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12話 3歳



それは三歳の冬のこと、最近は両親が仕事で家を空けていて、かといっていつもとなんら変わらずに過ごしていた。


そんなある日、夜の帳が落ちてからのことだった。


普段では聞かない物音が聞こえて目を覚ましてしまった私は、寝ぼけまなこで周囲を見渡そうとするが周りは完全に真っ暗だったため仕方なく魔法を使うことにした。


音のする方の水に意識を向けて様子を見ることにする。


どうやら玄関の方を誰かだ歩いているようだ。見た目はかなり若い女性だ。魔法を使っても暗いため、色まではわからないが、かなり緻密に編まれたフリフリした服を着ているようだ。


だが、少なくとも知り合いではなさそうだ。


コツン、コツンとヒールを鳴らしながら歩いているが、周りを伺ったりはしていないことからも暗闇の中でも目が見えているようだ。


もしかすると盗賊や暗殺者の類ということもあるかもしれない。流石に貴族が真夜中に誰の案内もなく客として入ってくる、なんてことはない。



となると困った。運が悪いことにお客様(仮)はこちらの方に着々と近づいてきている。


もしかすると私が狙われている、なんてこともあるのだろうか。生憎だが心当たりは全くと言っていいほどない。むしろ家から出たことがない。


となると流石に私が狙われているということはないと思われる。



これは一周周って、本当にお客様という可能性も出てきたのではないだろうか。


それならばせっかくなのでこちらから出迎えるのもいいかもしれない。


一応もし敵だったときのために廊下に水を流しておくことにしよう。


そう思いつつ廊下に出て、予定通り水を流しつつお客様の方へと歩いていく。


丁度階段の前まで来たところで、階段の下にいる客人と出くわし、話しかけてきた。



「そなた、どうやら見えているようだな。ヒューマンの赤子のように見えるがサキュバスか何かか?」


などと聞いてきた。どういう区分なのかはわからないが、たぶんヒューマンの赤子であってるな。


それにしても、ずいぶんときれいな人だ。


「答えぬか、それにしても水は好かんのだがな。いや、なるほど。水魔法か。この水はお主が流しているのか。」


どうやら水魔法を知っているらしい。これは戦わずに済ませた方が身のためかもしれない。


「そう。私が流してる。」


「ふむ、まだ喋れないこともあるかと思ったが一応は喋れるようだな。しかし参った。魔力のこもった御馳走だと思ってはるばるやってきたというのに、まさかこんなちっさいのだったとは。持って帰ろうにも血を吸っただけで死んでしまいそうではないか。」


持って帰ろうにも?飼う気だったのか?畜産みたいなことだろうか。それはそれでありかもしれない。


「お姉さん吸血鬼ね?」


「そうだとも、我こそが第一真祖であり、最強の吸血鬼ベルフェゴールじゃ。覚えておくがいい。」


「なんか怠惰そうな名前だね。」


「言うな。用がなくなってしまったことだし、我は帰るとするかの。」


「うん、おやすみ。」


そうして、自称吸血鬼さんは何もせずに帰っていった。



寝るか。




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