夫婦漫才
「エンマーどの!ロクロー殿がー!」
かなりテンパったセシルさん!
「転移のトラップを踏んで消えてしまったのだ!」
え、緊急事態?
とりあえずマップでろくちゃんの位置を確認…。
あ…、れ…?
「この壁の向こうに出口の無い部屋があって魔物50匹くらいと一緒にろくちゃんが居るみたいなんだけど…。」
「本当か、エンマー殿!」
何やら様子が変だ。戦闘中とは思えない動き方…。
「とりあえずウォータージェットで開けますんで、セシルさんは下がっていて下さい。」
岩をも穿つウォータージェットー!
ゴゴゴゴゴゴー!
パカン!
「ろくちゃん?」
セシルさんに待てのハンドサインして覗いて見るとそこは、アコギを抱えて大声で歌うろくちゃんと魔物達の〝ゴーゴー喫茶〟!!
「よう、エンマ!転移で飛ばされたと思ったら無限湧きのゴブリン部屋でよ!夜霧のブルース、中之島ブルース、リズム&ブルースの3タテでこの騒ぎさ!」
流れてるのはリズム&ブルースだったか!
「とりあえずそこから出て!」
ろくちゃんが出たところで先日覚えた氷魔法〝アイスランド〟でゴブリン軍団を氷漬けにして俺も外に出る。
「ロクロー殿!」
ろくちゃんに泣きながら抱きつくセシルさん。戸惑うろくちゃん。いいなぁもう…。俺だってエロい妻が居るんだから…、今は居ないけど…。
で、2人のステータスは…、
ロクロー・ブルースマン
種族……少し勇者(奴隷)Lv42
HP……420/460
MP……215/355
SKL……奴隷のやる気、奴隷の叫び、ブルースマンの叫び。ツイスト&シャウト、アコギ、大声、声援、夫婦漫才。
勇者魔法……ギラ、ギラギラ、メラメラ、メラギラ、メラギラン、ホイミー、ホイホイミー、ハイミー、ハイハイミー、夜霧のブルース、中之島ブルース、リズム&ブルース、マンハッタンブルース、ブルースブラザーズ。
セシル・カーマイン
種族……領主(代行)Lv45
HP……295/330
MP……295/420
SKL……魔力感知、魔力サーチ、献身、真面目、恋する乙女、リーダーシップ、結婚願望、夫婦円満、二人三脚、夫婦漫才、デュエット、ペアダンス。
風魔法Lv4……ブロウ、ホットブロウ、ウインドスラッシュ、ウインドランス、突風、カマイタチ、恋の嵐、春風の誘惑、天候操作、ゲリラ豪雨、ライディーン、雲隠れ、ハリケーン。
ろくちゃんは〝元勇者〟から〝少し勇者〟になって〝クズ〟がとれてランクアップ?だよね? 二人に夫婦漫才って…。
うん、もう訳わかんないけど、二人とも頑張ったんだね。
「とりあえず今日のところは一旦上がりにしましょうか。」
「そ、そうだな。」
「その前にセシルさん。」
「何だエンマー殿…。」
「ちょっと此処で実験しておきたいんですけど、目を閉じてこの周辺の魔力を感知してみてもらっていいですか?」
「お、おう…、こうか…?うわっ!眩しいなエンマー殿は!」
「俺の事は無視してもらって、周辺の地形にフォーカスしてみて下さい。」
「地形か…。」
「他と違って魔力が溜まっている場所が無いですか?」
「うん、あるな。一点だけ不自然な魔力が…。」
「それが転移トラップです。転移魔法は凄く魔力を消費しますからね。」
ついさっきのテスラ先生の受け売りだけどね。
「おー、そうなのか?え、ならば私が先に気付いていれば回避できたのか!ロクロー殿、申し訳ない。」
「いやいやお嬢、俺がおっちょこちょいなだけだから。」
「まあ、ろくちゃんは昔からねー。」
「おいおい!」
「それじゃあセシルさん、その魔力感知を薄〜く伸ばすイメージで周囲に広げてみて下さい。」
「お、おう…。成程、魔力が地形に反射して立体的なマップになるのか!
