24番ホール ライバル出現!
新入部員も加え、新年度のゴルフ部が始動した。
千夏と同じ部署でゴルフのうまい新入社員真田に対抗意識を燃やすことになる大樹・・・。
今日はゴルフ部の定例会があり、今回の主テーマは新人部員の紹介だ。
千夏のところの真田も入部して、今月の定例コンペから参加することになっている。
先月のラウンドで俺は手応えを感じることができたし、更なる向上のための課題はアプローチとマネージメントで
あることは明確だ。
昨年の選手選考では箸にも棒にも引っかからなかったが、今年は十分狙えるように思える。
4月のコンペでは2位に入ったし、残り5回の定例会でも4位以上に入れば確実だ。悪くても80前半でラウンド
する自信はある。
定時後に行われた定例会では、社長の欠席によって巽部長が代わりに挨拶をした。
「今年もゴルフ部に5人が入部してくれました。昨年は予選敗退という結果になりましたが、決勝進出そして
日本一優勝に向けて頑張りましょう。」
新しく入部した5人とは、設計部門の先輩社員2人と新人の真田だ。進入部員の挨拶の中で、真田は“選手として
会社に貢献します”と挨拶した。
既に選手になったつもりでいる。さぞゴルフに自信があるのだろうが、今度の定例コンペが楽しみだ。
温厚な田之倉でさえ、“ああいう物言いはちょっと反感買うよな“と言っていた。
「千夏、やっぱり普段からあんな感じなのか?」
「そうねえ、悪気はないと思うんだけど。この間も香川さんからちょっと注意されてたけどね」
たぶん日常からこんな感じなんだろうなと思いながら会場を出ようとした。
「沢村さん!」背後から声をかけられた。振り向くと真田が立っていた。
「真田くんか、何か用?」
「沢田さんてゴルフ始めたのって去年なんですよねえ?」
「ああ、そうだよ」俺は何を言いたいのかよく分からなかった。
「先ほど白川さんから聞きましたけど、初めて1年で70台で回るなんて凄いですね。なんかコツでもあるん
ですかね?」
どうも刺々しいものの言い方だ。
「コツがあれば俺も教えて欲しいよ。まあ、プロに基本をみっちり教えてもらったのが大きいんじゃないのかな」
「そうですか。ま、頑張ってください。それじゃあ」去ろうとする真田を呼び止めた。
「真田くん、お互い頑張ろうな。それと、先輩に対して“それじゃ”はないだろう。」
俺は真田の反応を見た。
「失礼します」
明らかに不満そうな態度で会議室を出て行った。俺が言うより先に田之倉が言った。
「なに今の?」
「俺が聞きたいんだけど。俺のこと嫌ってる?喧嘩売ってる?それとも上から目線の激励?」
「今のはないわね。先輩に対する言動じゃないわよ」由佳さんまで言い出す始末だ。
「大樹、ごめんね。後で注意しとくから」千夏は申し訳なさそうに言った。
「千夏が謝る必要はないだろ。でもまた同じようなことがあったら、ぶん殴るかもしれない。口の聞き方は
しっかり教えてやらないと彼のためにならないからな」
会議室を出た俺たちは、それぞれのオフィスに戻った、俺と千夏が席に戻ったときには、真田は既に帰った
あとだった。
席に座っていた榊原さんが真田のことを聞いてきた。
「真田くんと話してたようだけどなに話してたの?」
「よく分かりませんが、激励されました」俺はさっきの会話のことを話した。
「へえ〜、沢田くんも先輩らしくなってきたわね。それにしても言葉の使い方がなってないわね」
「真田ってどういう奴ですか?」
「私も知らないわよ。でも最初の挨拶でゴルフと恋愛を頑張ると言ってるくらいだから、ちょっと変わってる
かもね。千夏とられないようにしなさいよ!」
一瞬ギクッとした。
「それはないでしょ!」
「そんなことわかんないわよ。男と女の関係なんてどう転ぶか・・。影のある悪そうな男に惹かれることもある
のよ」
師匠の言うことにも一理あると思いながら、言われっぱなしもシャクなので言い返した。
「もしかして、師匠もそのタイプで経験者語るですか?」
「私のことはほっときなさい!ハハハ〜」
最近師匠の笑い方も以前にも増して豪快になってきた。美人にこういう笑い方をされると不気味さを感じる。
一度は、師匠の恋愛経験をじっくり聞いてみたいものだ。
5月のゴルフ部定例コンペには、新入部員5名を加え総勢15名が参加した。
今回女性では榊原さんと千夏が参加する。
場所はいつもの富士児玉ゴルフクラブだ。この時期、グリーンの状態もとてもよく速さも10フィートは出ていて、ピンのポジションによってはとても難しくなるだろう。
今年は芝の生育もよく、ラフも深くなっているから要注意だ。
西垣プロから、3通りのラフ対策(①ボールは浮いている ②ボールが半分沈んでいる③ボール全体が沈んでいる)をしっかり教えてもらった。
