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8話 2歳


シルフィード領、領主の屋敷の一室。


そこには、これまで数多くの氷像を作ってきたある職人が住んでいた。



氷像職人の朝は早い。



Q:いつもこんなに早いんですか?



A:この仕事を始めてからは、毎日この時間に起こしてもらってます。


やはり体調管理は大切ですからね、早寝早起き朝ごはんこれが健康に成長ためには必要ですね。



朝8時に起きた職人は用意されたパンとミルクを口にする。健康を意識してか少ない量を長い時間をかけて少しずつ食べているようだ。メイドが食器を片付けるまでにかかる時間はざっと一時間ほどだった。



Q:これから仕事ですか?



A:いえ、まずは読書をしていこうと思います。



メイドが一冊の絵本をもってくる。



Q:これは?



A:見ての通り絵本です。何事も日々の積み重ねですからね。こうやって日々絵本を読んでもらうことが将来の成功につながっていくのかなと思い、これも毎日欠かさずにやるようにしてますね。



メイドが絵本を読み始めると、職人の目つきが鋭いものへと変わった。職人になっても学びを忘れないことこそが大きな成功の秘訣、ということなのだろう。


30分ほどで読書を終えると、職人はたらいを手に取り入念にチェックし始めた。



Q:それは?



A:タライです、これがないと部屋が水浸しになっていますからね。氷像を作るときに必要なものです。



Q:これから仕事ですか?



A:仕事って訳じゃないんだけどね、氷像は作りますよ。



そういうと、職人は何もないところに手をかざす。氷像の作成には魔法という手法を使うようだ。


作り始めるとものの数秒で完成してしまった。


「髭の部分が難しいね。ほら、すぐに折れてしまう。」


彼女の目にかかれば、見るだけで出来不出来がわかってしまう。



一時間ほど作品作りに没頭していると、最初に作った作品に突如異変が。



「あー、これ完全に溶けちゃってるね。そろそろお昼だし今日はこの辺にしとこうか。」



今日の作業はこれで切り上げることとなった。時間制限も氷像作成の難しさということなのだろう。



Q:やめようとは思わないんですか?



A:暇だからね、周りから止められてももしかしたら続けるかもしれない。



氷像職人、その小さな背中には確かな職人としての誇りと矜持が存在していた。




エマ「何してるんですか?」


私「おままごと。」




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