4話 1歳
外はすっかり春になり、暦は5月を迎えたらしい。
不思議なことにこの世界の暦も日本と同じように1月から始まり12月で終わるらしい。
もしかしたら私のような転生者も珍しくはないのかもしれない。
5月にフィンが誕生日を迎えて4歳になったのだとか。
日本と同じく4月から数えるなら2つ上ということらしい。
それであんなに賢いなんてもしかしたら兄さんは転生者なのかもしれない。
それはさておきパパからオルゴールをもらってから早いことにもう3か月近くたつわけだが、暇さえあればオルゴールを鳴らして意識を飛ばしてたこともあり、体感では一、二時間くらいなら余裕でならせるようになっていた。流石は赤子の成長力といったところだろう。
むしろずっと鳴らしてると動けないことの方が辛いくらいだ。と、そこで気が付いた。魔法というのなら別に触らなくても音を鳴らせるのでは?これができたらもう魔法使いと名乗れるレベルなのでは?と思い早速実践すると、意外と3センチぐらいなら放してもいける。
私は賢者だったのかもしれない。最初は冒険者志望なんて言っていたが、1歳と半分をすぎてるのにまだちょっとしか歩けない私にはもう魔法しかないのかもしれない。そうだ、私は将来魔法で飯を食べていこう。
試し始めてすぐはそんなことを考える余裕もあったものだが、それにしても疲れる。どうやら現状とんでもなく効率が悪いらしい。
そんなこんなしてるとエマが晩ごはんですよー、と呼びに来た。
この臭いはハンバーグか、ハンバーグならば仕方ないと私は食卓に向けて歩くことにした。