以前、巽部長がダブルス戦で手首を痛めたラフからのショットをぜひ試してみたい。俺に足りないのは経験だ。
定刻通り、8時30分1組目の巽部長や千夏がスタートしていった。千夏はこの間買ったウェアーを着ての
ラウンドだ。そのウェアーを榊原さんから褒められて上機嫌だ。
その千夏は空振りすることなくフェアウェイにナイスショットだ。改めて度胸の良さ
にはいつも驚かされる。
注目の新人真田は2組目、俺は4組目で佐藤課長と榊原さんだ。
その真田のティーショットは、身体全体を使った学生ゴルフ出身らしい豪快かつ綺麗なスイングだ。
明らかに素人のスイングではない。性格とゴルフは関係ないようだ。
俺はそんな真田のスイングを意識してしまい、俺のティーショットはボールを捕まえきれず右ラフまでいった。
いきなり反省だ。ゴルフは自分との戦い、自然との戦いだ。
真田と競うわけじゃない。そう自分に言い聞かせた。
この日付いたキャディーさんは、以前にも付いてもらったこともある佐藤朱実さんという人だ。
とても人懐っこい明るい人で、佐藤さんも俺のことは覚えてくれていた。
「大樹ちゃん、あそこなら大丈夫。グリーンは十分狙えますよ」
佐藤さんの一言で俺の気分も落ち着いた。
1番ホールをパーで切り抜けた俺は、その後もマネージメント常に意識しラウンドすることができた。
真田のことはすっかり俺の頭から消えていた。
6番ホールのショートホール、前の組のショットを打ち終えるのをカートで待っている時、榊原さんが俺に
問いかけた。
「沢田くん、今なにを意識してラウンドしてるの?以前回ったときとプレイスタイルがぜんぜん違うわね」
佐藤課長もこっちをみている。
「そうですね。今はボールの置かれた状況から、そのホールをどう攻めるか考えることに専念してるというか。
マネージメントを疎かにしないことを第一に考えてますけど」
「また一歩成長しているな。ミスしても落ち着いてプレイしているのがいいね」
佐藤課長が褒めてくれた。
「なんか1年で成長したな。青年!」榊原師匠からもお褒めの言葉だ。
「有難うございます。師匠!」
「師匠はいいなあ!優秀な弟子を持って幸せだなあ、榊原くん」おかしそうに佐藤課長がツッコミを入れた。
「まだまだ未熟な弟子ですが、佐藤課長からもビシビシ鍛えてやってください!」
「師匠の心温まるお言葉、誠に有難うございます!」
「沢田さんもこんな美人を師匠に持って、幸せ者だねえ」
キャディーの佐藤さんまでのってきた。
「大樹、聞いたかあ!今の。この世の男はなんでほっとくんだろうね」
そんな冗談を言いながら、たぶんジョーダンだと思うがこういう会話をできるのもゴルフのいいところだ。
午前のハーフは、佐藤課長が2オーバーの38、榊原さんは10オーバーの46、そして俺は1オーバーの37で
回った。2バーディー、1ボギー、1ダブルボギー。
ダブルボギーはO Bなしの単なる素ダボで、雑なプレイをしてしまった。
先に上がっていた巽部長は1オーバーの37、そして新人の真田はなんと1アンダーの35で回ってきた。
あのティーショットはマグレではなかった。
俄然俺の心に火がついたが、俺は俺のプレイをすることに専念するんだと言い聞かせた。ゴルフは18ホール
終わってなんぼだ。そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、榊原さんが午後も楽しくやりましょうと声を
かけてくれた。
午後からも午前同様、榊原さんの言葉通り楽しい中身の濃いラウンドになった。
お互いのナイスショットを褒め合い、ミスが出れば原因を話し合う。
佐藤課長からのアドバイスも参考になった。
17番を終わって、ここまで佐藤課長はパープレイ、俺は1オーバーできている。
ここをボギーで上がってもベストスコアー更新の74になるが、パーならハーフでパープレイだ。
俺はこのホールのマネージメントをどう組み立てるか悩んだ。
「沢田くん、ハーフベストって37だっけ?」佐藤課長から突然聞かれた。
「はい、そうですが」
「じゃあ、ここはパーを狙わないとな。悪くてもボギー、そういうマネージメントを考えてごらん」
佐藤課長のいう通りだ。ハーフパープレイの可能性があるなら、
狙わないでどうする。守りだけじゃいいスコアーは出せない。俺の気持ちは吹っ切れた。
ティーショットはフェアウェイ右サイドが狙い目だ。そこからグリーン左サイドが安全、右サイドは絶対N G。
ピンはグリーンの右手前。グリーンを外してもアプローチは足を使えるからパーのチャンスは十分ある。
よし、これで攻めよう!
