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Little Boogie man & Me 小鬼と俺の黄泉奇譚  作者: クリステル


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4/8

「あの世の果てへ」

此処は俺の頭の中の部屋だ。

部屋の中にあるのはテーブル一つと椅子2脚。

俺は椅子に腰掛けて目の前の扉を見つめている。

さて、どんな奴が入って来るか見てみよう。



〝コンコン〟

「どうぞ、入ってくれ。」

「いやぁ、久しぶりだな。大きくなって驚いたよ。」

入って来たのは俺より二回りも年長の男だ。

「あなたは誰ですか?」

「あぁ、私は君のお父さんの知り合いでね。君が赤ん坊の頃、よく君の家に遊びに行っていたんだよ。」

「俺は憶えてませんが…。」

「いや、記憶にないならこの部屋には入れないよ。その机の最初の方の引き出しに仕舞ってあるはずさ。」

「潜在意識って奴ですね。で、何か俺に用ですか?」

「いや、窓から君が座ってるのが見えたんでね。」

「そうですか…。」

「…………。」

「…………。」

「じゃ!」

父の知り合いは気まずそうに部屋を出ていった。

これはまずいな。先が思いやられる。



〝コンコン〟

「どなたですか?」

「陽光台小学校、3年5組。相田恭子。」

記憶の糸が一瞬で繋がって彼女の顔が浮かんできた。

「どうぞ、はいって。」

白い体操着にブルマー。イメージ通りの相田恭子が入って来た。

「どうぞ、座って。」

「こんにちわ。あなたを助けられるかと思って来たの。」

「どういう事?」

「心に引っかかってる事があるでしょ? 喉に猫の毛が引っかかってるみたいに。」

「そうだね…。君は僕の初恋の人かもしれないしね。」

「そうよ。あなたは難破した大きな船の中で何度も私を助けてくれたわ。」

彼女は僕の悪戯を見つけたようにクスリと微笑んだ。

「まいったな…、そんな事までわかるんだ…。」

顔から火が出るぞ!

「あなたが見てるのも知ってたのよ。」

そう言って彼女は首のところだけ黒い線の入った体操着を一枚脱いで〝肌着〟姿になった。俺の顔からはマグマが噴き出した!

「ちょっと待って!それはちょっと…!」

「私もあの日、月曜ロードショー観たのよ。そうしてその日の夜から毎晩同じ夢を見るようになったわ。あなたに手を引かれて壊れかけた橋を渡って、あなたに支えられてハシゴを登って、あなたに抱かれて火の海をくぐって…。」

「マジか…。」

これは心の中での心の声。

「私にとってもあなたは初めて意識した異性の人…。初恋の人よ。」

青天の霹靂だ。

「さ、これで安心ね。それじゃ私行くわ。小鬼さんもさようなら!」

「えっ?」

慌てて隣を見ると小鬼がニコニコして立っていた。

「なんだお前、いつから居たんだ?」

小鬼ニコニコ。

ふと気付くと彼女はもう部屋には居なかった。



〝コンコン〟

「どなたですか?」

「オレだよ、オレ!〝ろく〟だよ!」

一週間前に死んだ友達だった。昨日は葬儀に行ってお別れをして来た。

「なんかさ〜、驚いたよ。オレ死んだんだぜ!」

「驚いたのはこっちだよ!一体どうしちゃったの、ろくちゃん?」

10日前、最後に会った時には変わった様子はなく、ニコニコしながら馬鹿話ししてお酒飲んで一緒に歌をうたって…。

ろくちゃんの死を知ったのも他人のSNSで『うそだろー!しんじられないよ。』みたいな投稿ばかりだったから俄には信じられなかった。確かな情報が入るまでは、只不吉な不安ばかりだったのだ。

そんな物思いに一瞬耽っている間に、ろくちゃんは小鬼とニコニコしながら〝あっち向いてホイ〟に興じていた。

「ろくちゃん!」

「おっ、悪りー悪りー。」

「身体調子悪かったの?」

「そうだなぁ、医者に酒は止められてたんだけど、コレばっかりはなぁ…。」

「そうだね…、好きな事が出来ない事ほど辛い事はないもんね。」

「な、そうだろ!そう言ってくれると思って会いに来たんだよ!」

「でも…、SNS見た? 皆んな凄く悲しんでる。ろくちゃんは皆んなに愛されていたんだね。」

「マジか! 死んだらSNS見れないからさ。どれ、見せてよ!」

俺はスマホのろくちゃん関係のページを見せてやった。ろくちゃんはスマホをスクロールしながらポロポロと大粒の涙を流した。

「涙腺弱っ!死んでも泣くんだ?」

そう言う俺も涙でボヤけてまともにろくちゃんを見れなくなっていた。

「うんうん、よかった。これで良かったんだよ。オレもこの先の人生どうなっちゃうかわかんなかったからさ〜。こんなに皆んなに愛されてる今で良かったよ。」

「そうか? そんなもんかね。もう少しろくちゃんと楽しく遊びたかったけどね…。」

「いやいや、そう言ってくれると思って会いに来たんだよ!いろいろ有難うな!向こうでも見てるからさ、見れるかどうか知らんけど、ガッハッハ!」

ろくちゃんは豪快な笑いを残して逝ってしまった。



〝コンコン〟

「誰?」

「餓鬼の牛頭ごずと申します。」

こう言っては身も蓋もないが、醜い見た目と酷い声だ。

「閻魔様からのお言伝けです。小鬼様には式神への昇進試験を受けられますように。それから、小鬼様がお世話になっているあなた様にご挨拶がしたいので御同行下さいますように。」

「何と!おまえ試験うけるのか!」

小鬼、例の困り笑い。



〝コンコン〟

「誰だ、忙しいのに!」

「ポールだよ。」

サー・ポールマッカートニーが現れた。

「君、ブギーボーイとあの世にいくんだろ? ジョンに会ったらクレジットの名義変更の件で気を悪くしないように言って欲しいんだよ。」注1

やれやれ、あの世でジョンレノン探しか…。先が思いやられたが、まぁ、それも一興かもしれないな。






注1

ビートルズ時代のクレジット名義〝レノン=マッカートニー〟をポールが〝マッカートニー=レノン〟にしようと画策してヨーコにドン引きされた事がある。

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