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担任とルールと入学式

あれから少し寝ていたようだ。


目が覚めると、クラス内はガヤガヤしていた。

既に仲良くなっている面々も見受けられる。すごいな。


「へぇ~イヴっていうんだ!可愛いね!」


「今日このあと遊びに行かね?」


「バカ!俺と二人で行くんだよ!」


「つーか、俺ら金なくね?」


「えぇっと……」


隣人ことイヴは三人の男子生徒に囲まれている。あのビジュアルだからなのか、男子ウケが良いのだろう。

しかし、彼女は困っているようだ。


可哀想だが、俺には助けられる度胸と技量がない。本当にすまない……。


「はーい。皆さんおはようございまーす。席についてくださーい」


そんななか、軽い口調と共に

ゆるふわ系の女性教師が黒い箱を持って入ってきた。

髪型はふわっとしたホブの茶髪。そして黒いスーツに身を包んでいる。


クラスメイトの主に男子たちがざわざわしている。


「私が今日から卒業まであなた達の担任になる、羽澤亜美でーす。よろしくお願いしますね〜」


この人が担任か。しかも卒業までとは。


「卒業までなんすか?」


「それってつまり……?」


「ええ、クラスメイトも変わりませんよ〜」


「うぇ~!」


「まーじかよー!」


「っしゃあ!!」


「萎える〜」


不満を持つ者や先生を気に入ったのか、ガッツポーズをする者もいる。



「せんせー。なんでスマホの持ち込みだめなんスカ?ないとやってられないんですけど。あと金も」


制服のボタンを上の方だけ止めていないチャラめの男子生徒が質問する。


そう。俺達は皆、現在金もスマホもない。

あるのは、このあと行く部屋に運んでもらったほんの少しの私服と制服の替え、それから体操服のみ。学校の意図とはなんだろうか。



なんでも願いを叶えられる場所。


想像より……過酷かもな。



「はーい。今から説明するのでよく聞いてくださいねー。まずは、この学校から専用のスマホを支給しまーす」


持ってきた黒い箱にはスマホと充電器が入っていた。


「今日からあなた達が卒業まで使うスマホになります。中々壊れないので凄いですよー。

あと、このスマホは学生証や部屋の鍵でもあるので失くさないようにしてくださいね〜」


「あの、データ移行しても構わないでしょうか?」


爽やかな男子生徒が質問する。


「残念。はなから出来ないようになっていま〜す。それと卒業まで専用アプリのみとなります」


俺は気にならないが、これは中々厳しそうだな。


「し、か、も、学校に在籍する人間のみとしか連絡できません〜。お店の人とも連絡できないのでお気をつけをー!」


「あの、もし外部の人と連絡先の交換、

連絡をしたらどうなるんです?バレちゃうもんなんですか?」


「ええ。即刻退学ですね~。そのスマホとあなた達は常に監視されていると思ってください。あ、ちなみにお金は最初に五万円が支給されています。毎月二十八日にチャージされるので覚えておいてください。

一部の施設ですが、無料提供してる物もあるので、心配しなくても生活できますよ〜」


「お、俺のゲームがぁ!」


「厳しすぎない!?」


「専用アプリってことは、動画サイトとかない感じー?」


「ストレスヤバそう〜」


「それな!」


それぞれ不満をこぼし始めた。

反対に五万円の使い道を想像する者もいる。


「ごめんなさいねぇ。願いのためにここは我慢してもらえると助かります〜」



「あの、チャージされる額って決まっているんですか?」


また違う生徒が質問を投げた。



「あなた達の行動によりますね〜。出席日数はもちろんのこと、ちゃんとルールに従順なら問題ないでしょう」


「ま、仕方ねぇなぁー」


「将来のためだ!チクショウッ!!」


「そのうち慣れるっしょ?」


「それもそうか〜」


受け入れ方は様々だが、殆どのクラスメイトが納得した。願いのために。


______多目的ドーム_______________________________


入学式をおこなうため、

教室を出て大きなドームに向かった。



「一年生の諸君、入学おめでとう。私は生徒会長の倉科泰斗(くらしなたいと)だ。この学校独自のルールに驚いたであろう。だが、願いのためだ。ルールに従順な者はきっと良い未来が待っている!以上、生徒会長倉科泰斗」



坊主で強面の生徒会長こと倉科泰斗の短いスピーチが終わった。


しっかし、先輩方は随分と人数が少ないようだな。二年生はそうでもないが、特に三年生はぱっと見で六十人ほどだ。


俺達一年生が異様に多いので余計に少なく見えるだけだろうがな。

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