ティーショットは少しヘッドの上っ面に当たりボールは天ぷら気味にフェアウェイセンターへ。
残りはグリーンセンターまで180ヤード。躊躇なく6番アイアンを選択し、ややダフったボールはグリーン手前
5ヤード花道へ。予定とは違うが、結果は上々だ。
エッジから5ヤードの位置にあるピンに対し、56度のサンドウェッジでピッチエンドラン。
ピン手前1mの上りにつけた。俺はラインを読んで、左カップ内側に狙いを定めた。
しっかり打てればほぼまっすぐだ。いつものルーティーンからヘッドをセットし打ち出したボールは、カップの
ど真ん中から飛び込んだ。
緊張したもののイメージ通りのパッティングをすることができた。佐藤課長と榊原さんから“ナイスパー”と
声をかけられ、俺はお礼を言った。佐藤課長もこのホールはパーで、トータル2オーバーの74。
俺は自己ベスト更新の73で回ることができた。
榊原さんは89を叩き出した。
3人とも満足のいくプレイができて、気持ちよくホールアウトした。
マスター室にスコアーカードを提出し、早く全体の結果を知りたい気持ちを抑えて風呂に入った。
食堂では俺たち4組目の3人を待っていた。榊原さんもすぐに来て、パーティーが始まった。
事務局の谷川課長から成績発表が行われた。
優勝は、スコアー72のパープレイで巽部長、同スコアー72で回ったものの年齢の低い真田が2位。
3位が俺で4位は佐藤課長、末木課長が5位となった。
それにしても真田の奴は大口を叩くだけはある。
優勝した巽部長から、今回70台で回った選手が6人、選手層が昨年より厚くなり
頼もしいとの言葉をもらった。ただその後の真田の挨拶がしらけた。
「今日は初めてのコース、さらに調子自体は良くなかったですが、パープレイは結果オーライでした」
入社して1ヶ月の新人のどこからこういう言葉が出てくるのか、俺にとっては不思議でならなかった。
ちなみに、千夏は先日に続き90台で回り榊原さんに褒められ大喜びだった。
最後は、巽部長がしめてコンペは終了した。
来るときは榊原さんと一緒だった千夏は、帰りは俺の車で帰ることになった。
榊原さんが疲れたから、俺が送っていけと言ってくれた。師匠の心遣いに感謝だ。
帰りの車の中で、千夏は終始ご機嫌だった。
「千夏も安定してきたな。来年には80台も狙えるんじゃないのか」
「まあね、当然の結果よ。それにしても真田の奴、また生意気なこと言ってたわよね」
「なんだろね、あれ?先輩達しらけてたぞ。」
「それより聞いてよ。ほんとは大樹には言わないつもりだったんだけどさあ、あいつ私に付き合ってくださいって
告ってきたんだよ!」晴天霹靂とはこのことだ。
「なにぃー!いつのことだよ?」
「昨日よ、昨日。もちろん断ったけどね。タイプじゃないし、気持ちが感じられなかったわ」
ちょっと待て!タイプで気持ちが感じたら受けるのか??
