prologue - 晴耕特性雨読
プロローグ
~晴耕特性雨読~
雨男、晴男、みたいな言葉って聞いたことある?
その人がいるとその天気に傾きやすいっていう、迷信みたいなものでしょ?
そうそう、そういうやつ。
でもそれってもう昔の話でさ、今はその天気の力を持って生まれる人が増えてるんでしょ?
うん、そういう人達のことをなんて呼ぶかは知ってる?
勿論知ってるよ、それは——
————天候者————
昔は迷信だと言われていた雨男やら晴男やらは、本当に天候の力を持っている事が最近の研究で明らかとなった。その特性を持った者の事は天候者と呼ばれていて、総人口の一割ほどとそう多くない。
そしてその天候の力は大きく分けると六つに分類される。
晴、雲、雨、雪、風、雷。
しかし、天候者の発生や原理といった根本的な部分についてはほとんどの部分が解明されていない。その力で自然の均衡が崩れるかと言うとそうでもなく、どうやら全体の特性のバランスに差は無いため目立った事も起きていないらしい。
特性は親から子に遺伝する場合がほとんどだが、稀に隔世遺伝も起きる。
天候者であることを見分ける方法の一つに、毛並み及び体の色がそれぞれ天候に対応した色味がかるという傾向がある。晴は赤、雲は黒、雨は青、雪は白、風は緑、雷は黄色といった具合である。
その中でも僕——ダックス系犬獣人の五月 晴彦は、晴の特性を持つ天候者だ。僕の場合普通ダックスだと黒い部分の体毛が薄い赤色になっていて、僕の両親も共に晴の特性の持ち主である。
この物語は、そんな僕と学校での周りの色んな人物、そして僕の双子の弟である雨彦が絡み合うちょっと不思議な話だ。