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第五遊技場の主  作者: ぺたぴとん
第二章
31/104

第29話~完成、そして開催~


「オルブフ、そっちの材木もらっていいか」

「これっすかね。それなら今のところ使わないんでいいっすよ」

「悪いな、ありがとう」

「いえいえ。あ、リアナ、手が空いているならこっちを手伝ってほしいっす」

「いいわよ」


 各自が工具を手にして遊技場建設に従事していた。三十分で遊技場本体の土台は完成している。真上から見ると円形、横からはわずかに半円という形の土台は俺の魔力で強化してある為問題はない。

 ひとまず目安ともなる通路は線を引くことで表し、それに沿うようにしてアトラクションやお土産屋、宿泊所を建てていく。

 アトラクション等の土台はオルブフが担当、俺は建設担当、そしてリアナがその後の内装や色などの担当である。手が足りない場合は助っ人として誰かがそこに向かうことにはなっているが。

 建設に関してはオルブフから教えてもらった。主になった後、設備のチェックや新しいアトラクションを建てる時などの為に教えこまれたのである。

 釘やコンクリートなどは全く同じというわけではないが似ているものが『アトレナス』にも存在していた為、おそらく前の世界とは建設方法はあまり違いはないだろう。建てるスピードは段違いだろうが。


 オルブフは大小様々な釘を一発で綺麗に打ち込み、コンクリートは火系統の魔法で急速乾かしている。それで不具合を起こさず綺麗に乾燥させているのだから驚きだ。

 リアナは自分の作業と同時に魔力で素材を操り、別々に動かしている。一方は色塗り、一方はアトラクションの小道具作成といった具合である。知らない人が見たら必要な魔力と繊細な操作に度肝を抜かされるであろう光景だ。

 俺も同じく魔力で素材を操りながらの作業である。作業中の俺の周りには木材、釘などがいくつも浮いている。魔力で木材をすぐさま組み立て、それをこれまた魔力と共に釘を打ち付けたり金具を取り付けるなどをするという作業である。

 必要なこと以外はあまり話すこと無く、次々と組み立てていく。おっと、壊れない為の魔法陣も<錬金術師>のスキルを使って刻んでおいてと。

 ちなみにロルは資材運びなどを手伝っている。それぞれに必要そうな資材を足で掴み、小さなものは魔力で浮かして運んでいる。あいつ、魔法まで習得してるよ……。

 お、気づけば半分近くのアトラクションが建てられているな。これなら明日に半分を回しても余裕がある。

 ……前の世界の大工だったらあり得ないスピードだな、うん。


 余談だがFSGにおいても自分の家を持つことが出来た。形式、色合い、内装、何階建てか、場所などが自由に決めることができる。と言ってもゲームであるから建設は少しの間待てば気づくと建てられているという状態である。このように自らの手で作り上げることはできない。


 同時進行で規模が大きい建設作業、それに伴って進行速度は速かった。




「半分終わりましたね」

「そうだな。オルブフのチェックが終われば一回気になったことを出し合って、それで今日はおしまいにしよう」


 目の前に建てたアトラクションを見ながらチェックを終えた俺とリアナは会話をする。あれから数時間後、すでに夕暮れとなり魔法学園を赤く染め上げている。家に帰るであろう人や、仕事帰りらしき何名かが酒場らしき店へと入っていく姿が見えた。

 それにしても休憩を挟みながらでも予想以上に早く進めることが出来た。これならばアトラクションの建設は早く終えることが出来そうだ。

 そんなことを考えているとアトラクションの間からオルブフが姿を見せた。手にはアトラクションの位置が記された紙が握られている。こちらの姿を認めると、オルブフは駆け寄って来た。


「チェック終わったっすよ」

「そうか。それじゃチェックで気づいたことを話し合うか」

「わかりました、それでは私から。このアトラクションなのですが……」


 俺の言葉に頷いたリアナは最初に話始める。現在のアトラクションの配置から考えて今後建てるアトラクションの配置変更、今日建設したアトラクションに不備が無いかなどを報告しあう。

