魔王転生とマネーの虎
ゴンちゃんと奴隷ちゃん二人を残して領都に借りた一軒家に〝転移ー!〟
「キャー、新しいお家ニャー!」
うん、新築じゃないけどな。はしゃぐ気持ちはよくわかるよ、ニアリー!
あれ? デジャヴ?
「今日からここに住むからねー。骨子ちゃん、お金渡しとくから必要なものとか買ってきて部屋割りもしといてね。俺はちょっとダンジョンに行ってくるから。」
「はい、わかりましたエンマ様。」
うん、この中で1番良識がありそうなのがノーライフクイーンだよ!
ダンジョンに〝転移ー!〟
「エンマーどの!ロクロー殿がー!」
かなりテンパったセシルさん!
あれ? またデジャヴ?
「私にステータスを見せてくれないんだ!」
子供の告げ口か!サラサラサラっとろくちゃんのステータスを紙に書いてセシルさんに渡す。
「あ、閻魔、てめぇ!」
うん、しばらくそれ読んでてね、セシルさん。
「ろくちゃん!ちょっと二人きりで話したいんだけど!」
「お、おう…。じゃ転移の小部屋行くか…。」
「ちょっとさみーな。」
俺がゴブリン氷漬けにしっぱなしだからね。
「プチ・インフェルノ!」
ピンポン玉くらいのインフェルノだけど結構な熱量を放つ簡易暖房だ。
「あ、おう、助かるぜ。で、何?」
「〝魔王〟の事だよ!」
「魔王、がどうした…?」
「ろくちゃん、ちゃんと魔王を討伐してないんじゃないの?」
「う…、それなんだけどよー…。アイツ〝転生者〟だったんだよ。」
「魔王が転生者?何でわかったの?」
「魔王城の魔王の間に入ったら〝聖飢魔II〟の閣下の蝋人形が飾ってあってさー。聞いたら聖飢魔IIのファンだってだけでイジメにあって転生したらしいんだ。でもなんか新法施行初期の転生って手違いが多かったらしくてまさかの〝魔王転生〟なわけよ。そんなヤツ討てるわけねぇじゃん。で、仕方なく蝋人形の閣下の首を撥ねて討伐したぞーって…。」
哀れ蝋人形の閣下…。
まぁ好きなものを否定されるのはキツイな…。
「そうだったんだ…。ろくちゃんはこっちの女神に会った?」
「あ〜、あいつな〜。魔王もアイツの被害者だよ。」
「その駄女神が魔王に会えって言うんだよ。」
「あいつの言う事はともかく、そろそろ会いに行かなきゃな。それに、魔の山は経験値ザクザクだしな!」
「ふーん、じゃあ皆んなで行くか!」
「何を内緒話ししてるんだ?私だけ仲間外れはずるいぞー!」
「セシルさん可愛い女だよね?」
「そうだな、可愛くてたまらねぇよ!」
行こう、魔王に会いに!
ずっと借りっぱだったホテルカリホルニアのチェックアウトに寄ったら奴隷商のドレインさんから伝言があった。
「お探しの奴隷が見つかりました。」
俺はその足でドレイン商会へ。
「虎治郎です。」
「読み書き計算が出来る奴隷という要望に叶いますかと…。」
虎治郎
種族……獣人 (虎人)Lv3
職業……会計士
HP……35/35
MP……15/15
SKL……計算、暗算、金勘定、簿記、損得勘定、読み書き、守銭奴、マネーの虎。
獣人魔法Lv3……咆哮、爪痕。
うん、スキルは完璧だね!
最近スキルに人物鑑定が生えてパーティー以外の人もわかるようになった。
「ポイズントードの毒霧にやられて失明し冒険者として闘えなくなったそうです。」
「うん、虎治郎君買いましょう!」
「シゲコさん、ちょっと〝きつね御殿〟に行ってジョンを呼んできてくれないかな?あ、そうだ、ついでに奴隷ちゃん4人も連れてきて!」
虎治郎君の手を引いて赤いきつねに来た俺は早速ジョンに虎治郎君の目を治してもらう事にした。
〝きつね御殿〟は俺達の新しい領都のホームの呼び名だ!
