表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/60

入学

「もうすぐ着きますよ」


外の景色に目もくれず、助手席でうたた寝していた俺は、運転手の小田おださんの声に意識を戻す。


「……はい」


前方にこれから通う学校が見えてきた。


そしてサイドミラーに写る自身を見る。


「何て顔をしているんだ……」


身だしなみを気にしながら

反射した自分の姿を見て呆れた。


光の無い灰色の目に、

白メッシュの黒髪パーマ。


「はぁ」


自分の姿はいつ見ても好きになれない。


______校門前


「これからしばらく連絡は取れません。どうか……お元気で」


「ありがとうございます。小田さんこそお元気で」


「はい。次に会うのが楽しみです。

……気をつけてくださいね」


「大丈夫ですよ。心配しないでください」


不安な顔をした小田さんを見送り、学校の方を見る。



「ここか」



ここは、日本から離れた場所に建てられた巨大人工島、

新人類育成都市。通称"新成都市"。

ここには様々な"異能力"を持つ少年少女たちが切磋琢磨している。


そして俺が今から通うのは"黒百合高等学校"。


プロアスリートやアイドル。その他著名人も多くここに通っていたらしい。


なんでも夢を叶えられる場所なんて言われている。



「夢、か」


俺には大層な夢はない。


「あの子可愛くね?」


「だよなぁ!」


「マジでそれ!」



何やら男子が騒いでいるようだ。夢中になっている方を見ると、そこには凛としている外国人?の女子生徒がいた。


ハーフアップの銀髪にサファイアのような青い瞳を持ち、小柄で整った顔立ちをしている。


「すごい人気だな。ん?」


ジーッと見ていたわけじゃないが、彼女がこちらをチラリと見た。気がする……多分。


さて、そんなことより急ごう。


______教室


配属された先は事前に分かっているのでそこに向かった。

ここは一年A組。席は窓側で一番後ろの席。


既に何人かの生徒がいるようだ。


「ん?」


先程見かけた銀髪の女子生徒が席に座っていた。

同じクラスだったとは。というか隣の席か。


とりあえず席に座り、窓の方を見つめた。


「…………」


隣人とかは話しておいたほうがいいよなきっと。


小田さんが言うには、

初動が大事。タイミングを逃すと大変。

そして仲良くなるコツは、とにかく恐れずに話しかけること。だそうだ。


そういう経験がない俺には中々難しいが、

やるしかない。


「あ、あの…………」


声をかけたが、よく見ると彼女は目を閉じている。寝てるっぽいな。


ヤバい……めちゃくちゃ恥ずかしい。


「…………はい」


目を開けた彼女は物静かに応えた。


反応してくれた!?

えーと、次になんて話すんだっけか。


「起こして悪い。えっと…………俺は桐生颯斗きりゅうはやと。よろしく」


「イヴ=ロマノフです…………よろしく……お願いします」


「日本語上手だな」


「出身は日本なので」


「そうなのか……」


「はい」



「…………」


「…………」



ヤバい。話が続かないな。いや、そもそも眠そうだし、今は話さないでおこう。


「とにかくよろしく」


「はい」




「はぁ」


誰にも聞こえないくらいの溜息をつき、自身の

コミュ力の低さを痛感した。それに加え、話しかけるタイミングも悪い。


少し落ち着こう。まだ慌てる時間じゃない。



よろしければ……もしよろしければ、


ブックマークの登録をお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