだけ検索条件を変えても本が飛んでこなかったのだ。
また最初に公表された『第四工房』の主、大ケ島を試しにと『第二図書館』で検索してみたのだが、フルネームでは本が無く、下の名前だけだと同姓同名の別人しか載っていない本が飛んできたということがある。
「各世界関連の人間だから、本が無いのか……?試すか……検索条件、五大祭、闘技大会」
小さく宣言するように呟く岩久良。手元にあった本と入れ替わるようにもう一冊厚みの無い本が岩久良の元へと飛んできた。今度は表紙も真新しい、色褪せの無い新品のような本である。題名の部分には「闘技大会」と記されていた。
ページをめくってみると内容はさながらパンフレットのようである。主催者の名前など『第一闘技場』の主に関連した情報は載っていない。岩久良は視線を参加者名簿へと移した。
「やはり詳しくは載っていないか……」
名簿をどれだけよく見てもリリアラという名前は無い。岩久良の中で予想していた考えがより強く浮かび上がってきた。
「……もしや『第五遊技場』の主もこの五大祭に来ているのか?」
ふと浮かんだ考えを呟くようにして出す岩久良。
本来、五大祭は第一から第五までの世界が集まって催す大規模な祭だ。しかし主が判明しているのは第一から第四までであるため、今回の五大祭は現在判明している主達主催で行うことになった。
リリアラが第五を除く各世界の関係者、とは考えづらい。少なくとも『第二図書館』にて彼女の姿を見たことなどないし、『第一闘技場』の主である早瀬や『第三商店街』の主は彼女を始めて見たような様子だった。
『第四工房』の関係者かどうかは他と比べると確証が持てないがおそらく違うだろう。大ケ島は早瀬にリリアラが『第一闘技場』の関係者ではないか、と聞いていた。
「もしこの地に『第五遊技場』の主が来ているのならば、主を何とか判明して今後の会議に参加してもらわねば……。それに『第五遊技場』の世界を開放してもらう必要もある」
顎髭を触りながらぶつぶつと呟く険しい顔の岩久良。
各世界の主は五人で一セットと考えているし、その存在は公表されなければならないとも考えている。
できることならば魔法学園側についてほしい、というのも考えにはある。各世界の主が最初に召喚した国の代表、のような面もあるからだ。主がいる国は立場が強く、無い国は立場が弱くなる。それならば一人でも多く主を味方につけておきたいと考えるだろう。
「兎にも角にも、『第五遊技場』と接点を持つ機会だ。行き方をもう一度丹念に調べねば……」
そう言って岩久良は『第二図書館』の機能を駆使して『第五遊技場』について調べ始めた。
あれから数時間が経った。『第二図書館』の世界は夜を迎え、かすかに聞こえる鳥や虫の鳴き声以外に聞こえるものは無い。空には満月と星が浮かんで輝きを放っており、夜の暗さを少しでもと和らげていた。
一方『第二図書館』の図書館内にて『第五遊技場』について調べていた岩久良はうず高く積まれた本に囲まれながら次々と本に目を通していた。
本の題名を見るとどれも遊びに関連したものである。本の内容は異世界人から伝わった遊びや『アトレナス』に古くから存在する遊びまでと幅広く存在していた。しかしどの本にも『第五遊技場』に関連したものは書かれていない。
「……これも駄目か」
そうぼやいて岩久良は読んでいた本を脇へと置くと、椅子にもたれかかって休憩する。ぶっ続けで調べてきたがなかなか進展が見られない。図書館の従業員が何人か心配そうに岩久良を尋ねてきたりもした。
やる気を出すように息を吐くと、岩久良は椅子にもたれかかるのを止めて一冊本を手に取り机へと向かった。今までの本よりも色褪せた表紙にページはどれも年月を感じさせるように褐色じみている。題名を見れば「『アトレナス』の神々」と書かれていた。
「ふむ……神話みたいなものか」
呟きながら岩久良はページを捲っていく。この世界の成り立ちから始まり、様々な神々の逸話などが書かれていた。遊びを司る神など「遊び」という言葉が時々出ていることから検索条件に当たったのだろう。もしかしたらまた見当はずれなのかもしれないと岩久良は考えていた。
それでも、と岩久良はページを捲る手を止めずに読んでいたがある一ページで手が止まる。残りのページまで後わずか、読了まであと少しといった辺りにあるページだ。
「これは……」
岩久良はそう言ってそのページを凝視している。片側一ページのみを割かれて書かれてるその内容は神々が集まったりして遊んでいた、というような記述だ。ただその内容が引っかかったのである。