誰が呼んだかきつね御殿。
「虎治郎君は目が治ったら何をしたい?」
「はい、元のとおり冒険者が出来ればご主人様のお役に立てると思います。」
「たしかに君は虎人だからね、冒険者として闘えるんだろうけど…。本当は他にしたい事、好きな事があるんじゃない?」
「やりたい事ですか…。」
そんな会話をしているとシゲコさんがジョンと奴隷ちゃん達を連れて帰って来た。
「ジョン、悪いんだけど虎治郎君の目をみてやってくれないか?」
「うんわかった、とうちゃん!」
ジョンが虎治郎君の目に手をかざすと淡く患部が光だし、やがて光の粒子となって両眼に吸い込まれた。
ジョージ君もシゲコさんも奴隷ちゃん達も一度は経験済だけど真剣な表情で虎治郎君を見守っている。
「ご主人様…、コレは?」
「俺の指見える?」
「は、はい!」
「何本に見える?」
「3本…です!」
「俺の髪の色は?」
「黒です!」
全問正解!問題なく見えてるようだ。
「君の眼を治したのは俺の息子のジョンだよ。俺もジョンも稀人なんだ。だからこんな事も出来たりする。で、此処は俺が経営する蕎麦屋〝赤いきつね蕎麦店〟だよ。此処の他に温泉街と領都に店を出すつもりなんだ。店員はそれぞれの店3人体制で売上げは月に金貨約2枚。」
「飲食店で売上げ金貨2枚は素晴らしいですね。」
うん、虎治郎君若干興奮気味。
「週休2日は…、まだ早いか。7日に一度は定休日を設けて従業員に休みをあげたい。で、労働災害、仕事中の怪我だね。それに関しても完全に保証したい。それと退職金制度。大体30年くらい働けば大概の人は身体も衰えて働けなくなる。そうして辞める従業員に老後のまとまった生活資金を渡してあげたいんだ。その為に毎月コツコツ積み立ててね。」
「す、素晴らしいお考えですね!」
うん、虎治郎君だいぶ食いついた!
「君、そういう計算得意だろ?」
「あ、はい出来ます!やらせて頂けますか?」
「月に金貨2枚の全てが利益じゃないからね。店と寮の家賃や材料費、消耗品に広告費、全部引いたものが利益でそこから従業員10人分の給料を計算しなきゃならない。」
「え、9人分では…?」
「虎治郎君、君はこの〝赤いきつね〟グループの〝会計士〟なんだから君も給料を貰わなくてどうする?」
「あ、はい…。有難うございます。でも、失礼ながら、ご主人様の取り分は…?」
「俺達は稀人だからどうせ向こうに帰るんだよ。まぁ初期投資分は分割で返してもらうけどね。だから俺達の取り分は考えなくていいんだ。たまに店で美味い蕎麦が食えれば充分なんだよ。なぁジョン!」
「うん、とうちゃん!」
そうなんだよ。そろそろ俺達がいなくなった後の皆んなの事を考えておかなきゃって思ったんだ。
俺達は一生コッチにはいられないし、この子達にはずっと健やかに過ごしてもらいたいんだ。
「で、コレが王都の最上級魔導技師に作ってもらった『テスラー送信機〝オクレルーン〟』」
「「「「おー!」」」」
「各店舗の売上げやら連絡事項をコレで送れるから活用してね。王都のゴンちゃんに聞きたい事とかもあるでしょ?」
「はい、助かります。」
で、温泉街行きの奴隷ちゃん二人を〝グッパー〟で決めてジョージ君も連れて温泉街店へ〝転移ー!〟
ここにも『テスラー送信機〝オクレルーン〟』を置いてっと。
「後は任せたぜー!」
〝転移ー!〟
領都に戻って明日からの魔王国遠征の準備だ!
食べ物屋さんを回ってお弁当を片っ端から買い漁って…。
途中で気がついた。
1日進んだらマップにカラーコーン立てて領都に転移で戻ればいいじゃん!




