19th 雨の日は事象さえも掻き消す
雨の日は事象さえも掻き消す
詩:遍駆 羽御
スクリーンに映る登場人物の光景
子どもとキャッチボールをする父親
ボクは苦笑いした コートの内側に眠る殺意のない光景に
映画館の扉をゆっくりと閉め 見上げた夜空
星が無数に瞬く 明るさは戻れぬ日に繋がっている
そう ボクは何の根拠もない信仰を抱いていた
ボクの跡をつける足音に耳をすませて何度も
「ごめんね」
と胸に刻み過ぎた
突然に振ってきた雨に足を取られることもなく
足音達は軽快なリズムを刻む
そのリズムを終わらせる大音響はされど 雨に掻き消された
アスファルトの上に転がる死体の手が頑なに離さない
オモチャの水鉄砲
死に場所はこんなもんだろう、と男は魂で語る