そこに描かれていたのはさながら遊園地のような場所の入場門を楽しげな顔の神々がくぐるといった絵だ。そして下には神々だけが遊ぶことのできる世界があり、そこで神々は遊んでいたという記述がある。
「もしやこれが『第五遊技場』なのか?しかしもしそうだとしたら、なるほど以前探しても見つけられないわけだ」
本を開いて机に置くと、岩久良は苦笑を浮かべた。
念頭に、『第五遊技場』は人が行くことのできる世界だと考えて以前は調べていた。しかし先程の記述が確かであるなら、『第五遊技場』はそもそも神々向けであるようだ。それなら見つからないのも頷ける。
岩久良はその先のページを確認してみたが、『第五遊技場』らしき記述があったのはそこだけだった。
そのページにはしおりを挟んで傍に置き、残りの本にも『第五遊技場』に関連した記述が無いかどうか岩久良は確かめ始める。その顔に先程見えた疲労の色は無い。見つからないと思っていた手がかりが小さいながらも見つかったのである。
もしかすればまだ見つかるかもしれない、そんな期待が彼の中にあった。
「これで終わりか……」
時刻は昼近く、一度睡眠を入れた後は再び朝早くから作業を開始した岩久良だったがようやくそれが終わった。
彼を囲むように本がうず高く積まれている一方、彼の目の前にある机に置かれているのはたった二冊の本だけだった。
最初に記述を見つけた本を除けば、あの後見つけたのは一冊だけである。検索条件を色々と変えてみたものの、この二冊以外それらしい記述が無かった。それでも見つかっただけましな方である。岩久良の顔には疲労は浮かんでいるものの、手詰まりだといった感じは見受けられない。
小さく息を吐いた岩久良は目の前に二冊の本を広げる。開いたページにはどちらも『第五遊技場』に関連しているであろう記述や絵があった。
一方は最初に見つけた記述、そして二冊目には一人の人間と神、そして主らしき人物の絵と記述がある。
絵に描かれた場面を説明するように書かれている記述には、遊び場の主が神に言われて一人の人間がその遊び場に来るのを許していると書かれてあった。
「人間が行けないわけではないのか。しかし、主に会って直接許可をもらわねばいけないようだな……」
ボヤくように小声で言う岩久良。どちらにしても『第五遊技場』の主が誰かはっきりさせなければならない、そうでないと『第五遊技場』に行くことが出来ないのだ。
手がかりを見つけた、と思ったら結局やることは最初と変わっていない。『第五遊技場』についての知識が手に入るのなら嬉しいが、岩久良はその主が誰かを知りたいのである。
期待で高揚した気分は瞬時に下がり、以前味わった先の見えない徒労感に岩久良は見舞われた。
しかしため息を吐きながら椅子に深く腰掛けた瞬間、別の考えがよぎる。背中が椅子の背もたれにつこうとした瞬間、勢いよく岩久良は立ち上がった。
その目は見開き、先程まであった徒労感は消え失せている。代わりに再び小さな光が宿っていた。
そして自身の閃きを小さく呟いて確かな形にする。
「神々が遊ぶ場所……それならば神々に案内を頼めばいいのではないか」
かちり、と頭の中でピースがはまった音がした。あれほど悩んでいたのが馬鹿らしくなるほど、今は頭の中がすっきりしている。
わざわざ自分が直接会わなければいけないという制約はない。本にも書いてあった通り、誰かの神に仲介をしてもらえばいいのである。
もし前の世界にいた時の思考のままならば、神がそもそも本当にいるのかなどと悩んでいただろう。しかし『アトレナス』に来る際、フロワリーテという神の関係者に会っているためそんなことは無かった。
しかし、そこで岩久良の考えは止まる。この手法は良いかもしれないが、岩久良自身には出来そうにない手法だからだ。
「しかし、誰かに頼むわけには……」
呟く岩久良。『第五遊技場』への手がかりが見つかったとなればどの国もその方法を行うかもしれない。魔法学園側に立つ岩久良にとって味方とは言えない国々に出し抜かれるのは好ましくないのだ。
けれど魔法学園側に該当するような人物は思い出す限りいない。一度会ったとはいえ、それ以降も継続的に会っているわけではない。
「やはり頼むしかないか……」
他国に抜け駆けされる危険性はあるが、そもそも見つからなければ意味がない。複雑な気持ちになりながらも、岩久良は結局人に頼ることにした。となれば、次の問題はその頼る人である。
岩久良が自然と頭に思い浮かべていたのは同じ転移者である学校の学生達だ。その中でも神と交渉が出来そうな人物、そう考えて一人の生徒に思い当たる。