 報告の結果、アトラクションの不備は一切なし、これから建てるアトラクションの配置を少し変更、そしてお客が出入りする入場門の付近に建てるお土産屋や喫茶店などの数の調整である。後は『第五遊技場』でも行っていた定期メンテを行うぐらいか。

 ひとまずはこれぐらいである。

 出された意見を紙にまとめ、懐へとしまう。これで今日の仕事は終わりである。思わず小さく一息ついてしまう。


「ひとまず今日の作業はここまでだ。宿屋へと戻るか」

「そうっすね。結構体力使ったっすよ」

「では戻りましょうか」

「ピニョピ~」


 皆、疲れたような顔で賛同する。いつも元気なロルも今回ばかりは疲労を感じているようだった。実際俺も集中していた為か、疲れを感じている。宿屋では夕食が出ないし、どこかで食べて帰るか。そう言うと二人は頷く。

 仕事を終え、夕食を食べに元いた路地へと俺達は静かに降りていった。




 夕食を食べ終え、飲食店を出ると門から伸びる大きな通りを歩いていた。昼とメニューは違うものの、懐かしい料理は仕事で空いた胃袋に染みた。昼のラーメンもおいしかったが、とんかつもうまいな。

 先程食べた料理について二人と話していると、妙に通りが騒がしくなる。一体何だろうか。

 門の入口から通りを挟むようにして人がひしめき合っている。どの顔も笑みとともに好奇心を浮かべていた。人ごみでも後ろの人はどうしても見たいのか、つま先立ちなどして見ようとしている。

 さながらパレードか凱旋のそれである。入口から伸びている人ごみはとうとう俺達のところまで伸びてきた。流れに乗るようにして通りの端へと移動する。

 あ、ロルが流されそうだ。ロルの翼を掴むようにして三人で固まっているところへと引っ張る。


「ピニョ~」

「大丈夫か、ロル。それにしても突然出来たところといいなんだよ、この人ごみ」


 焦りの表情を浮かべて鳴くロルを心配しつつも、既に厚い人の層を作り上げた人ごみへとため息交じりに呟く。

 目の前に来たかと思った人ごみは既に通り過ぎ、魔法学園まで伸びようとしていた。人々の顔は門へと向けられている。同じ方向に視線をやるも人ごみの層が厚く、遠くまで見ることができない。見ることができるのは建物の上部分だけである。

 同じようにオルブフとリアナも視線をやっていた。暫くすると俺達の中で最も背が高いオルブフが「あ」と何かに気付いたような声を上げる。


「どうした、オルブフ?」

「いえ、この騒ぎの原因が見えたんすよ。もうすぐでこちらに来るので見えると思うっすよ」


 オルブフはそう言うと視線を人ごみの方へと向ける。つられるようにしてそちらを見る俺とリアナ。次の瞬間、視界にオルブフの言った原因が入ってきた。

 騒ぎの原因は二台の大きな馬車だった。今まで見てきた商人の馬車とは違い、豪華な馬車である。前方を行くどこか厳めしい雰囲気を放つ馬車は決して下品ではない赤を基調としており、扉のノブなど所々に金銀で細工が施されている。馬車をひく馬の魔獣は二頭とも強靭な足、鋭い目つき、纏う雰囲気といい間違いなく強者のそれである。

 そして赤い馬車の扉には金で施された二頭の馬と剣をモチーフとした紋章、あれはオブリナント大帝国の紋章である。

 一方、帝国の馬車の後ろを行く馬車は白を基調としている。帝国の馬車と似て金の装飾が施されているのだが、帝国のどこか厳めしい雰囲気とは異なり清らかで神聖な雰囲気を纏っている。馬車を引く二頭の馬の魔獣も色を合わせてか純白だ。気高さと清純さが合わさった馬の魔獣は強さで言うなら帝国よりも劣るものの、しなやかさでは勝っているように見える。

