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ヒット・ヒット・ヒット

　男がスポーツニュースを見ていると、野球の特集（とくしゅう）が始まった。プロ野球選手たちがヒットを打（う）つ、そんな場面ばかりを集（あつ）めている。

　ヒット・ヒット・ヒット。各（かく）球団の選手たちが、ある時は華麗（かれい）に、ある時は力強く、また、ある時は根性（こんじょう）でバットをふり抜（ぬ）き、ヒットを量産（りょうさん）している。

　番組（ばんぐみ）の途中（とちゅう）でＣＭに入った。

　いきなり「大ヒット公開中」という文字（もじ）が、画面に表示（ひょうじ）される。最新（さいしん）映画（えいが）のＣＭだ。

　さらに次のＣＭでも、「大ヒット公開中」の文字が。

　その次のＣＭも同様（どうよう）だ。映画のＣＭが三連発（さんれんぱつ）。

　で、またもや画面に、「大ヒット公開中」の文字が表示される。

　これもＣＭかと思ったら違（ちが）った。スポーツニュースの続（つづ）きだ。

　各球団の選手たちがヒットを打ちまくる。ヒット・ヒット・ヒット。

　まさに「大ヒット公開中」。

　よく冷（ひ）えたビールを飲（の）みながら、男は考える。

「次の休（やす）みには、野球場に行こうかな。それとも、映画館に行こうかな」

次回は「自由の女神にイタズラする」お話です。