表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

コメディ短編

新人女神のための正しい勇者召喚ハンドブック

ギャグです。

あまりよく知らないのに書いてしまい反省しています。

書いてない所は行ったことがありません。

だから怒らないでください。

 

 わたしの名前はニーナ。

 天界に就職したばかりの新人女神だ。

 そんなわたしが所属するのは【女神部救世課】という女神部の中でも特に仕事がきついので有名な職場。だって3年以内の離職率が50%を超えているという噂もあるんだから。(入ってみたら噂どころか70%を越えてるんだけど……)

 

 普通の仕事なら研修期間とか、先輩の後について見習い期間とかあるわけじゃない? でも女神にはそんなのないのよ。

 女神になったと思ったら、いきなり現場に投入されるの。

 昨日まで普通の女の子だったってのに、「はい、今日からあなたは女神なんだから世界を救いなさい!」とか言われて魔族に占領された世界に飛ばされるんだから。

 いやいや無理だって。【未経験でも大丈夫】って募集要項に書いてあったけど全然大丈夫じゃないから!

 

 そんな新人女神に渡される唯一のテキスト。

 それがこの【新人女神のための正しい勇者召喚ハンドブック】

 

 昔はこのハンドブックすらなく、右も左も分からない女神たちが訳も分からないまま若い男の子を適当に召喚しては勇者に仕立て上げてたらしくて、当たり前なんだけど世界を救うミッションに失敗する女神が続出したと聞いている。いや、そりゃそうでしょ。

 街を歩いている男の子を適当に召喚したって、勇者に向いている男にそう簡単に当たるわけがない。だいたい、トラックに撥ねられてる時点でドジなんだから、そんな男の子に世界の命運を任せる時点で間違ってんのよ。

 

 でもとにかく、今のわたしには金がない。びっくりするくらい金がない。なんとか女神でやっていくしかない。ここでキャリアを積んでさっさと別の職場に移りたいけど、とにかくまずは目の前の金。なにせ女神は完全成功報酬。世界を救ってなんぼだからね。

 

 そうしてわたしはハンドブックをめくり、都道府県別の勇者適合表を確認する。

 

 世界を救うにはまずは何といっても勇者選びよ。優秀な勇者を召喚できれば世界は半分救われたようなもんなんだからね。

 実際、良い勇者に当たったら女神の仕事なんて無いようなもんだから。

 それどころか、逆に女神を助けてくれる勇者すらいるらしいし。

 わたしもそんな勇者に当たりたい。

 とにかく、じっくり検討して優秀な男の子を探さなきゃ。えっと、どれどれ……。

 どこの県の男の子が勇者に向いているのかしら……。

 

 

 ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇

 

 東京都……生粋の東京生まれなら勇者としての才能に疑いはないが、無駄にプライドが高く扱いづらい。しかも、よくよく聞いたら地方出身の場合も多くて詐欺だと思うこともしばしば。召喚するなら渋谷と新宿周辺は避けること。下手すると魔族の方が常識があったりする。秋葉原は昔からの王道ではあるが、異常に奴隷に執着するのもこの辺りの男の子の特徴。水洗トイレとウォシュレットがないと拗ねる。満員電車で鍛えられているので、実は車生活の田舎人よりも足腰が強い。

 

 神奈川県……横浜周辺ならスマートで女の子に人気の勇者になること間違いなしだが、そもそも横浜周辺の可愛い男の子はトラックに撥ねられるようなドジな真似はしない。こちらも水洗トイレとウォシュレット必須で、髪型を異常に気にするので兜などは厳禁。でも、湘南あたりで夜中にうろついているのは勇者というよりヒャッハー。

 

 埼玉県……都会のスキルと田舎のスキルを持ち合わせている。長距離移動も苦にしないので勇者としては超おすすめだが、自己肯定力が低く常に褒めてあげなければならず面倒くさい。埼玉で一番好きな場所は池袋。異常に赤い色を纏っている男は戦闘力が高い。それとは逆にライオンの帽子をかぶっている男は戦闘力が低いが、なぜか暑さには強かったりする。

