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夢の続き  作者: 霧澤 零
7/13

文化祭と告白  前編

七月の第二週目の水曜日。

今日から五日間は文化祭期間になる。星南付属の文化祭は各校で開催期間が違い第一高校は一番最初に開催されるである。

隆之介としてはこんなつまらない行事は休んでしまいたいのだが、沙織から「私のクラスメイド喫茶やるから来て」といわれ、美優には「お化け屋敷やるから来てください」などと言われてしまったために文化祭に行かなければならなくなってしまった。

しかも、クラスの出し物に参加しなければならないというおまけつきだ。


隆之介が傍観を決め込んでいたクラスルームで出し物が喫茶店に決まり隆之介も厨房係として参加させられているのである。

支倉(はせくら)君オムライス二つ」

「こっちもオムライス」

「何個だよ」

「四つ」

なんともふざけた個数だ。

 『なんで俺がこんなに作らなきゃいけないんだよ』などと考えながら半熟のオムレツをケチャップライスの上に乗せていく。後はオムレツを切って開けばオムライスの完成

「オムライス六個できた」

「は〜い」

こんな事を十時から続けて現在二時である。

「じゃあ時間だから休憩するわ」

そう言って休憩スペースに入った。休憩といっても今日の仕事は終わりなのでこの後は自由時間なので沙織と一緒に美優のクラスがやってるお化け屋敷に行く約束をしている。


待ち合わせの場所は文化祭期間中は在校生の控室になっている音楽科の実習棟の紗織のクラスの控室である。

時間より少し早めに控え室に行くと

「俺結構前から水澤さんの事好きだったんだけど良かったら付き合わない?」

という声が聞こえてきた。

「ちょっと考えさせてください・・・」

紗織の返事はそんなんだったが、隆之介はもやもやした気持ちになった。

「この後暇なら文化祭一緒に周らない?」

「それは・・・」

そんな会話をしてるところに

「水澤さんちょっといい?」

と入っていった。

「支倉さん早いですね」

と言われたが

「ちょっと今日クラスの方抜けられそうにないから他の人と回って」

そう嘘を言って準備室を後にした。


クラスの喫茶店に戻ると

「あれ?予定あるんじゃなかったの?」

とクラスの女子に聞かれた。

「一緒に回る予定だった奴が回れなくなったから戻ってきた。何か手伝うことある?」

「あ、厨房が大変みたいだから手伝ってもらえると助かる」

そう言われたので厨房でまたオムライスを作ることになった。


文化祭初日に聞いてしまった告白のことが頭から離れ紗織と美優と回る予定を全て断って厨房でオムライスを作っていた。

なんだかんだ文化祭最終日の日曜日になると昨日から一般公開されているため多くのお客さんで賑わっている。

まだお客さんの来てない喫茶店の厨房は暇なので文化祭の最中に話すようになったクラスの女子と話していると

「支倉くんご指名だよ」

と接客担当に言われた。

『指名なんて誰がするんだろ?』と考えながら顔を出すとそこには橘悠(たちばなゆう)が立っていた。「よっ」

と手を挙げた彼に

「ほんとに来たんだな」

と声をかけた

「そりゃ来るだろ。親友の学校の文化祭なんだから」

「じゃあ、俺も第二の文化祭行くわ」

「待ってるわ。この後一緒に回れる?」

そんな事を聞かれたがこの後は喫茶店が混み始める時間なので回れない

そう思っていたら

「支倉くん今日まで休みなかったから今日くらい休んで。厨房は日曜日だから人いっぱいいるから気にしないで」

と半分ほど無理矢理追い出された。

そんなクラスの人たちに感謝しながら隆之介はエプロンを外し悠と共に文化祭を回ることにした。


たこ焼き、たい焼き、タピオカ、クレープと色々なクラスの出し物を回っていると

「今度はメイド喫茶行こうぜ」

悠に言われてしまった。

「・・・メイド喫茶か」

そこは告白を聞いて以来自ら避けている紗織のクラスの出し物なので気が進まなかったが悠にそんな事説明するのは嫌なので行くことにした。


