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Little Boogie man & Me 小鬼と俺の黄泉奇譚  作者: クリステル


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26/27

明日に架けるベヒモス


「おはよう!今日は宜しく頼むぞ、エンマー殿!」


え、セシルさんも?

迷彩上下に革の胸当て腰にはレイピア。やる気満々だ。


「ろくちゃん…。」

「しょーがねぇだろ、俺お嬢の奴隷だし。」

確かに了承はもらわないとね。


「私だけ仲間ハズレはズルいぞ!コレでもギルドマスターだからな。足手纏いにはならないさ!」


あれ? またデジャヴ?


「セシルー!」

「セシルニャン!」

「セシル様!」

「うんうん、皆んなもおはよう!よろしく頼む!」


うん、子供達はセシルさんに懐いてる。

優しいお姉さんだな。


「はい、ではとりあえずダンジョン前まで転移しまーす。皆んな円陣を組んで手を繋いでー!」


〝転移ー!〟


ここからはマップを見ながらどんどん森の奥へ。


「ある日♪」

「「「「ある日♪」」」」

「森の中♪」

「「「「森の中♪」」」」

「ドラゴンに♪」

「「「「ドラゴンに♪」」」」

「出会った♪」

「「「「出会った♪」」」」


ろくちゃんの固有装備アコギまで出して森のドラゴン大合唱!

こっちで流行りそうだな。


「2時の方向、何か来るよー!」


〝ビュッ!〟

「ギャー!」


骨子ちゃんの〝凍てつく矢〟で瞬殺の〝森のクマさん〟ならぬ〝ビッグベア〟

お呼びでないってか?


「11時の方から来るよー!」


〝ビュッ!〟

「あ、避けられました!」


「我に人の食い物をよこせ!さすれば我が守護せん!」


「セシルさん、何すかあれ?」

「あ〜、人に餌付けされたフェンリルだな。神獣などと言われているが食い意地ばかりで実は大して強くなくてな、コスパ悪いからスルーでいいだろう。」


「ねえねえ、食べ物ない?守ってあげるけど?ねえねえ?」

フェンリルうぜえ!

「シャーッ!」

「うわっ!何だよー!けちー!絶対後悔するからなー!」

神獣って…。


「前にデッカヘビいるよー!」

「あれは三又だ。デカいな。」


頭が三つに分かれたデカいヘビ。口から細い舌がチョロチョロと出ている。


「ヘルバインド!」

ジョンが地獄の鎖で縛りつける!

動きを封じてしまえば皆んなでザクザク切り放題だ!

あれ? フェンリルまだ付いて来てる。恩を売って食い物強請るつもりか?

「キャイン!」

あ、尻尾で飛ばされた。

哀れフェンリル、さよならフェンリル!帰りに会ったら飴ちゃんでもあげよう。


森の境界にトレントの群生地があり少し焼いて俺達は森を抜けた。


少しだよ。本当に通り道だけ。後でセシルさんのゲリラ豪雨で鎮火しといたし。


森を抜けた先は緩い勾配が続く岩場だ。ロックゴーレムとか出そうだなあなんて思っていたら本当に出た。

そちこちからワラワラと。

岩をも穿つウォータージェットの多重詠唱で通り道を開ける。


「鳥だ!」

「飛行機だ!」

「ワイバーンだ!」


かなり高い上空をワイバーンが数匹旋回していてこちらに気付いても襲ってくる様子はない。

異世界感高まるな。ワイバーン狩りたかったけど、先を急ぐからまた今度だな。


「ある日♪」

「「「「ある日♪」」」」

「山の中♪」

「「「「山の中♪」」」」

「ワイバーンに♪」

「「「「ワイバーンに♪」」」」

「出会った♪」

「「「「出会った♪」」」」


ワイバーンに変わってる!〝山のワイバーン〟


「なあ閻魔、俺さっきのゴーレムの経験値で昔に戻れた気がするんだ!」

マジか?


ロクロー・ブルースマン

種族……ほとんど勇者(奴隷)Lv72

HP……820/820

MP……515/550

SKL……勇者のやる気、勇者の叫び、勇者の歌、HERO(ヒーローになる時、それは今)、勇者の雰囲気、ブルースマンの叫び。ツイスト&シャウト、勇者のアコギ、勇者の大声、勇者の声援、夫婦漫才。

勇者魔法……ギラ、ギラギラ、メラメラ、メラギラ、メラギラン、ギラメゾン、ホイミー、ホイホイミー、ハイミー、ハイハイミー、ベルハイミー、夜霧のブルース、中之島ブルース、リズム&ブルース、マンハッタンブルース、ブルースブラザーズ、フーチークーチー、ペラプンテ。


「なるほど、コレがろくちゃんの最盛期?」

「数値的にはな。スキルはかなり違うけど。」

「そっかー、よく頑張ったじゃん!」

「うんうん、ロクロー殿は頑張ったからな!」

「お嬢が一緒だったから頑張れたんだ!ありがとな、お嬢!」


(私の数値の方が上なのは黙っておこう…。)


(閻魔の眷族の僕の数値が上なのは言わないでおこう…。)


(ニアリーの方が強いのは黙っておくニャ。)


(ノーライフクイーンの私の方が上なのは黙っておきます。)


(フェンリルの我の方が強いが人の食い物の為に黙るか。)