 

 群馬県……週末は峠で車を走らせている。たまに駅伝をやったりする。よく知らない。

 

 千葉県……海もあるTDLもある空港もあるプロ野球もある。無いものと言えば東京くらい。無駄に戦闘力が高く、勇者向きではないが剣豪になる可能性は高い。魚が好きなので海がないと寂しがる。

 

 福島県……高速道路でオリ〇パスが見えたら東北に帰ってきた気がする。あとここ大事→パーティーを編成する際は山口県出身がいないか注意すること。下手すると大阪東京より噛み合わせが悪い。未だに知事同士は握手しないと聞くが本当だろうか。


 岩手県……広い。普通に広い。みんな地図に騙されてる。下手すると四国くらい広い。最近やけに肩の強い男の子を産出するしアメリカでも活躍するので異世界でもいけるはず。というか、そもそもイーハトーブという異世界の元祖みたいな場所があるもんね。


 山梨県……どう見ても関東じゃないし都会成分はまったく無いにも関わらず、自分は関東だと思っている節がある。ブドウと桃にうるさく富士山の所有権の事となると静岡県民と言い争いになることもあるので一緒にしてはいけない。そのくせ南アルプスは長野県ではなく山梨県の物だと主張する自分勝手な部分も。阪急東宝グループを作りあげた小林一三翁は韮崎出身。もしかすると皇帝になるような男の子がいるかも。

 

 静岡県……都会のスキルは低いが水を怖がらないので海のある世界向き。長距離移動は全く苦にしないが茶にうるさく「お前は千利休か!」とツッコミたくなることもしばしば。丸い物があったらとりあえず蹴る。でもミカンは蹴らない。ムダに横に広いので電車に乗ってると「まだ静岡かよ!」とツッコミたくなる。素早いので前衛の攻撃向き。

 

 長野県……松本市と長野市は仲が悪い。軽井沢とそれ以外では人種が違う。自分が住んでいる場所の標高をみんな言える。生まれながらにして高地トレーニングをしているようなものなので駅伝が得意で心肺能力は高い。険しい山を見ても怯えもせず「中学の時の訓練で三千メートル級の山に登ってますから」と言う。もっとも住んでる所がすでに千メートル。教育県と言われるが言うほど勉強はしていない。新海誠の出身地。【君の名は】に出てきた【綿半】の看板は長野のスーパー。野沢菜という草を食べるので野宿も全然平気だから冒険に向いている。虫も食う。あと御柱というでかい木に乗って崖を落ちるという意味の分からない祭りをするくらいなので命知らずの旅も大丈夫。

 

 岐阜県……作者は木曽を岐阜県だと思ってた。夏になると朝まで踊り続ける風習があるので夜更かししても大丈夫。海無し県なので泳ぎは得意じゃないけど、異世界で泳ぐことなんてないから別にいい。大垣と聞いてピンとくるあなたは18キッパー。夏になると冒険の旅に出てましたね。


 三重県……夏になると亡霊の出る海水浴場が紹介される県。江戸時代は和歌山県とセットだったためか近鉄アーバンライナーのおかげなのか近畿っぽいところがある。最近異世界で重宝される忍者をお望みなら伊賀上野の男の子を。今なら炭酸飲料もついてます。なぜか県内にスペイン村という異世界がある。みんな行ってあげて。


 愛知県……質実剛健だがプライドも意外に高く、リーダーとしては人望に欠ける部分もあるが、お金の管理が上手いのでパーティーの金庫番にピッタリ! 何を買うにしても「本当にそれは必要か?」と口をはさんでくるので一緒に買い物したくないタイプ。でも結婚相手にはピッタリ♥ 巨大な女の足元が待ち合わせ場所。パスタにあんこを掛けても平気なように、どんな組み合わせの料理でも大丈夫。朝ごはんは大盛でないと怒る。

 

 