メイド喫茶と言ってもメイドの格好をした女子が数人で接客をしている喫茶店といった感じのお店だった。なぜかメイド姿の男子が数人いるのが気になるが・・・」


 案内された席に座り、メニューを見るとオムライスがあったので頼むことにした。

数分待つと

「オムライス二つお待たせしました」

とメイド姿の紗織がいた。

「ありがと」

「支倉さん今日時間あるの?」

「色々あって丸一日休み」

「私今日の仕事もうすぐ終わりだから一緒にまわっていい?」

「いいよ」

そう返事をしたのは悠だった。

「じゃあ、待ってて」

そういうと紗織は裏側に消えていった。

「今の子が去年の冬に会った子?」

「そう」

「可愛いじゃん」

「そうだね」

「何かあった?」

「何も?」

そんな会話をしながらオムライスを食べていると

「お待たせ」

と言う声とともに紗織が現れた。

「まだ食べてるから待って」

そう言いながらオムライスを平らげた。


会計を済ませて外に出るとそこには美優が立っていた。

「あれ?支倉さんも一緒なんですね」

「うん」

「そちらの方は誰ですか?」

「私も気になってた」

そういえば悠の紹介をしてなかった。

「俺は橘悠だよ。隆之介とは中学からの親友」

と彼自身が自分で紹介してくれた。

「よろしくお願いします」

「よろしくです」

「次どこ行く?」

「私のクラスお化け屋敷やってるので来ませんか?」

「いいね!」

次の目的地はお化け屋敷に決まったようだ

お化け屋敷は二人までしか一緒に入れないので悠と一緒に入ろうとしたら美優に

「私支倉さんと話したいことがあるから一緒に入っていい?」

と言われ隆之介と美優、悠と紗織という組み合わせになった。


悠たちが入って二分ほどしてからお化け屋敷に通された隆之介は

「話って?」

と美優に質問を投げかけた。

「沙織と何かありました?」

予想通りの話だった

「特に何も?」

「紗織が文化祭の初日に告白されたの知ってますか?」

「知ってる。聞いてたから」

「なるほど。わかりました。告白されたのを聞いたのは紗織には黙ってますね」

「ありがと」

こんな話をしながらお化け屋敷の中を進んでいく。美優は自分のクラスの出し物なので怖がらないし、隆之介はこのてのアトラクションは怖いと思わないので驚きもせずに出口まできた。

「最後に聞きたいんですけどいいですか?」

「いいよ」

「支倉さんは紗織のことどう思ってるんですか?」

それは隆之介がこの文化祭の期間中に自分に一番問いかけていたものだった。

「好きだよ」

「それは友達としてですか?」

「いや、一人の女の子として」

そう伝えると彼女は少し驚いた顔を見せたがすぐに

「ちゃんと気持ち伝えないと後悔しますよ」

と言われてしまった。

そんな話をしてお化け屋敷を出ると悠と紗織がそこに立っていた。

「どうだった?」

「怖くなかった」

「だよな」

笑いながらそんな話をしていると

「主催しているクラスの人がいるのにそれ言っちゃう?」

と笑いながら美優に言われてしまった。


その後は四人でクラス展示などを見て残りの時間を過ごした。

一般公開の時間の終わりである四時十分前になると

「俺明日学校あるから帰るわ」

と悠が言い出した。

「そうなんですね」

「わかった。第二の文化祭って二週間後だっけ?」

「絶対来いよ」

「わかった。駅まで送るよ」

そう言うと

「私が送ってくるので支倉さんは沙織とちゃんと話してください」

と小声で言われてしまった。

「橘先輩駅まで私が送ります」

そう言って二人は駅の方へ歩いて行ってしまった。


取り残された隆之介は

「水澤さんこの後時間ある?」

「フォークダンスまでは時間ある」

「じゃあ、ちょっと付き合ってくれない?」

「いいよ」

「ついてきて」

そう言うと隆之介は紗織を連れて校舎の中に入っていった。


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