 そして扉に描かれている紋章は盾と盃がモチーフの紋章である。あれはホラビル神聖国という国のものだ。

 そんなことを考えていると周りの人々の話声が耳へと届く。


「『第一闘技場』の主様に『第四工房』の主様が同時にいらっしゃるとはな」

「あぁ、『第三商店街』の主様は一回オブリナント大帝国の帝都に行ってそこからこちらへといらっしゃったと聞く。もしかしたら『第四工房』もそうかもしれんぞ」

「あぁ、主様の姿を見ることはできないかしら」


 オブリナント大帝国に『第一闘技場』の主がいるはずだから、『第四工房』はホラビル神聖国となる。となれば、どこに召喚されたかはっきりしていないのは『第三商店街』のみである。少し気にはなるな。

 『第三商店街』の主がどこに召喚されたのかなど取り留めもないことを考えていると、目の前のざわめきが大きくなる。

 騒ぎの端々からは『第一闘技場』の主が顔を出したのだと分かる。そういえば帝国ではその強さが噂されていたし、生徒であるならスポーツをしていたり屈強だったりするのだろうか。

 そう考えて帝国の馬車の方へと視線をやる。『第一闘技場』の主が視界に入った瞬間、またもや口がぽかんと開いてしまった。


「う~ん、こっちの世界に来て暫く経っているけど驚くほど人がいっぱいだね! みなさん、『第一闘技場』の催しもの楽しみにしててね!」


 明るく元気な声と共に馬車の窓から身を乗り出したのは幼顔の少女だ。夕日の光を浴びる艶やかな黒髪は肩よりも短く、瞳は黒だ。先程の声も相まって活発な雰囲気を醸し出している。群を抜いた美少女といった風ではないが、人から好かれやすい人懐っこそうな笑みを顔に浮かべている。

 クラスに馴染みやすい明るい少女、といった感じだろうか。

 窓から身を乗り出している為上半身しか見えないが、あの衣服は前の世界の高校で指定されていたジャージだ。ジャージだけならもしかして譲られたのかもしれないという考えがよぎったが、先程の彼女の言葉で分かる。俺と同郷、つまり異世界人だ。名前は知らないけどな、会ったり話した覚えもない。

 それにしても彼女が『第一闘技場』の主なのか。見た目からはスポーツが得意そうな印象は受けるも、力に自信のある男などを負かすようには見えない。あぁ、だから帝都の鍛冶師は「見た目」とは違うと言っていたのか。

 

「皆さん、僕達『第四工房』も自作の武器や防具その他雑貨などを出しますので是非来てください」


 視線を声のした神聖国の馬車へと向けると、身を乗り出してはいないものの窓から顔を出した少年が笑みを浮かべながら周りの人々へと言っていた。

 窓から覗く顔は童顔で、所々跳ねている金髪も助長してより幼く見せている。心なしか声も少し幼い。整った顔立ちはどこか外人の雰囲気もあり、ちらりと見えた目の色は黒っぽい、ハーフだったりするのだろうか。柔らかく微笑んだ笑みを向けられた女性達は、頬を少し赤らめている。

 人々の歓声に答えるように手を振っているのだが、その所作がまた様になる。まるで貴族のようだ。

 人々に微笑みを浮かべていた『第四工房』の主である少年は、身を乗り出して周りの人に手を振る『第一闘技場』の主に心配そうな顔つきを向けた。


「早瀬さん、危ないですよ」

「別にいいじゃない」

「同郷のあなただからこそ、余計心配しているのですよ」

「心配してくれてありがとう、大ケ島君」


 少し声を張り上げた彼の言葉に、『第一闘技場』の主が人々に笑みを浮かべ手を振りながら返す。この会話の間、二人の視線が交わることはない。

 話し方はお互いに柔らかいものの、『第一闘技場』の主の方がどこかそっけない態度をとっているように見える。話しからしてどちらも異世界人であるから、前の世界で不仲だったりしたのだろうか。