「大ケ島に頼むとするか……」
呟くようにして岩久良が言葉にした人物は『第四工房』の主である大ケ島エリオット。同じ主として交流もあるし、この五大祭の間はかなりの頻度で顔を合わせる。
そして大ケ島を選んだ最大の理由、それは彼が『第四工房』の主だからである。『第四工房』の主として作った作品はどれも規格外、その規格外の作品の中に神と対話を可能にする道具があったはずだ。
その道具を使って試しに対話をしてみたところ成功した、という話を聞いたことがある。確か成功した場所はオブリナント大帝国、だったはずだ。どんな名前の神だったかは覚えていないが。
「取りあえず魔法学園の者達を集めて一度話合わねば……。他に方法があれば良いのだが」
岩久良はそう言いながら柏手を打つと、その場から姿を消した。柏手を打ったのと同時に岩久良を囲むようにして積まれていた本がそれぞれ元の場所へと飛んで戻っていく。
彼が去った『第二図書館』には本独特の匂いと、物音ひとつしない静寂が満ちていた。
五大祭三日目夜、高級宿の窓から覗く空は夕焼けの赤を宵闇色がほとんど塗り替えている。小さく彼方に見えるのは一番星だ。
夜が近づいているにも関わらず、外の通りは灯りで照らされて祭の賑わいが残っている。
そんな通りを『第四工房』の主である大ケ島エリオットは笑みを称えて窓から見下ろしていた。彼がいるのは『第四工房』が五大祭の間拠点にしている高級宿である。
扉の外には主を含めた『第四工房』の人間を守ろうとホラビル神聖国の兵士が警護していることだろう。
「それにしても、予想外だったなぁ……」
窓から目を離し、近くにあった椅子に座りながら呟く大ケ島。小さなテーブルの上にはフルーツの甘い香りがする飲み物がグラスに入れられて置いてあった。
グラスを片手に取ると視線を窓へと向ける。しかし今度は通りではなく、宿から見える魔法学園にそれは向けられていた。その瞳には純粋な光がある。しかし子供らしいものかと聞かれれば、それは否と答えることが出来るだろうが。
大ケ島は夕方辺りに来た『第二図書館』の主である岩久良、そして魔法学園側の人間数名を思い出していた。
彼らが来たのはホラビル神聖国、いや『第四工房』の主を頼ってのことだ。
話しを聞いてみればなんだ、『第五遊技場』の主を探す方法を見つけたと言うではないか。その話はこちらにとってもおいしいものだし、あちら側の表情を見れば渋々の決断なのだと分かる。
まぁ、他国に抜け駆けされる可能性を作ってしまったのだ。あの顔も道理と言えよう。
「でも彼らは抜け駆けよりも、そもそもの前提を選んだ」
薄い笑みのまま大ケ島は呟く。
抜け駆け云々の前に、前提として『第五遊技場』の主が見つからなければ抜け駆けも何もない。だから彼らは自分に頼ったのだ。
抜け駆けの危機がありながらも、目的の為に他国に頭を下げる国。まるで物語の中の主人公がいる国のようじゃないかと、思わず大ケ島は笑い声を漏らした。
「魔王討伐じゃないけれど、実に物語じゃないか。大方、岩久良先生は勇者のいる国の王様かな?いや、王様になった主人公みたいでもあるなぁ。……うん、立場を殺して頭を下げる、とても感動的だ」
誰もいない部屋で一人ただただ呟く大ケ島。グラスを口に近づけて一口含むと、鼻孔を果物の匂いがくすぐった。
ふと、視線の先。おそらく魔法学園の外に広がる森だろう、そこから一つ光の球が空へと放たれていた。まっすぐに飛ぶその球は途中で音もなく弾けてしまった。
祭り気分で浮かれた誰かが花火でも魔法で打ち上げたか依頼をこなしている冒険者だろう、そう納得した大ケ島は視線をそこから外す。外はもう夜、雲一つない夜空に星と満月が煌々と輝いていた。
そろそろ誰かが夕飯だと呼びに来るだろう。その時、今回魔法学園からなされた提案について話し合うことになるはずだ。
再び視線を魔法学園へと向ける。祭の灯りで下から照らされた時計台は、時刻を報せるように大きく鐘を街中に響かせた。
その時静かな部屋にドアをノックする音が響く。
「エリオット様、お夕食の準備が出来ました」
「ありがとう。今向うよ」
外からかけられた声に答えた大ケ島は持っていたコップをテーブルに置くと、椅子を引いて立ち上がった。
何かを思う様に顔をちらりと学園の方へ再び向けるが、すぐに視線をそらすと大ケ島は部屋を後にする。
学園に視線を向けた際ちらりと灯りに照らされて見えた大ケ島の顔は、岩久良を校長として見ていた生徒の時とは異なった酷薄な笑みを浮かべていた。




