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Little Boogie man & Me 小鬼と俺の黄泉奇譚  作者: クリステル


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22/27

ファクシミリ


翌日、ゴンちゃんにお金を渡して奴隷ちゃん達の仕事着や普段着の着替え、下着やら生活必需品なんかを買ったりお店の準備をお願いする。うん、こっちでの彼等の寮も要るな。攻略組は護衛に残して、エリスさんもそっちに付いてもらって、俺はサーモスさんと魔導技師さんを訪ねる事にした。


「これはサーモス様、お久しぶりで御座います。」

何処へ行ってもサーモスさんは人気者だ!

「領都へ移ってから無沙汰してましたね。こちらはお嬢様のご友人のエンマー殿です。テスラ君の懸案であった通信機の開発の力になれるかと思ってお連れしました。エンマー殿、こちらが昨夜お話しした魔導技師のテスラ君だ。」

驚きの目を俺に向ける若者は丸メガネの少し気の弱そうな理系男子だった。


「エンマー殿は転移魔法の使い手なんです。」

雑多に散らかった工房のテーブルをザザッと豪快に片付けて席を確保してくれたテスラ君にサーモスさんが告げると、

「本当ですか!」

もう目がシロクロだよテスラ君!


テスラ君の説明によると…、


魔道具は魔力や温度変化に耐性のある魔法紙に魔法陣を落とし込み、魔石を魔力のエネルギー源として魔法を発動させるとの事。

で、転移の魔法陣があれば紙一枚を転移させるくらいの事は簡単に出来る。うん、ファクシミリだな。ただ、転移魔法の使い手が圧倒的に少なく研究に着手できないでいたらしい。


「では早速ですが、こちらの集魔装置の前で転移魔法を発動一歩手前までお願いします。」

テスラくん、もう目がギンギンギラギラきまっちゃってるよ。

うん、一歩手前が難しいな。発動したら転移しちゃうしな。

「…………。」

集魔装置にセットされた魔用紙に淡い青い魔法陣の光が浮かんでいる。


「はい、オッケーです!」

「テスラ先生、いま俺は領都に転移するつもりで発動したんですが、行き先を任意に書き換えられないと凡庸性がなく、商品とはなりにくいですよね?」

「はい、とても良い質問です。この魔法陣の文字列の中からその行き先の部分を特定して任意に書き換えられる仕組みに改良しなければなりません。むしろ難しいのはそこだけなんです。」

コレはアレだPCのC言語と魔法陣の親和性がどうチャラって話しだな。でも俺、SEとかじゃないしなぁ。

「では、次は別の場所をイメージして発動してもらっていいですか?」

なるほど、場所を変えて魔法陣を比較すれば場所のセンテンスは特定出来るわけだ。なので何ヶ所かイメージを変えて発動を記録する。


「あれ、この魔道具で紙じゃなくても何でも転移出来ちゃいます?例えば人とかも…?」

「理論上は可能ですが、そもそも転移魔法は膨大な魔力を消費するといわれてますから…。因みにエンマー様は転移一回にどれぐらいの魔力を使われてますか?」

あー、気にした事なかったけど…、一回で減るMPは…、


「200……、」

「「にひゃくー!」」

「え、エンマー殿は割と転移を連発されてますよね…!一体貴方の魔力総量はどれ程に…?」

うん、よく見てるんだねサーモスさん。


「1万……、」

「「いちまんー!」」

「5千…、」

「「いちまんごせんー!」」


いやだなぁ、サーモスさんもテスラくんも…、そんな魔王を見るような目で見ないでくれたまえよ。確かに1000くらいMP減ったところでどうと言う事もないしな。一晩寝ればMP満タンになるし…。


「俺は稀人ですからね!魔王とかじゃないですから!」

「そ、そういえばお嬢様から聞いてはおりましたが…。」

「そうだったんですね…、まあ仮に一回の転移で200魔力を使うとしたらそれを魔石だけで補うには相当高価な魔石が必要になるわけです。で、コストパフォーマンスを考えれば紙一枚の通信用の魔道具というのが一番現実的な訳です。ですから今記録した魔法陣の出力を抑えてデチューンする必要があるんです。」

「成程よく分かりました。で、開発に必要なデータは取れたわけですね。他に、資金とかは足りてますか?」

「実は…、臨床試験に使う魔石が足りないのですが…。」

うん、魔石は高価だからね。

「丁度手持ちに〝ゴブリンジェネラル〟の魔石が有りますが使えますか?」

「おー、ジェネラルですか!これならもうしぶんありません。使わせてもらいます!」


とりあえず、あとはテスラ君の頑張り待ちとなった。


「エンマー殿は今回出来上がった商品のパテント料や権利を望みますか?」

サーモスさんが振ってくるって事は大切な事なんだろう。

「いいえ、俺は商品の恩恵だけ受けられればそれで充分です。どうかテスラさん、コイツを商品化してガッポリ儲けて下さい。その代わり俺が転移魔法を提供した事は内密に願います。」

今更だけどね、個人情報だからね。

サーモスさんはまた知古を訪ねて情報収集するからと言って工房で別れた。


で、不動産屋によって王都組の住居を探す。人数が増えてもいいように一軒家でも借りておくか。お店のあるメインストリートから少し入ったところだけど丁度いい物件があったから見に行く。


うんうん、日当たりも良くて庭もあって家具も揃って5LDKで一年で金貨1枚!

即契約して皆んなを転移で連れて来る。


「キャー、新しいお家ニャー!」

うん、新築じゃないけどな。はしゃぐ気持ちはよくわかるよ、ニアリー!領都でも一軒家借りる?


「ゴンちゃんと奴隷ちゃん2人はこれからここに住んで店まで通ってもらいます。あとの奴隷ちゃん達は温泉街店と領都店に振り分けるからゴンちゃん、人選しといてね。」

奴隷ちゃん達全員手を挙げて希望者殺到!うん、他の店の労働環境も喫緊の課題だな。


色々お金がかかって懐が心許なくなって来たのでメインストリートのギルドによって大量にストックしてあるビッグトードを換金する事にした。査定してもらっている間に併設の食堂で皆んなでランチ。蕎麦ばっかりじゃ飽きるからな。


「50匹で金貨10枚になります。」

「え、そんなに?」

「最近伯爵領でトード焼きが流行り出しまして買取り価格が上がってるんです。」

「あー…、そうなんですねー…。」


で、攻略組にはダンジョンでカエル狩りを指示してゴンちゃん達は引き続きお店の準備。俺は1人で温泉街の店舗と寮、あと領都の寮の手配に回る事にする。


「じゃあくれぐれも無理しないようにね!」

「「「はーい!」」」


〝転移ー!〟


で温泉街の不動産屋ナウ。


「小さな廃業した旅館の物件がありまして…。」

「それだ!」

寮と店舗が一緒くたで済むじゃないか!


「あー、温泉の大浴場まで!俺が住みたいくらいだよ!じゃあ契約で!」

ここも希望者殺到だろうなぁ。


よし、次は領都だ!


〝転移ー!〟


とりあえず不動産屋さんで寮に使う一軒家を確保。

うん、ろくちゃん達の様子も見ておかないと…。



〝ダンジョンに転移ー!〟


「エンマーどの!ロクロー殿がー!」

かなりテンパったセシルさん!


「転移のトラップを踏んで消えてしまったのだ!」


え、緊急事態?


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