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Little Boogie man & Me 小鬼と俺の黄泉奇譚  作者: クリステル


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20/27

青天の霹靂パート10


翌朝、ろくちゃんセシルペアをダンジョン入り口まで運んでカリホルニアに戻って来るとセシルさんとこの執事サーモスさんが迎えに来てくれていた。


「お嬢様より王都までお送りするように申しつかっております。」


んー、セシルさんの気遣い!恋にとち狂っていてもやっぱり出来る大人だよ!


「ありがとうございます。ではご厚意に甘えさせていただきます。さあ皆んな乗って。」

「「「ハーイ!」」」

今回王都観光も兼ねて子供達も連れて行く。コッチ来て一週間働きっぱなしだったからな。うちがブラックになったらこの子達が新転生法対象者になっちまうしな。ん?コッチの死後の世界は法律も違う?

今度ハナちゃんに聞いてみよう。


馬車はいつもの森側の門とは逆の東門から街を出る。なだらかな丘陵の間に綺麗に整備された馬車道が続いている。余裕で馬車がすれ違える道幅だ。馬車で1日半だと途中で野営かと思ったが、丁度半分の位置に小さな宿場町がありそこで一泊するらしい。小さいながらも温泉が沸く有名な観光地だそうだ。うん、観光地に赤いきつね出店も良いな。着いたら物件を探しておいてもらおう。

因みに異世界アルアルの盗賊山賊の類はいないらしい。魔物が彷徨うろつく場所で生活出来るほどこの世界は甘くはないのだ。たまに冒険者資格を失った連中が廃村とかに集団で住み着く事があるそうだがそういう場所は限られていて、定期的に騎士団や領軍が見回っているらしい。


うん、長閑ないい景色だ。命の洗濯的な?


「え、骨子ちゃんは王都に行った事あるの?」

「はい、王都を知らないと田舎者扱いされるので一週間ほど向こうで小さな依頼を受けながら観光がてら行きました。」


スゲー骨子ちゃん、普通に喋れるようになってる!


「王都には世界一深いダンジョンがあります。〝世界のヘソ〟って呼ばれてるんですよ!」

そして骨子ちゃん得意げ!

自分の国に世界一があるってまあ嬉しいか。


馬車は進むよ何処までも…。


「丘を越え行こうよ♪口笛吹きつつ♪」


新しいブーム到来!


「ランララランランゴブリンも♪」

「「ギョエッギョエー♪」」

ゴブリンはゴブゴブかと思ったらそんな感じか!


そうこうしているうちに3時頃中継地点の温泉街に到着!

湯煙があちこちから立ち昇る風情はえらく懐かしく思える。

で、本日のお宿は、


〝ホテルハワイアン〟


なんかリゾートスパ感満載で風情が台無しだな!


チェックインしてフロントに不動産屋の場所を聞いて出かける。子供達は適当に温泉で遊んでなさい。


「エンマーニャン!骨子ニャンがすごい事になってるニャー!」

物件の条件を伝えて探しておくように頼んで帰って来るとニアリーが興奮気味だ。


「温泉入ったらなんか透明な膜が出来てきて…。」

浴衣姿の骨子ちゃん、コレは透明な皮膚が再生してないか?

確かに温泉の効能に〝美肌の湯〟って書いてあったけど…。

「うん、骨子ちゃん、ドンドン入った方が良いよ。のぼせない程度にね。」

という事で魔物づくしの夕ご飯を頂いた後、骨子ちゃんはダッシュで温泉へ!

俺も少しのんびりしよう!

大浴場は格別スパっぽいところはなく、風情ある岩風呂だった。

風呂上がりにまったりしてると、またハナちゃんから今度は動画で送られてきた双子ちゃん。


『『おとうたまー!』』


え? もう立ち上がって喋ってる?


青天の霹靂パート10!


どうなってるの? 俺の娘達!


うん、今は色々考えないで寝よう!


で、翌日。


「凄いです〝美肌の湯〟!もうお肌スベスベですー!」


骨子ちゃん、完全に生者!


「もう、骨子ちゃんなんて呼べないな!」


「いえ、アリシアはあの森で死んだんです。コレからも〝骨子ちゃん〟でお願いします!」


ん?過去との決別…的な?