 そうしている間にも二台の馬車は目の前を通り過ぎて学園へと向かっていった。気づけば人の層はますます厚くなっており、歓声も大きくなっていた。

 既に夕日の赤は消えかけ代わりに宵闇色が辺りに広がっている中、通りに響く歓声と満ちる熱気は増えていく。


「秋人様、そろそろ宿屋へと戻りますか」

「そうだな、もう暗い」

「パレードでうやむやになった分、今すごく疲労が押し寄せているっすよ……」

 

 リアナの言葉に賛同すると、オルブフが肩を疲れたという様に回す。確かに先程まで驚き等で感じていなかった疲労が、今は体に押し寄せている。傍にいるロルやリアナも疲労が顔ににじんでいた。

 再び押し寄せてきた疲労を感じながらも、人ごみとは逆に人の空いた店の灯りが照らす通りを宿屋へと向かって帰っていった。



 □      □



 『第一闘技場』と『第四工房』の各主の姿を見たあの日から数日間は、宿屋と作業場である空の行き来である。

 建設は順調に進み、無事建て終えることができた。通路も石畳にして、小さな『第五遊技場』といった風情である。アトラクションの数は『第五遊技場』よりも少ないが。さすがに白亜の壁まで再現する事は出来なかったが、その代用を錬金術で行った。

 エリアを両断するように魔法陣を刻む。入口側が中級以下の神のためのエリアであるため、条件は「通ることができるのは上級以上の神であること、または『第五遊技場』の従業員であること」としている。念には念を入れて強化をかけており、大丈夫だろう。

 空という場所の為風の問題はあるが、それも錬金術で解決済みである。風よけの魔法陣を刻めばいいだけだからな。……便利だな、錬金術。

 ちなみに入口は学園の前の噴水がある広場である。広場と入場門前の少し開けた場所に魔法陣を刻み、条件を先程のように設定して魔法・ワープを使用できるようにしているのだ。

 ワープは文字通りA地点からB地点へと移動するというもので、遠距離を転移できる。分類としては空間か。使い手が少ない空間魔法の中でも上級に位置するらしい。

 ちなみにテレポートという同じ転移魔法があるが、こちらは初級である。魔力量にはよるものの、短距離しか移動できないためだ。

 以降は従業員が『第五遊技場』からやってきながら、設備のチェックである。駆動面、装飾、品の充実などもチェックを済ませる。

 そして昨日、入場門の細かな装飾を終えることが出来た。これで完成である。



 時刻は既に星の光が輝く夜で、夕食を済ませた俺達はこちらの拠点となる仮の家で休んでいた。横に長い一階建てのこの家は外壁を白く塗り、屋根は赤色だ。向って一番右手にある入口は受付口も兼ねており、客である神様がいつ来ても対応できるようにしている。

 その左手は台所と多人数で囲める机と椅子を置いたリビング、そしてそれよりも左は男部屋と女部屋とで分けられている。部屋が三つではないのは明日、ジェラルドさん達が来るからである。ちなみにトイレと風呂場はきちんと完備してあるため、わざわざ街に向かうことはない。

 今日からはこちらで泊まる為、宿屋は既に引き払ってある。


「それにしても明日っすね」


 男部屋で休んでいると、オルブフがベッドに座りながら楽しげに言う。その言葉に頷きながら、同じようにベッドに座って隣でうつらと舟を漕いでいるロルの頭を柔らかく撫でた。

 帝都観光から始まって二人の主との遭遇もあったが、あっという間に時が流れたように感じる。特に作業をしていた時は。目の前の作業に集中していたためだろう。

 いよいよ明日から五大祭開催のわけだが、『第五遊技場』とやり方は殆ど同じであっても多少の緊張はある。何かの祭に出るというものは、やることが同じであってもどこか違うように感じるのだ。

