真の魔王城
魔王城に入り広い廊下を進み俺は玉座の間を目指していた。
無論だけど現在の魔王城は魔物の数はほぼ皆無でいたとしたら勇者と戦闘にならなかった残党の魔物であるので危険度は多少あれど負けることはない。
そんな感じに多少の警戒をしながら進み10分程で玉座の間にたどり着く。
「よいしょ」と玉座の間の扉を開けて、玉座の間の仕掛けを作動させる。
この玉座の間にある仕掛けはいわゆる色合わせで、二つの水晶が玉座の間の柱の内四つに埋め込まれている。
そして仕掛けを作動させる方法は単純で左右の埋まっている水晶は色が違って、玉座の間にある四つの柱にそれぞれ赤、青、緑、黄の四色の魔水晶の隣に無色透明な水晶がありそこに属性の籠った魔力を浸透させることで水晶の色が変化して魔力を帯びた魔水晶に変化するのである。
赤色の魔水晶は火の魔力を浸透して赤色にするが、俺の属性魔法の適正は土属性と無属性の二種類で、火属性の適性が無いので火の魔力を浸透することが出来ない。
そこで使用するのがルビーである。
宝石は色によって適正な属性がわかり、ルビーの場合は赤い宝石として有名で火属性の魔法杖の材料としては中級者に向けの杖としては大半がルビーを触媒として使うことが基本であるほどだ。
そのルビーをどう使うかと言うと、ルビーに無属性の魔力を込めてルビーで火属性の魔力に変換して放出する感じだ。
こうすることで火属性の適性が無い俺でも火属性の魔力を浸透できるという訳だ。
ただし、この方法にはデメリットが存在する。
まず、それが可能なら誰もが自由に属性魔法を使えるじゃん、と思うがそれは間違いで、そもそもこれは宝石を使った宝石使いと呼ばれる職業のみが使える技で、他の職業が使えれば適性の属性の宝石以外は基本無反応で、無属性の魔力を流しても何もなく自分の魔力を自然に放出するだけの無駄な事で終わるので宝石使い以外は使えない技である。
次にそもそも宝石自体が高いという事。
基本的に宝石使いが使う宝石の大きさはルビーは楕円形に縦の長さが五センチ程の物から使えて、この国でその大きさのルビーを買うとなると安くて金貨5枚(日本円で500000円)となっていて、非常に高い。
そして、宝石で魔法を使うとなると重要なのは純度で、色が濃く、透き通る物ほど使い易く優秀で、反対の物ほど扱いも難しくなる。
現在俺が使っているのは純度は普通くらいのルビーで、錬金術を使用して純度を上げて、そこに錬金術で合成して大きくしたルビーを使用して普通くらいになっているが、加減を間違えるとルビーが砕け散るので、再使用の為に錬金術を使用しても純度や大きさが低くなると意外と難しいのである。
このことから昔から宝石使いは職業としては一般には認知されておらず、超ドマイナーな職業となっている。
「ふう、まずは一つ目」
そうこうしている間に水晶に魔力を込め終わり赤い魔水晶に変化させることに成功させた。
「さて、他のもちゃっちゃと終わらせよう」
そう思いながら柱にある水晶を魔水晶に地道に変化させていくのであった。
♦ ♢ ♦ ♢ ♦
それから一時間ほどして柱にある水晶が全て魔水晶になり玉座の間の仕掛けが作動した。
少し玉座の間が揺れると玉座が動き、玉座の在った位置には地下への梯子があり俺は梯子を降りてゆく。
梯子を下りている最中は道中が真っ暗である為魔道具のランプを点灯させて周囲の安全を確認しながら降りる。
そして三十分ほど梯子を降り続けてようやく梯子を降り終えるとそこは洞窟となっていて魔王城とはまた違う雰囲気をしている。
それもそのはずで、この洞窟こそが魔王城の本体でもあるダンジョンだからである。
そして一階層の特徴は暗い迷宮洞窟で、その名の通り視界最悪で道は迷路という仕組みとなっている。
ただそれだけなら問題ないが、問題は別にありこの階層にはウォールゴーレムと呼ばれる自らが壁となって迷路に壁を作るので攻略が困難となっている。
実際俺が初見で挑んだ際はそのことに気が付かず、一月の間さまようことになった。
しかし、今となってはこの階層の攻略は俺がいつも持っている大き目のつるはしを使用して疑わしい壁につるはしで攻撃しては壁を破壊して通って来た。
そんなこともあってか二時間で次の階層の扉を見つけて暗闇の迷宮を攻略したので、少し休憩をして次の階層に向かう。
次の階層は洞窟が明るくなって一見普通の階層に見えるが、粉塵が視界でわかるくらいに舞っていて、一歩間違えれば鉱山病で死にかねないある種猛毒の階層である。
それに対して俺がしている対策は錬金術で合成して生成した宝石を特殊な方法を使い、それに特化した宝石を使用して粉塵などを無効化していた。