 よくよく読んだら勇者向きの人間なんてほとんどいないじゃない。というか結婚相手にピッタリ♥ってなに? こちとら勇者を探してるんであって結婚相手を探してるんじゃないんですけど。まあ、勇者と結婚して寿退社する女神も多いんだけどさ。

 わたしだって良い男の子だったらそれでもいいんだけど。

 


 福井県……地元への満足度が意外に高くホームシックにかかる勇者もしばしば。カニは越前カニ一択。昔ほどではないが豪雪地帯。人当たりも良く優しい男の子も多い。逆に言えば争いが苦手で魔族に同情したりもする。最近は野球も強いので体力的にも問題はないが、野球をやってる男の子は他県出身だったりする。新快速がつながったので敦賀から大阪まで遊びに行きやすくなった。ちなみにかつ丼はソースかつ丼。


 富山県……魚が異常に美味しい。国民的漫画家の出身地なので異世界でも未来でもどんと来い。あの真っ黒なラーメンが食べられるくらいなら何でもいける。あと女子高生が可愛い。いや、ほんと。電車に乗ったとき、まわりが全員聖女に見えた。

 

 京都府……こいつらの「お上手どすな」は褒めているわけではない。ぶぶ漬けを出されても食べてはいけない。ちなみに京都人が言う先の戦争とは太平洋戦争のことではなく応仁の乱のこと。京都には海もあるが京都人ですらそのことを知らなかったりする。天皇は東京に貸してるだけで都は依然として京都である。意思の疎通が難しい。パーティーを作ったら新参者に厳しい。京都人が言う京都とは洛中のこと。京都人の「まあまあどすな」は最大級の褒め言葉なので素直に喜ぼう。

 

 滋賀県……琵琶湖は湖だが地元民は『海』と呼んでいる。湖のくせに津波警報が出たことがある。琵琶湖の中には人が住んでいる島がある。湖西と湖東は別の国。長浜より上は近畿のくせに豪雪地帯。勇者なら彦根あたりの高校生が頭も良くてわりとおすすめ。膳所あたりの子は頭が良すぎて言うこと聞かない。

 

 兵庫県……多種多様の人材が住んでいる。神戸と明石と姫路と豊岡は人種が違う。尼崎は大阪の植民地で地元民も大阪だと思っているし市外局番も大阪と同じ。芦屋は日本最高級のお金持ちエリアで庶民は立ち入り禁止。神戸周辺は日本有数の観光地だが、日本海側になると日本有数の田舎になる。とりあえあず無駄にゴルフ場が多い。意外と三田あたりに勇者向きな男の子がいる。名参謀タイプが欲しいなら灘のあたりにゴロゴロいる。加古川より西は世紀末。

 

 奈良県……山ほど国宝があるのにそれを自慢することはない。価値も知らない。どこを掘っても遺跡が出てくる。奈良市内には何でもあるが十津川周辺はとてつもない秘境。ニホンオオカミが最後に目撃されたという話。でも十津川郷士で分かるように、いざとなると刀を手に戦うことも厭わないので勇者に向いていないとも限らない。野球とラグビーが強いので体力は大丈夫。

 

 岡山県……白桃は岡山が一番。広島をライバル視してるようなところがあるが、広島はそれほどでもない。意外と対岸の香川と仲が良くない部分もある。でも大学は香川に行ったりする。温暖な瀬戸内の気候で育ったせいか、好戦的な者はいない。でもその昔、内陸の津山というところでは、おっと誰か来たようだ……。

 

 香川県……うどん。とにかく、うどん。でも丸亀うどんは香川じゃないし認めたくはないけど、知名度を上げてもらった恩は感じている。壇ノ浦に比べて屋島の知名度が低い。弓が得意。とにかく商店街がデカい! 勇者に向いているかどうかは知らん。あと本屋もデカい。

 

 和歌山県……ミカンがある。醤油がある。

 