 客は変わらない、やり方も変わらない、しかし誰もが祭を楽しみにやって来る。それは人もあるが、神だってそうである。楽しみたいから遊技場に来るのだ。祭であれば特にその面が強い、なぜか人を興奮させるようなものがある。

 それならば、楽しみに来た客をより楽しませるために、客のテンションを下げるようなことはできない。


「そろそろ寝るっすか」

「あぁ、お休み。この五大祭、やり遂げような」

「もちろんっすよ!」

 

 オルブフの言葉にそう返すと、彼は元気な声で答えながら部屋の電気を消した。途端部屋の中は暗くなり、窓から差し込む月明かりのみが部屋を薄ぼんやりと照らす。

 微かに聞こえるオルブフとロルの寝息、そして外からは微かな風の音。それらを月光に照らされながもぼんやりと聞いていると、先程少しばかり緊張していた心が少し落ち着く。

 いつもとは違う状況下での遊技場運営だ、確かに緊張はする。しかしそうだ、やり方は変わらないのだ。なんだ、さっき考えていたじゃないか、方法は同じだと。

 いつものように対応し、いつものようにお客を楽しませる。それでいいのだ。変に気を負っては出来ることも出来なくなる。

 今までどれほど『第五遊技場』の主を務めていたのか、これでは他の従業員に示しがつかない。


 お客を楽しませよう、いつものように。ただただ純粋に、そう思って。


 少しだけ笑みが洩れながら、程よく解けた緊張感の中俺は寝息をたて始めた。




 翌朝、起きた俺達は入場門の前へと来ていた。隣にはすでに正装へと着替えたオルブフとリアナの姿がある。ロルはまだ眠たいらしく、眠そうに眼を翼でこすっていた。

 その姿を微笑ましく思っていると、目の前の魔法陣が輝く。そして次の瞬間、そこに現れたのは懐かしい顔ぶれだった。


「お待たせして申し訳ございません、秋人様」

「お待たせ、しました」

「お待たせしましたのです!」


 目の前には正装を着たジェラルドさん、リリアラ、そしてルルアラの姿。三人はこちらへと歩み寄ると、俺の数歩前へと横一列に並ぶ。オルブフとリアナもその列へと加わった。

 

「秋人様、一言お願いできますかな」

「あ、わかりました」


 ジェラルドさんの言葉に慌てて頷く。いつもこのようなことが無かった為、手間取ってしまった。

 視線を目の前へと向けると、誰もが俺の言葉を待っているようにこちらを見つめる。そこまで見つめられても、俺はうまいことなど言えない。

 それでも寝る前に考え、そして気持ちの整理もついている。


「五大祭といういつもとは少し違う状況で、戸惑うかもしれない。それでも俺達がやることは簡単だ、酷くシンプルなことだ」


 心に響くような言葉ではないかもしれないが、俺の言葉で言おう。


「いつものように、お客を楽しませる! それだけだ!」


 勢いよく言いきった俺の言葉は辺りに響く。その言葉を聞いた目の前の皆は、一様に笑みを浮かべて一つ頷いた。


「「「「「了解しました」」」」」

「ピニョ!」


 一人は尻尾を振りながら任せろ言わんばかりに胸をたたき、一人は柔らかく綺麗な笑みを浮かべ、一人は規範とも呼ぶような一礼をし、一人はもう一人と顔を合わせてその結んだ長い髪が揺れるように元気よく頷きながら答える。

 そしてそれに合わせるように翼を羽ばたかせながらも威勢よく答える鳴き声もある。

 

 魔法学園の時計台から空へと向けられて魔法が一つ放たれたかと思うと、開催を知らせる花火が鳴る。

 それぞれがその言葉をきっかけに自分の持ち場へと向かい、従業員である中身が空洞の鎧の兵士が槍を片手に入場門の門を開けた。



 これより、五大祭の開幕、そして『第五遊技場』の催し物「空中遊技場」も開園である。

 

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