その対策として使っている宝石はグリーンダイヤモンドと言う宝石で、天然物は希少すぎて白金貨1000枚(日本円で10000000000円)は優に超える金額で取引されている。
しかし、俺がそんな物を持っているわけないので使っている物は形や色はグリーンダイヤモンドそっくりであるが、これはエメラルドとダイヤモンドを錬金術により合成した宝石で、エメラルドは緑色で風属性、ダイヤモンドは透明に見えるが、白い宝石として扱われ白色で光属性と適性があり、この二つを合成したことで、風と光の二つの属性を使用することが出来るので、風属性で粉塵除け、光属性で浄化の二つの効果を持った結界を生成するように魔法付与しているので、この空間では最強装備と言ってもおかしくないものであった。
そんな装備をしている為この階層はただの散歩で終わり次の階層への扉を見つけたのでそのまま次の階層に向かう。
♦ ♢ ♦ ♢ ♦
次の階層に進むと魔王城ほどではないにしろ整備された所に出る。
この階層から普通に戦闘する魔物が出てきて、それと戦闘することになる。
出てくる魔物は生物と言うよりゴーレムが多くい。
「よっこいせ!」
つるはしを武器として使いゴーレムと戦闘していく、普通の冒険者などは剣を使い戦闘するのが基本であるが、ゴーレムなどは出現する場所にもよるが、ここは洞窟よりの神殿では石材が中心のストーンゴーレムが物凄く多いため槌などの破壊力が重要な武器か魔法でなければ倒すことは難しい。
しかし俺としては宝石の採掘などで人生の半分近くを費やしてきたので、ストーンゴーレムは言わば一種の採掘みたいなもので俺としては戦いやすい魔物の一種のである。
「【急所打ち】【急所打ち】【急所打ち】」
そしてストーンゴーレムを【急所打ち】と言う武技で一撃で破壊していく。
【急所打ち】とは相手の脆い箇所を攻撃すると威力が増加する武技で、一見超有能な武技に思うかもしれないが、実際そこまで便利なものではない。
この武技は急所に当てなければ普通の攻撃となる為、未知の相手や急所の特定が難しい相手には意味が無いので、他の攻撃力の上がる武技を使用したほうが格段にましだからである。
ただ、鑑定の魔法などの鑑定効果によって急所を割り出せばそれなりに強いかもと言う感じだ。
そして俺の場合は急所に関しては一気に掘るコツとして脆い箇所を経験でわかり、その為ストーンゴーレムは基本的に一撃で討伐が出来る魔物である。
♦ ♢ ♦ ♢ ♦
ストーンゴーレムを倒して魔石を採掘(討伐)しながら進み次の階層への扉を見つけて下の階層への扉に入る。
次の階層も構造は変わらず洞窟の神殿と言った感じで、少し奥に進むと即座に回避行動をとる。
そして回避した箇所に何かが通過し、その物は地面にそれは突き刺さった。
突き刺さっているのは全てが鉄で作られた矢で、小型化したバリスタの矢と同じような感じである。
矢の飛んできた先を見ると数人の人影のような存在がそこにいた。
大剣を装備した者、大楯を構えている者、杖を持ったもの、そして矢を撃ったであろう弓を構えている者。
それは冒険者パーティーとしては基本的な編成をしている。
しかし、この四人は冒険者パーティーと思われるかもしれないが、実際の正体は人外の物であり、魔物の一種である。
この魔物の名はメタルヒューマンと呼ばれる魔物で、人型をした亜人型の魔物様に思えるがゴーレムの一種で、全身が鉄で作られていて動きは鈍いように思えるが、関節などの可動域は水銀などの液体金属の様に形の形状が決まっていないのか、人外の可動域を自在に動かすことが可能で、更に鉄で出来ているために防御力も高いのに人と変わらない速さで行動が出来る。
冒険者ギルドでは単体でCランク、複数ではBランクとされているが、Aランクにも匹敵する危険度を持っているのである。
そして、先ほどの攻撃を避けられたことを察知して大楯を持った盾役のメタルヒューマンが突撃を開始して、俺にめがけて大楯を押し出して攻撃をする。
これは武技の一つの【シールドバッシュ】と言う盾使いの使う攻撃武技の一つで威力は攻撃武技としては低いが相手を吹っ飛ばして怯ませる為に使われている。
その攻撃の対処の仕方は人それぞれだが、俺の場合は変に抵抗せず脱力した感じで攻撃を受けて威力を下げて距離をとり反撃する方法である。
「【解放・砕崩槌】【身体強化】」
吹き飛ばされて即座に棒状の薄い銀色の魔水晶取り出して、解放と唱えると棒状の薄い銀色の魔水晶は黒く光る戦槌である。
それに加えて戦槌を扱いやすくするために無属性の魔法の【身体強化】を行う。
武器を取り出すと同時に大剣を持っていたメタルヒューマンが上空から大剣を振り落とし、俺はその一撃を戦槌の柄で受け止めると少し足元が陥没した。