「骨子ちゃん。綺麗だね!」

「ニャ、かわいいニャ!」

「やだ、二人とも…。」

照れると余計に可愛いぞ!


「よーし、皆んな馬車に乗って。王都に行くぞー!」

「「「オー!」」」


今日は御者台サーモスさんの隣に骨子ちゃん。なんでも風を肌に感じたいらしい。


暫く行くとスマホのマップに反応が現れた。2kmくらい先、馬車が複数の魔物に囲まれている。お助けイベントの発生だ!


「骨子ちゃん、2km先!馬車が魔物に囲まれてる!見えるか?」

「まだです!サーモスさん、スピード上げられますか?」

「承りました!」

サーモスさんが2頭の馬に鞭をいれる!さらにジョンが〝倍速〟!

馬車は空を駆けるように距離を詰める!


「見えました!撃ちます!」


おいおい、まだ1kmはあるぞ!


骨子ちゃんの放った矢は〝ビュン!〟と音をたてて30°位の角度で5本連射で上空に放たれた!


ココからだと、んー、ゴブリン…?かな?くらいの距離。


その馬車を囲んでいた豆粒ゴブリンがサクサクサクーっと倒れていく!


一匹だけ背中に刺さった矢を引き抜いてこちらに頭を回す一際大きな個体がいた。ホブゴブリンかジェネラルか…。猛烈なスピードで近づく俺達の馬車に向かってソイツも猛然とダッシュで近づいてきた。それを見たジョンとニアリーが迎撃ミサイルのように馬車から飛び出して行く!


ニアリーの〝猫ヒール〟が大ゴブリンの怒りを溶かし目尻が下がって癒されたところにジョンの鬼に金棒が顔面に減り込んだ!


なんて卑劣な戦法だろうか!


馬車が現場に着いた時には全てが終わっていた。


襲われた馬車の扉は閉まったままで中までは様子が窺えない。

サーモスさんが優雅に馬車の扉をノックした。うん、適任だな。


「通りすがりの者です。魔物は退治いたしました。お怪我はありませんか?」

うん、やっぱり適任だ。


〝カチャリ〟

扉を開けて出てきたのは青ざめた表情でガタガタ震えている青年だった。

うん、伯爵令嬢じゃなかった…。

あ、伯爵令嬢はセシルさんで枠が埋まってたか…。


「あ、サーモス様ではありませんか!助けて頂いてありがとうございます。どうやら御者と馬がやられたみたいです。」


サーモスさんの知り合い?

少し他人事感…?

「どうも、冒険者のエンマです。コイツらは俺のパーティーの仲間ですから。で、どちらに向かわれていたんですか?」

「あ、ご丁寧にありがとうございます。私はコーディーと申します。王都の役人をしていまして、地方出張からの帰り道です。至急王都に戻って報告しなければならない案件があったのですが…。」

「それはお困りですね…。ジョン、いけるか?」

「うん、とうちゃん。大丈夫だよ!」


ジョンがそう言うと御者と馬の死体に手をかざして〝アンデッド〟化していく。


「なんと!〝聖魔法〟ですか!」

「いえいえ、アンデッド化しただけです。むしら餌も水も必要無いですから早く着けますよ。倍速もかけておきましょうね。」

「それは…、重ね重ねありがとうございます。皆様も王都へ向かわれますか?」

「はい、そのつもりです。」

「では用事が済みましたらギルドを訪ねさせてもらいます。このご恩はその時に。」


アンデッド馬車は空を駆けるように飛んで行った。


「あれは〝ロバの耳〟ですな。」

何すか、サーモスさん?その童話っぽいのは?


「王家に仕える〝諜報機関〟です。恐らくは我らが後から来るのを察知して様子見していたのでしょう。彼の実力ならあの程度の魔物の群れなど一捻りでしょうから。」

「じゃあ俺達余計な事をしましたね…。」

モヤモヤがモヤモヤする。

「まあ、彼等に貸しをを作れたと考えたら悪くもないでしょう。」

うん、物事は捉え方を変えただけで単純化する。流石は年長者のサーモスさんだ。モヤモヤはスーだ!


大ゴブリンはどうやらジェネラルだったみたいだ。魔石だけ回収して我等も旅を再開!


「王様の耳はロバの耳ー!」

「「キャーハッハッハッー!」」


何そのブーム?


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