ん?この赤い点は?」
「それが魔力サーチ、赤い点は魔物の居る場所です。」
「そうなのか!それは凄いな私!」
「そうなんですよ。ちょっと確認したいことが他にもあるんで、赤いきつねに飛びますよ!」
〝転移ー!〟
「あ、エンマ様、お疲れ様です。」
赤いきつねで出迎えてくれたのは居残り組の猿人のジョージ君とヒューマンのおばちゃんシゲコさん。ん?転生者の末裔的な?
「お疲れ様ー。どう?二人で上手く回せてる?」
「はい、何とかやってます。」
「そっかー、それは良かった。で、温泉街に新店舗出すからジョージ君にはそこの店長をしてもらいます。で、ここの店長さんはシゲコさんね。」「ウキー!マジっすか?嬉しいっす!」
「そんな私が此処の店長だなんて…。」
ノリノリなジョージ君に自信なさげなシゲコさん。
「二人なら大丈夫。それぞれ二人づつ部下をつけるからね。頑張って!あ、それと奥の座敷かりるよ。蕎麦とカエル焼き3人前お願いね。」
「で、ろくちゃん。そのアコギどうしたの?」
「なんか出た。」
固有武器とか装備とかの扱いなのかな?生前中古のアコギ集めるのが趣味だったもんなぁ。
「ろくちゃんは自分のステータス見れるよね?」
「おう、全盛期とまではいかないが、だいぶ上がって来たな」
「じゃあセシルさんのステータスは見れる?」
「え?他人のステータスは見えないけど…。」
「ちょっと待て。ステータスって何だ?」
あー、ここではそういう感じなんだー。
「コレが今のセシルさんのステータスです。」
俺は紙にサラサラっとセシルさんのステータスを書いて渡した。
「ちょっ、〝恋する乙女〟って…。こ、これはヒトには見せられんな!」
まあそうだろうね。
「スキルや魔法に関して俺も全て分かるわけじゃないし、二人のは特にイレギュラーな能力が多いんですよ。だから明日からはそれを踏まえて個々に実戦で検証して磨いていって下さい。」
「そうか、いやこのステータスを知っているだけでもだいぶアドバンテージがあるな。ロクロー殿のステータスも見せてくれるか?」
「嫌だよお嬢。お嬢のも見せてくれたらいいけど…。」
「わ、私のはたいしたものじゃないからな。ヒトに見せるようなモノじゃないのだよ、ハッハッハッ!」
「じゃあ俺のも見せらんねぇなハッハッハッ!」
「まぁそう言わずに見せてくれよ、ハッハッハッ!」
「嫌だよ、お嬢のこそ見せろよ、ハッハッハッ!」
「ロクロー殿は私の奴隷なんだから命令には逆らえんだろうハッハッハッ!」
「こんな時命令だなんて汚ねえぞ、お嬢!ハッハッハッ!」
何だ?〝夫婦漫才〟発動か?
オモロいなこの二人!
「もうええわ!」
と二人をほっといて俺は王都のダンジョン〝カエルの狩場〟に攻略組を迎えに行く。
〝転移ー!〟
「カエルの歌がー♪」
「カエルの歌がー♪」
「カエルの歌がー♪」
うん、骨子ちゃんの歌が上手くなって完璧だ!
「お疲れ様ー!カエル沢山獲れたかな?」
「「「500匹ー!」」」
おー、金貨100枚!
「ヨシヨシ、皆んな頑張ったねー!
そろそろ帰ろーか、カエルだけに。」
〝転移ー!〟
ギルドの買取りカウンターにカエルドーン!
金貨100枚ドーン!
で、王都の定宿〝ホテルパシフィック〟にカエル。
その夜は風呂も入らずにベッドでバタンキューだった。考えてみたらコッチに来てもう10日も経っていた。いい加減疲れが溜まってだんだなぁ。
そんな状態な俺の夢の中に女神が現れた。