それと同時に攻撃したメタルヒューマンの大剣は粉々に砕け散った。
メタルヒューマンは大剣が砕け散った事に驚いた反応をしているところに戦槌を遠心力を利用して大振りの一撃を命中させて壁に投げ飛ばすとメタルヒューマンは砕け散った。
即座に次の行動に移り大楯を持つメタルヒューマンに接近すると、背後にいる杖を持ったメタルヒューマンは【ロックバレット】と言う魔法を使い石の弾丸を複数生成し、それで俺めがけて攻撃する。
もう一体の弓を構えていたメタルヒューマンも矢を連射して攻撃をする。
それに対して俺は戦槌を風車の様に振り回して攻撃を打ち落としていき、大楯のメタルヒューマンが接近してきたので、間合いに入ると同時に中段をフルスイングで大楯に命中させて吹き飛ばし、大楯のメタルヒューマンを後方のメタルヒューマンに二体を巻き込む形で当てる。
そして態勢を崩した大楯のメタルヒューマンを下段でフルスイングして大楯諸共破壊してそのまま本体の腹部を命中させて破壊する。
大楯のメタルヒューマンを破壊して上に振りあがった戦槌を丁度重なっている後衛のメタルヒューマン二体を上段から戦槌を振り下ろして胸部部分を命中させて二体諸共破壊した。
四体のメタルヒューマンを討伐して安全と思えるが、実際は油断は出来ない。
この階層はメタルヒューマンがそれなりに居る危険地帯で、一時間あれば十数体とは戦闘してもおかしくないくらいエンカウント率が高いのでこの階層は油断したら死ねるレベルである。
なので、油断せぬように次の階層を目指すのであった。
♦ ♢ ♦ ♢ ♦
数時間が経過しただろうか、討伐したメタルヒューマンのエンカウント率が最悪なほど高く、百体以上は討伐してようやく次の階層の扉を見つけて休憩をしてから次の階層に向かう。
次の階層に移動して着いた場所は魔王城の玉座の間がある場所の扉の前の廊下と同じ構造ではあるが、廊下の幅は1.5倍近く広く奥行きも同じように広くなっている。
そして奥に大きな扉があり、魔王城とは違いその扉の前には魔物が三体がそこを守っていた。
一体目はダイヤモンドミノタウロスと言う魔物で、この魔物はミノタウロスの上位種にあたる魔物で身長は4メートル近くあるのに加えて、全身がダイヤモンドで構成されており、動きもメタルヒューマンの様に普通のミノタウロスと同じように動けて強度もダイヤモンドと冒険者ギルドでの討伐ランクはSランクと最上位冒険者が相手をしなければ勝ち目がない化け物級の魔物である。
二体目はアダマンタイトヒューマンと言う魔物で、先ほど戦っていたメタルヒューマンの最上位種の魔物で、体の形を自由に変えて戦う他、破壊してもコアとなる魔石を破壊しない限り何度でも元に戻る形状記憶効果のある事に加えて身体能力も人外のような動きをする強力な魔物で、冒険者ギルドでの討伐ランクはSランクとこれも化け物級の魔物である。
三体目はクリスタルロードドラゴンと言う魔物で、名前にロードドラゴンとあるように竜種としては最上位クラスの実力があり、大量の水晶片を音速の速さで砂漠の砂塵の吹き出す【クリスタルドラゴンブレス】に攻撃に水晶は魔封水晶と言う魔法を吸収し封じて、封じた魔法を魔力に変換して自身の魔力とする魔封じ効果に物理防御力は水晶がドラゴンの体となっていて大きいため強度は高い、わかりやすく言えば鉄の体を持つメタルドラゴンよりも高い強度を持つ為、防御力も強力である。
この様に攻撃、防御どちらも強力で、ロードドラゴンなだけあって魔力量も膨大と超強力で危険な魔物で、冒険者ギルドでは未だ御伽噺の域を出ないので仮想ランクとして言われているのがSSランク。
SSランクはSランクパーティーが複数必要なレイドモンスターと呼ばれる化け物中の化け物で最強クラスの魔物である。
ダイヤモンドタウレス、アダマンタイトヒューマン、クリスタルロードドラゴンこの三体が地上に現れれば魔王以上の脅威や被害が出て、下手すれば多くの領土を持つ大国を一日で全域滅ぼせる冒険者ギルドだと災害ランクと言う、過去に数度しか確認されていない大規模ダンジョンで起きた魔物暴走に使われた脅威度と同等くらいの危険度である。
「さて、これは本気を出さないと死ぬな」
さすがに一人でこのレベルとなると本気を出さなければ普通に死ねるので、懐から宝石をいくつか出してみんなと戦うことにした。
大牧さんたん「リアルの忙しい期間が終わったぁぁぁぁぁぁ!!!」
大牧涼華「うるさいです」( ゜`Д゜`)三) ゜Д゜)
大牧涼華「ちなみにこの作品内でのダイヤモンドとアダマンタイトの硬度はアダマンタイトの方が固いです」