俺のステータスが勇者の倍以上なのは黙っておこう…。


「あ、1km先に建造物!」


「アレは哨戒砦だな。20年前に作ったんだよ。よく残ってたな。あの先に渓谷があって巨大な魔物がいてよ。物資の中継地も兼ねて作ったんだよ。渓谷の橋は…、落ちてるな。」


「「「山小屋ー!」」」


子供達は山小屋に大はしゃぎでここに泊まるってきかない。


「もうここは魔の山の領域なんだから、夜も見張りを立てないとダメなんだよ。」

「…………。」


子供達の要求に弱い俺。

昨日慌てて買ったお弁当もあるし順番を決めて見張りを立てる事にした。


お弁当をレンチン(俺のマイクロ波)して食べ終わってもまだ外が明るかったので、ろくちゃんと渓谷の橋のあった場所を見に行った。


「完全に落ちてるな。」

「まあ、ロープなんて腐るからね。」

マイクロ波を距離計にして測ってみると対岸まで218mだった。

「最悪骨子ちゃんの弓でロープ渡してジップラインだな。」

「子供達はその方が喜びそうだ。」


山小屋に戻ると中にあった寝具にセシルさんがホットブロウをかけているところだった。うん、布団乾燥機だ。

カプセルホテルよりも狭い山小屋の収容人数重視の木組みのベッドに子供達は大はしゃぎだった。

パーソナルスペースが狭い方が安心出来るというのは分からないでもない。

うん、猫が段ボールに入りたがるのと一緒だな。


夜中スマホのタイマーで目を覚ました。今の見張りはろくちゃんとセシルさんか。


「骨子ちゃん、見張りの時間だよ。」

「うーん、お兄ちゃんもう食べれないよー…。」

いい夢見てるらしい。


「キャーハッハッハッー!」

「ガーハッハッハッー!」

楽しげなロクローセシルペア!


「エンマ様、シー!」

え、骨子ちゃん、覗きか?

「いい雰囲気を邪魔しちゃダメです!」

うん、まあいいけど…。


「あ、流れ星!」

「おう、魔の山の空は王都とも領都とも違うな!」

「そんなことより、願い事!」


「………。」

「………。」


「ロクロー殿は何を願った?」

「それは言えねぇな!」

「何だよ、いいじゃないか命令するぞ!」

「じゃあお嬢の願い事教えてくれたら言うよ!」

「私か…。」

「言うのかよ!」

流石夫婦漫才!ろくちゃんのツッコミも冴えてきた!


「私は…、こうしてずっと皆んなと(特にロクロー殿と)楽しく過ごせるように…、と。」

セシルさん心の声ダダ漏れで顔面紅潮!見てるこっちも恥ずかしくなるぜ!


「そっか…、お嬢の願い叶うといいな。」

「で…、ロクロー殿は?」

「俺か…。」

珍しく真顔のろくちゃん真剣モード!


「20年前から喉の奥にネコの毛が刺さったみたいな事があってよ…。」

ろくちゃんそれ魚の骨ー!


「それがスッキリ取れてくれないと本当の意味で前へ進めない気がするんだ。」

20年前?魔王討伐か?


「それが今回の旅で取れりゃいいなって…。」


何だろうモヤモヤがモヤモヤする。


「いい雰囲気ですねー!」

骨子ちゃんが小声で囁く。

そうなの?


20年前か…。

そう言えばその頃のゲームに出てきた魔物で〝爆発岩〟みたいなのがいたなぁ…。丸っこい岩石に顔があるヤツ。アレってゴーレム系なのかな…。


たまたまポケットに入っていた今日討伐したゴーレムの魔石を無意識に触っていたらそんな疑問が浮かんできた。


全然攻撃してこなくて青い目が黄色になると『爆発岩はチカラを溜めている』みたいな説明が入って、赤くなると自爆して大ダメージを受けるみたいな…。


俺は何となく足元の土をコネコネしてゴーレムの魔石の団子を作っていた。


目が赤くなる前に倒しきらないとほぼ即死的な…。アレには参ったなぁ…。


『土魔法/ゴーレム錬成を取得しました!』


え?


手元を見るとソフトボール大になったゴーレム団子の真ん中に顔があり瞳の色が青から黄色に点滅しだしていた。


え?


ちょ…、


止めて!


こんな所で自爆しないで!


皆んな起きちゃうじゃん!


「エンマ様?」

慌てる俺の緊張が骨子ちゃんに伝播する!


ゴーレム団子、無情にも〝赤点滅〟!


やばっ!


俺は咄嗟に渓谷の方にゴーレム団子を遠投した!

次の瞬間!



〝ドガーーーーーーーーーーン!〟


「テッテレー!」「テッテレー!」「テッテレー!」「テッテレー!」「テッテレー!」「テッテレー!」


何故か俺を含めてレベルアップ音が鳴り響いた!


「「「「「「何だー?」」」」」」


「皆さん、大丈夫でーす!流星が落ちたみたいでーす!」

俺の咄嗟の言い訳にジト目の骨子ちゃん…。

「山間部ではよく落ちるんだよ、流星!星のカケラ!スターダスト!シューティングスター!」

さらにジト目の骨子ちゃん…。


「さ、ろくちゃんセシルさん、見張り交代だから早く寝なさい!」


翌朝、巨大な〝ベヒモス〟の死体が渓谷を塞いでいた。


橋問題片付いたじゃん。


結果オーライ!


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