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方向性の違いのせいでバンドから追放されたが、後になって絶対音感を越えるスキルが俺にあることが分かり、新たなバンドを結成して俺を追放したやつらに力の差を見せつける

作者: 原書

音楽ものを書くのも初めてですね笑

僕の好きな曲は、『あの日見た君の涙』です

 10年前。俺はアイツと固い約束をした。


「俺とお前で一緒にコンビニをやろう。二人の力を合わせてナイアガラの滝にコンビニを作ってやろうぜ!」


 そんな夢を語った日々を思い出しながらブラック企業の社畜として5年目、ゆーすけ(28)は今日も上司に怒られる。怒られている最中のゆーすけ(28)の頭の中では、かつての激闘の日々がグルグルしている。


ナイアガラの滝とは無い輩の滝で、リオデジャネイロという翼竜が根城としている場所である。故に、そこでコンビニを経営するということは、リオデジャネイロの糞となることを意味していた。


「最近、アイツに合ってないなあ」


 伊東(28)はつぶやいた。


「昔は俺とお前でよく万引きをしたもんだぜ。 そういえば昔アイツと一緒にコンビニやるっていう夢を持っていたなあ。 でもアイツは社畜で俺はフリーター、もう叶えることはできないのかなあ」


 非常な現実に直面した伊東(28)の目の前に、1匹の小さな生き物が現れた。そう、リオデジャネイロの子どもである。とても可愛らしい。胸の膨らみを見るに、メスであることがわかった。非常に可愛らしい。


「君のためにカラオケ店の地下に秘密基地・アースを用意したよ。 ここで君はバンド活動をしてコンビニ建設のための資金を貯めるんだ。」


 ぴょこぴょこと飛び跳ねながら、リオデジャネイロの子どもはそう言った。その胸の揺れを見るに、どうやらメスのようだ。とても可愛らしい。


 社畜生活にうんざりしたゆーすけ(28)は何も言わずに会社の業務をばっくれた。


「俺、もう会社やめる。 俺はアイツと夢を叶えるんだ。」


 と、走り出したその時、金髪のyoutuberとぶつかった。


「ピッピッピー! どうも! 池沼リュウです! ナイアガラから来ました、メントスコーラお願いします!」


 その言葉を彼の姿を見たゆーすけ(28)は、お前ナイアガラからきたのかと、はっとした表情で尋ねた。しかし、超人気者であるyoutuberにはその声が届くことはなく、ゆーすけ(28)はリオデジャネイロを買いに行くことにした。その途中、突如彼のポケットで着信音が鳴った。発信元を見ると、そこには伊東(28)と記されていた。慌てて電話に出る。


『よう!今ちょっと時間あるか?』


『おお』


『俺と一緒にバンドやらないか』


『え?』


 なんやかんやあって二人はバンドを組むことになった。これが後のビーズである。ゆーすけ(28)はこの勧誘について後にこう語った。


「わがままだったけど、愛があればOKです!」


 夢じゃない、あれもこれも。彼らの歌詞にあるように、ゆーすけ(28)と伊東(28)はかつて共に語り合った夢を思い出した。


「ナイアガラの滝でコンビニをやるっていう夢は、夢じゃない。今の俺たちで現実に変えてやろうぜ!」


 する突然目の前に、黒ずくめの男達が立ちはだかった。


「この先へ進みたければ、俺たちを倒してからいきな!」


「やっちまえ!」

 

 その台詞と共に、黒服たちは襲いかかる。戦いの最中、伊東(28)は逃亡してしまった。その結果、ゆーすけ(28)のバンドメンバーから伊東(28)は追放されたこととなり、黒服達が新たに仲間に加わった。


「ゆーすけ(28)のやつ…俺を捨ててあんな奴らを仲間にしやがって。 まあいいさ、俺の反撃はここからだからな。」


 伊東(28)は理不尽に負けることなく、反撃の狼煙(いわゆるざまあ)を上げることにした。


 一方そのころゆーすけ(28)は黒服の男一人に神妙なお面をかぶせ、DJラボと名付けた。その瞬間スマホが鳴り、彼らのメジャーデビューが決定したのである。ゆーすけ(28)の活躍を見た伊東(28)は、アイツが本当にバンドをやりたいのか、疑問に思った。彼はコンビニ店長の話を受けるべく、某大手コンビニの講習会に参加した。


「ビッグなコンビニ経営者になってゆーすけ(28)の鼻を明かしてやるぜ!」


そして伊東(28)はコンビニ経営を始めたのだった。

 ここまで読んできた読者の方ならば、伊東(28)とゆーすけ(28)の人生に、どこで差がついたのか、気づいたことでしょう。そう、ゆーすけ(28)は、私たちの提供する教材、真剣ゼミで、毎日成功のコツを学んでいたのです。一日10分で、何をすれば良いか分かる私たちが研究を重ねたどり着いた教材により、成功を掴んだのです…。


そんな戯れ言が、無機質なラジオから流れている。


「どうして万引きなんかしたんだ。」


伊東(28)は縮こまった少年に向かって罵声を浴びせた。


「家計が苦しくて…仕方の無い事だったんだ!」


言いつのる彼の胸ぐらを掴み、伊東(28)は『殺されてえのか!』と猛る。その後ろではゆーすけ(28)のデビューシングル『善悪を歌ったエンジェルとデビル』が流れていた。


伊東(28)の前に、ある男が現れた。


「君はデキるコンビニ経営者スキルを手に入れたか!?」


「なにそれ?」


「それを分からないお前は、コンビニ経営をする資格がない!」

 

 伊東(28)は何も果たさないまま無職になった。テレビで国民的人気バンドとなったゆーすけ(28)を見ると、憤りが収まらない。極めて遺憾である。諦めかけたその瞬間、小さな子どもが声をかけてきた。


「おっさん、俺のチャーハンやるよ」


「面目ねえ…面目ねえ…」


 号泣しながら伊東(28)は言い放った。


「こんなうまいもん食ったのははじめてだ。」


「おっさん、風邪ひくなよ」 


少年は笑顔を残すと、去って行った。

伊東(28)は立ち上がった。


「俺やっぱ、バンドやる。」


 伊東(28)の顔に生気が戻った。今なら何でもできる気がする。そう思った伊東(28)の手には、真剣ゼミの勧誘の封筒が握られていた。そう、彼もまた被害者となってしまったのだ。入会者増加の知らせに、総裁であるゆーすけ(28)はほくそ笑む。


「伊東(28)…ついに来たか!この戦場に!」


「さすがDJラボ。 ラボの名を持つだけある。」


 彼はバンド内で遊んでいるだけの人と思われがちだが、実は曲の最中答案の採点をしていたのである。そして今日、とうとう計画通り伊東(28)の答案用紙が届いたのだった。


国語:13点

数学:19点

社会:19点

理科:8点

英語10点


「なんだこれは…たまげたなあ」


くるっぽー

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