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わたしの秘密

作者: 奥田 繭

わたしの秘密をおしえてあげる

ベッドにはいったわたしは

毎晩ひとつだけ 

おねがいごとをしていることを


ある日のおねがいは 美しい歌声

みんながききほれる あのこの声と

そっくりそのままとりかえてください

かわりにわたしの声はあのこにあげて

わたしにはもはや 聞こえない用なしだから


別のある日のおねがいは フワフワのおちびさん

ピンク色の小さな舌が飛び出して

わたしの顔をやさしくなめる

かわりにわたしのお人形をあのこにあげて

わたしにはもはや 薄ぎたない塊だから


なんどもなんどもつよくねがえば

きっとかみさまはかなえてくれる

だからわたしは毎晩ねがう

いちにちひとつ ただひとつだけ


かみさま わたしに鳥の眼をください

空から頭上を見渡す 抜け目のない視界を

かわりにわたしの眼をあのこにあげて

わたしにはもはや 近視眼的世界はかなしすぎるから


今日もかみさまにたのんだけれど

どのかみさまもきっとねんねしてる

だってきのう おねがいしたから


かみさま わたしに 

すべてのモノが

夢からさめない夢を与えてくださいと

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