赤いきつねにて
『赤いきつね蕎麦店』はオープン初日から大繁盛だった。
なのでまたドレインさんの店でわけあり奴隷を2名購入してゴンちゃんの下につけてある。勿論ジョンの再生で健康体にしてからね。
で、俺とジョン、骨子ちゃんとニアリーの攻略組は転移魔法で飛んでダンジョンへ。
ライトでダンジョン内を照らし所々のトラップは俺の危険察知で回避する。
魔物は序盤にゴブリンの複数グループ。弓使いやら魔術師やらが混じっていて気が抜けない。コボルトも多少頭の切れるリーダーに率いられた群れで、コチラの弱そうに見えるニアリーや骨子ちゃんを重点的に狙って来たりする。まあ二人の敵じゃないけどな。
スケルトンが出た時は骨子ちゃんが前に出て〝カタカタカタ〟と話しをつけると〝どーぞどーぞ〟とばかりに道をあけてくれたりした。やるなぁ、骨子ちゃん。でその骨子ちゃん。さらにレベルを上げて俺たちの名前が辿々しくはあるが言えるようになった。
〝エマ〟〝ション〟〝ニア〟
大した進歩だろう!えらいぞ骨子ちゃん!俺は頭蓋骨の頭をスリスリ撫でてやった。
4階層まで降りると魔物の種類が少し変わった。トカゲ系にアリ、イモムシにカマキリ等の虫系。池(水溜り?)があるゾーンでは2mくらいのビッグトードが伸びる舌で攻撃してきたが、あいつら電気に弱すぎだらろう!ビリビリ1発で瞬殺だった。
「カエルのうたが♪」
「カエルのうたが♪」
「あえうおうああ♪」
絶賛カエルの歌ブーム到来!
ダンジョンでなごむー!
薄暗いダンジョンの中にいると時間経過の感覚がくるってくるな。もう夕方くらいかもしれないし、昼前かもしれない。
今日は充分稼いだから一旦帰るか。カエルだけに!
ダンジョン内で転移が有効か分からんけど、とりあえずカラーコーンをマップ上に立てて
入り口に転移!
ヨシヨシ、出るのは行けるな。
うん、もう夕方だった。時計が無いと不便だよな。探してみるかー。
で、ギルドにジャンプ!
本日の稼ぎは庶民の生活半年分!
皆んなで分けて〝赤いきつね〟で打ち上げだ!
〝赤いきつね〟は満員御礼!こんな時間に来てゴメンな。奥の座敷って空いてる?じゃそこでいいよ。
「やあ、エンマー殿!あの時のソバが食えるって聞いていても立ってもいられなくてな、ロクロー殿と早速お邪魔してるぞ!」
セシルさんなんだか楽しげ。
ん?ろくちゃんはなんか珍しく落ち込んでる?
「どうもどうも、せっかくなんで奥の座敷でご一緒にどうですか?」
という事で座敷も満員御礼!
「ろくちゃんはうちのパーティー初めて…じゃないか。まあ改めて息子のジョンとニアリーと従魔の骨子ちゃんだよ。」
「息子って、お前結婚したの?誰と?」
「ろくちゃんもご存知のエロい姉ちゃん〝閻魔女王様〟だよ!」
「へ!」
ろくちゃん青天の霹靂パート1!
ざまぁミロ!
「それで…、〝エンマー殿〟か…。お前スゲーな!」
うん、スゲーのはハナちゃんだけどね。
「そうか、二人は旧知だったんだな。なんだか私の知らないロクロー殿を知っていそうで妬けるな!」
セシルさんいくら恋にとち狂ってるからって変な事言わないでー!
「お待たせしました〜!」
「あ、ゴンちゃんありがとうね。新人さんはどう?」
「はい、蕎麦打ちはまだまだですが良く働いてくれてます!」
「そっかー、それは良かった。さあ、じゃあ皆んな、暖かいうちに食べよう。今日はお疲れ様でしたー!」
黙々と蕎麦を啜る…。美味しいものを食べる時は皆んな無口になるのだよ。
美味しい蕎麦を食べた後、骨子ちゃんはドニーさんの所へ帰宅。ニアリーは今日からカリホルニアに宿を移すらしい。稼ぎが良くなったからな。
それじゃまたー!と言うとろくちゃんが俺に耳打ちしたきた。
「相談があるからお嬢を送ってからホテルに行っていいか?」
「お、おう…、わかった。待ってるよ。」
で部屋のソファーに野郎二人。子供達は大浴場だ。
「知ってたか? レベルって下がるんだぜ。」
「え?そうなの?」
「魔王倒してから酒と博打に明け暮れ始めてドンドン下がり出した。その時はやる事もねえしまあいいか、なんて思ってたんだ。奴隷に落ちた時にはもう一般人と大して変わらないくらいに落ちていた。勇者魔法もチートなスキルも使えなくなっちまった…。」
「そう…なんだ…。」
またまた返答に困る話しだ。
「でもよー、しょうがねえなって思ってたんだ、お嬢に再会するまではな。」
悔恨だね。ろくちゃんの表情からはそれがダラダラと血のように流れ出ている。
「親御さんを支えて頑張ってるお嬢にあんな風に憧れの目で見られるとたまんないんだよ。こんな俺じゃなきゃ良かったのにって…。全盛期の俺だったら何かしてやれる事が有ったんじゃないかって。」
「ろくちゃん…。」
「閻魔殿!俺をもう一度鍛えてくれねえか?」
「鍛えるって…。」
パワーレベリングか…。
勇者の頃まで戻せるかは分からないけど…。
やるか!




