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夢の続き  作者: 霧澤 零
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文化祭と告白  後編

隆之介が紗織を連れて来たのは片付けが始まったこの時間は誰もいない音楽科の教室だった。

「支倉さんどうしたの?」

「話があるんだ」

「告白とか?」

笑いながらそんな事を言われてしまった

「そうだよ」

紗織の顔が驚きの色に染まっていく

「俺は水澤さんのことが好きだ。結構前から」

「・・・それは友達として?」

「違う。一人の女の子として」

「そうなんだ」

「うん」

言葉が出てこなかった。

告白することがこんなに緊張するものだとは知らなかった。

しばらく無言の時間が続いたが

「私も支倉さんのことが好き」

「え?」

思ってもみなかった言葉に驚きを隠せなかった。

「私は支倉さんのことが好き」

「そうなんだ」

また言葉が出てこなかった。

「ここまで言ったんだからちゃんと最後まで告白してよ」

そんな事を笑いながら紗織に言われてしまった

「あぁ、うん」

「なに?」

「俺は水澤さんのことが好きです。俺と付き合って下さい」

「はい!よろしくお願いします」

そう言った紗織の目には涙が溜まっていた。

「泣かないでよ」

「だって、文化祭の期間ずっと避けられてたら嫌われたのかと思って」

そう言って紗織は我慢してものが溢れ出すたように泣き出してしまった。

「ごめんね」

そう言いながら隆之介は優しく紗織を抱き寄せた。


しばらく紗織のことを抱きしめていると

「支倉さんの鼓動早くなってるね」

落ち着いたのか紗織は笑いながらそんな事を言ってきた

「紗織だって早くなってるよ」

そう言うと驚いた表情を実見せた。

「何?」

「呼び捨てにされたのに驚いて」

「実はちょっと恥ずかしいい」

「知ってる。鼓動早いし」

「呼び捨てやめたほうがいい?」

「呼び捨てでいいよ」

そう言いながら彼女は隆之介のことを強く抱きしめた。


「そろそろクラスの片付け行かなきゃ」

「そうだね」

紗織は残念そうだ

「フォークダンスの時にまた会えるでしょ?」

「じゃあ、控え室にいるから今度はちゃんと迎えにきて」

「わかった」

「絶対だよ?約束ね」

「絶対に迎えにいくよ」

「じゃあ、また後でね」

「また後で」

そう言って二人は自分のクラスの片付けに向かった。


クラスの片付けはほとんど終わっており残りのコンロや調理台は明日業者の人が回収に来るだけである。

「支倉くんサボり〜」

「友達駅まで送ってたんだよ」

「サボりに変わりはない!」

そんなことを言われてしまったが、残った片付けを手伝っていると

——「これから後夜祭を開始するので全校生徒の皆さんは講堂に集まって下さい」——

という校内放送がかかった。


後夜祭はすぐに終わり外でフォクダンスが行われる。

フォークダンスは自由参加なので帰る生徒もいるがほとんどの生徒が参加する。


隆之介は沙織との約束通りに控え室に迎えにいくと

「ごめんなさい。私はあなたとは付き合えないです」

「彼氏いないんじゃないの?」

「今日できたんです」

「そうなんだ」

そんな話が聞こえてきたが隆之介は気にせずに控え室に入っていった

「紗織お待たせ」

「あ、ちょっと待ってて」

そう言うと紗織は

「じゃあ、彼氏きたからごめんね」

と言って隆之介のところへ小走りでやってきた。


フォークダンスが行われている校庭につくと多くの生徒が文化祭最後のイベントを楽しんでいた。っ告白している生徒もいれば出来立てホヤホヤのカップルでダンスを踊っている生徒もいる。

隆之介は沙織と一緒に校庭の隅の方でその光景を眺めていた。

「支倉さんは踊らないの?」

「紗織は踊りたい」

「私は一緒に入れれば満足だから」

「俺も」

そんなことを話していると

「支倉さんは空気読めないんですか?」

などと心外なことを聞かれてしまった。

「なんで?」

「さっき告白の返事してたのに教室に入ってきたから」

「だって答えは出てたじゃん。それにあれはあえて空気読まなかったの」

「そうなんですね。でも助かりました」

そう言うと紗織は隆之介の手を握ってきた。

「紗織はすごいね」

「何が?」

「ドキドキしないの?」

キョトンとした顔をした後に

「するに決まってるじゃん」

と笑われてしまった。

「私だって緊張してるんだよ?」

「でもこれから先もっと緊張したりドキドキしたりするんだろうな」

「エッチなこととか?」

「それもだけど、もっと色々なこととかも」

「そうだね。でも今はそれが楽しみでもあるよ」

「沙織と一緒ならなんでも楽しいよ」

「ありがと」

「文化祭終わりだね」

「もっと一緒に回りたかったな」

「それは申し訳ない」

そう言うと紗織が何か言いたそうな目でこっちを見ていた。

「じゃあ、明後日出かけるか」

「いいの?」

「もちろん」

「初デートだね!」

そう言った紗織の目はとても輝いていた。

「どこ行きたい?」

「テーマパークとか!」

「いきなりだな」

「冗談だよ。ショッピングモールとか行きたいな」

「分かった。じゃあ明後日、駅の前に集合ね」

「今から楽しみだ!」

喜んでいる紗織を見ているだけで隆之介は幸せと思えてきた。


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