 大阪府……ダメ! 絶対! 口うるさい金にうるさい。ツッコミが甘いと怒られる。ボケが弱いと怒られる。ようは怒られる。いつまで経っても大阪弁を止めようとしない。パーティーに東京出身がいると異常に敵愾心を燃やす。安く買うことに全身全霊をかける。目を離すと勇者をほっぽり出して商売を始める。47都道府県でもっとも勇者に向いていない人種。タイガースの悪口を言うと機嫌が悪くなるが甲子園は兵庫県にある。とりあえず「バックスクリーン3連発」と言っておけば機嫌がいい。ただ、おばちゃんは強い。世界最強。

 

 広島県……お好み焼きは最初に混ぜない。ソースはブルドックではなくおたふく。あとはカープの悪口さえ言わなければ上手くやっていける。モダン焼きが好きな大阪人とパーティーを組ませる時は注意すること。似ているようで全然違う。戦闘の際には力を発揮するので勇者向きと言えるが、広島弁が勇者向きではない。その昔、街中で本当に戦闘がおこなわれていた。

 

 高知県……昔から豪快な人間を多く輩出する。覇王とかに向いてるかも。とりあえず飲む。なにかあったら飲む。昼間からでも飲む。観光ではりまや橋に言ったら気が付かずに通り過ぎる。女の子の高知弁は可愛いね。


 愛媛県……みかんと道後温泉がある。甲子園で延長18回をできるほどの体力があり長い旅にも向いている。もうダメだ!と思った時に神風が吹いて奇跡のバックホーム。あれは監督のファインプレー。やはり全国的にジョインよりポンジュースでしょう。異世界で果実農家として成功する話はあったっけ?


 徳島県……何かあると踊る。ずっと踊る。パーティーのことを「連」という。かずら橋は異世界っぽくて好き。池田あたりの男の子は金属バットを持たせると凄く強い。最近見ないね。

 

 山口県……岩国がある関係か異世界人に対するコンプレックスが少ない。すぐに異世界に順応する。明治維新で傑物を輩出した歴史が物語るように当たれば大きい。大陸を統一したり、ドラゴンスレイヤーにしたいのならば狙い目。ただ、数が少ない。少なくとも作者に山口出身の友達はいない。銀が取れる。

 

 福岡県……可愛い女の子が多い。食べ物が美味い。野球が強い。転勤先で希望を聞かれたら、とりあえず福岡と言おう。若い女の子も多いから後悔しない。勇者を探すなら福岡あたり。剣士を探すなら小倉あたりで。

 

 島根県と鳥取県……この2県は一緒にされるのを嫌う。出雲大社があるのが島根。水木しげるで有名なのが鳥取。コナンで有名なのが鳥取。いまだにどっちが右か分からない。確か右が鳥取だったような……。


 北海道……広い。とにかく広い。あなたが呼んでるハイファンに出て来る大陸より広い。というか異世界。北海道が異世界。北海道から見たら内地が異世界かもしらんけど。転生したらジャガイモを広めたりするが、大概の異世界には既にジャガイモは周知されているのでここはチーズでいってみよう。あと、北海道には熊がいるがラノベ作者に殺られるようなやわな熊じゃないので、熊を見かけたら転生のチャンスだと思って諦めよう。

 

 

 はあ……読むだけでどっと疲れた。

 とりあえず召喚する男の子は埼玉の子に決めた。優しそうだし。

 池袋あたりをうろついている男の子を召喚すれば埼玉の男の子に当たるでしょ。

 失敗しても東京の男の子なら全然OKだし。

 

 さあ勇者を召喚するわよ!

 

 

 

 

 

「なんやねん」


 こうしてわたしの短い女神人生が終わった。

こんな話を最後までお読みいただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 埼玉出身のワレ、書いてある事が結構正確な意見で驚く。
[一言] うどん県民です(山育ち派の意見 県またぎますが四国四県じゃお遍路も候補 昭和世代くらいしか巡ったことはないかもだけど あと山と海の距離が異常に近い 祖父母のころの話では山の畑で野菜食って…
[一言] か~、姉ちゃん大阪引いてもうたか こらすまんなー まあ今回は諦めて次頑張りやー 以上、大阪からです
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