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夢の続き  作者: 霧澤 零
9/13

初デート

今日は七月十三日の火曜日。文化祭の振替期間のため学校は休みだが、隆之介は駅の改札口で紗織を待っていた。

待ち合わせの時間は十時だが隆之介は十五分前の九時四十五分には駅に着くと時計を眺めながら紗織を待っていた。


いつもなら十五分など短いと思うが今日はやけに長く感じてしまう。

そんな事を思っていると

「支倉さんお待たせ」

と言う声とともに紗織が現れた。

時計を確認すると十時ちょうど。びっくりするほど時間ぴったしだった。

紗織の服装は水色のワンピースといった可愛らしい服装で夏らしい感じだった。

「どうかな?」

「よく似合ってるよ」

「それはよかった」

「行こうか」

「うん」

そう言うと紗織は弾むような足取りで駅のホームへと向かっていった。


ショッピングモールに着くと

「支倉さんは何みたいのある?」

「紗織の見たいものでいいよ」

「じゃあ、まずはC D見たい!」

「いいよ」

初めに二人でC Dを売っている店舗に行くと紗織はボーカロイドの楽曲がずらりと並んでいるコーナーに向かった。

「あ、この人のC D出てたんだ」「この曲好きなんだよね〜」「こっちも出てる!」などと独り言を言いながら色々なC Dを見ていた。

そんな紗織の横顔がにっ隆之介は少し違く見え違和感を感じた。


その後はショッピングモールの中を上の方から端から順に見て行った。

「このぬいぐるみ可愛い」

「買う?」

「ちょっと大きすぎない?」

初めて沙織と一緒に買い物をして知ったが紗織は結構可愛い感じのものが好きらしい。

それに、負けず嫌いだった。

ゲームセンターで対戦ができるゲームを何個かやったとき

「支倉さんもう一回!」

「まだするの?」

「勝つまで!」

そんな会話をしながらかなりのゲームで対戦した


お昼が近くなってくると

「支倉さん。お腹空かない?」

と聞かれた。

「もう一時か。ご飯にしよ」

「何食べたい?」

「紗織は?」

「私の好きなのでいいの?」

「うん」

「じゃあ、パスタ食べたい!」

「いいよ」

パスタを食べることになって地下一階に入っているパスタ専門店に二人で向かった。

昼時といっても今日は昼時なのでお店は空いていたのですぐに座ることができた。


メニューを見ていると

「支倉さん何にするか決まった?」

と紗織に聞かれた

「まだ。紗織は?」

「二つで迷ってる」

「どれ?」

「ボロネーゼと、カルボナーラ」

「じゃあ、両方頼も。二人で半分にすればいいじゃん」

そういうと紗織は驚いた顔をした。

「支倉さんって優しいね」

「なんで?」

「だって私のこと優先的に考えてくれるじゃん」

「普通じゃない?」

「そうなんだ」

そんな会話をしからボロネーゼとカルボナーラを注文した。

「支倉さんに聞きたいことがあるんですけど」

「何?」

「私も支倉さんのこと呼び捨てで呼んでいい?」

「いいよ。今読んでみて?」

「今?」

「だめ?」

「いいよ。りゅ、りゅうのすけ。」

「なに?」

「名前で呼ぶのって恥ずかしいんだね」

「無理しなくていいよ?」

「ううん。頑張る」

そんな会話をしているうちに注文した商品がきた。

二つのパスタを半分に分けて食べた。

「あ〜んとかしてあげようか?」

「誰もいないところならしてもいいよ」

「残念だ」

食べ終えて会計を済ますと残りの店舗を見て回った。


それなりに大きなショッピングモールなので全店舗を見終わる頃には五時近くになっていた。

「そろそろ帰る?」

紗織にそんなことを聞かれて隆之介は

「一店舗だけ行きたいお店あるんだけど付き合って」

と自分の行きたい店舗へ向かった。


目当ての店舗の前まで来ると

「ここ」

と紗織に伝えた

「え?ここって・・・」

紗織の反応も無理はなかった。ここはアクセサリーを専門に扱っているブランド店なのだから。

「付き合ってすぐでどうするか迷ったけどお揃いのアクセサリーが欲しくて・・・」

「でも・・・」

紗織が困るのも当たり前でここは高校生のお財布には少し高いものだった。

「俺が全額払うから。お願い」

そういうと紗織は少し悩んだ顔をしたが

「それなら・・・」

と承諾してくれた。

「どのデザインがいい?」

「私この雫の形のやつがいい」

「じゃあ、買って来るから紗織は外のベンチで待ってて」

「わかった」

そういって紗織は店舗の外にあるベンチに向かった。


買い物を終えた隆之介は紗織を連れてショッピングモールの外に出た。

そのまま二人で近くにある公園に向かった。

二人で座れるベンチを見つけて座ると

「はいこれ」

隆之介はさっき買ったネックレスの入った紙袋を紗織に渡した。

「開けていい?」

隆之介が頷くと紗織は包みを開けた。

「え?これって」

紗織が驚くのも当然だ。紗織が選んだ雫型のネックレスではなく、シルバーとグレーのペアになっていて二つのネックレスを合わせると大きなハート型になるというペアネックレスが入っているのだから。

「それじゃなかった?」

「なんでわかったの?」

「目がそれがいいいってたから」

「でもこれ・・・」

紗織が困るのも無理はなかった。これは最初に紗織が選んだ雫型のネックレスの倍以上する値段のものなのだ。

「大丈夫だよ」

「ほんとに?」

「うん。それよりもつけて?」

そういうと紗織は無言でシルバーのネックレスを手に取るとつけようとしたが、うまくつけられないでいた。

「つけてあげようか?」

「おねがい」

うまくつけられなかったことが恥ずかしいのか紗織は俯いていた

「紗織って意外と不器用なんだ」

そう言いながら紗織にネックレスをつけた時に紗織の首に指が触れて隆之介は今日の初めに感じた違和感の正体に気づいた。

「今度は私がつけてあげるね」

そう言いながら紗織はもう一つのネックレスを取ると隆之介に抱きつくような形でネックレスをつけてくれた。

「ついた」

そう行って紗織は笑顔を見せたが隆之介は確かめずにはいられなかった。

「紗織」

「!?」

紗織が反応するよりも早く隆之介は紗織を抱き寄せた。

「いつから?」

やはり紗織の体は熱かった。

「・・・バレちゃった」

「朝から熱あったの?」

「うん・・・」

紗織の肩をもち顔を見て

「なんで言ってくれなかったの」

「だって初めてのデートだったから悪くって」

「デートできないより無理される方が嫌だった」

「ごめん」

そう言った紗織の目からは涙が溢れた。


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