「今日なんて目を合わせても挨拶もしないんだよ。マジ信じらんないよ。大樹みたいに裏表がないのが一番よ」
俺は褒められているのか・・・。
「香川主任も苦労してんじゃないのか?」
「そうみたいよ。私には言わないけど課長には相談してるみたい」
サラリーマンは上司を選べないが、部下も選べないと千夏と大いに合意した。
俺は江藤さんで良かったとつくづく思った。と同時に、真田だけにはぜったい負けまいと固く誓った。
「そんなことより、大樹頑張ってよね。あと4ラウンドで選手決まるんだよね?」
「ああ、最近いい感じだから気を緩めず頑張るよ。まずは6月の合宿が勝負だな」
「来月の合宿前にまた2人でゴルフ行こーぜ」
「うん、いいよ」そう言って千夏はそのまま眠りに落ちた。
選手選抜のためのゴルフ部コンペ、6ラウンドのうち2ラウンドを終わって俺は
2位につけている。残り4ラウンドをどう回るかなんて、今の俺は考えることはじゃない。目の前のラウンド、
目の前の一球に集中するのみだ。
6月の合宿では、1ラウンド目77で4位、2ラウンド目は78で5位だった。
やっぱりアプローチに安定性がかけている。パーオンをしない時の1パット圏内に確実に寄せる技術が俺には
まだない。
それでも、4ラウンドを終わった時点で俺は巽部長、新人の真田、佐藤課長に続いて4位の位置にいる。
悔しいかな、真田にはまだ勝ったことがない。
それにゴルフ部コンペではまだ一度も優勝していない。
7月の定例コンペは、低気圧による生憎の悪天候の中でのラウンドとなった。
実施するかどうかスタート前にクラブ側と相談したが、ラウンド可能ということで決行となった。
雨と強風による悪コンディション、俺にとっては2回目の雨天の中でのラウンドだった。
そうした中、俺は80ストロークで3位に食い込んだ。優勝は百戦錬磨の巽部長で75で回るから凄い。
真田は85で馬群に沈み、初めて勝った。
もしかしたら悪コンディションに弱いのかもしれない。
8月の最終ラウンドの前に成績を整理しておくと、4月からの5ラウンドの俺の合計スコアーは385で
平均スコアーは77.0。トップの巽部長は74.2、2位は真田で76.0、第3位は佐藤課長で76.2、
ちなみに5位は末木課長で77.4。
末木課長とは4ラウンドでわずか2打差と僅差だ。最終ラウンドの結果次第で選手から外れる可能性も十分ある。
今年の夏休みは8月10日から18日の9日間、ゴルフ部定例コンペは16日に予定されている。
俺は西垣プロにこれまでの成績や今の順位、16日にラウンドがあることを説明した。
スコアー短縮の鍵となるのは、やはりパッティング、アプローチとバンカーショットの精度を上げることだと
言われた。
そこで15日までの6日間を、以前練習させてもらったパッティングやアプローチ、バンカー練習もできる
練習場でコーチをしてもらえないか相談した。西垣プロは初日と5日目にレッスンしましょうと心よく
引き受けてくれた。
6日間、毎日午前9時から12時までの3時間をこの練習に充てた。練習メニューは西垣プロがわざわざ作成
してくれた。
初日、メニューの説明も兼ねてパッティング、アプローチ、バンカーを1時間づつ練習した。
ここでパッティングの練習方法を初めて教わった。一つは、カップを中心に1mの距離に円を描くように
ボールを対角線上に8球置いて、それを連続でカップインしたらチャレンジ終了。もう一つは、カップから1m、
1.5m、2m、2.5m、3m、3.5mといった具合に5mまでボールをセットしてカップインさせるというもの。
最後に2mの距離にボールをセットし、30球続けてカップインさせるというシンプルなものだ。
3種類の練習方法は技術的な部分がしっかりできていないといけないが、それ以上に大切なのがメンタル面だ。
残りの球数が少なくにつれ、プレッシャーがどんどん増してくる。ミスをすればまた最初からやり直しになり、
精神的に疲労度が増してくる。
西垣プロから全てカップインさせることが目標だが、諦めずに何度でもチャレンジすることが重要だと教わった。
アプローチやバンカー練習もゲーム感覚の練習法を教わった。
この時期、気温は30度をゆうに超えてアプローチ練習をしているのは俺くらいだ。
練習場のスタッフも時々様子を見にきて、俺が倒れていないか確認しているようだ。
3日目にはなぜか嫌がる千夏を呼んで一緒に練習した。30分もすると、
「大樹、暑いよお〜!みてよこの腕、焼けちゃったじゃない。責任取ってもらうからね!」
そう言って持ってきた水筒のドリンクをガブガブ飲んで、そのまま練習場のロビーに逃げ込んだ。
俺にとってはこれまでお天道様のしたで野球をやってきたからこのくらいの暑さはなんてことない。
練習が終わってから千夏に散々せがまれ、浅草のなんとかという一つ1,800円もするスイーツをご馳走する
羽目になった。
このスイーツをタイトリストのボール3個と比べると、俺の価値観ではどう見てもボールに価値がある。
ちなみに三日目以降千夏が来ることはなかった。
2日目はパッティング、3日目はアプローチ、4日目はバンカー、5日目は西垣プロが来てくれて俺にレッスンを
してくれた。
「どう、少しは芝に慣れましたか?」
「そうですね、毎日やってるせいか少し自信がついてきたように思います。精度はちょっと?ですが・・・」
「じゃあ、少し成果を見せてもらいましょうか。本番のつもりで打ってくださいね」
そう言ってパッティングからアプローチ、バンカーと教わったゲームを始めた。
西垣プロは手帳を取り出し、俺がショットを打つ度に何かを書き込んでいる。一通り終わったところで、
解説してくれた。
「初日にやってもらった時に比べて、全体的に精度は上がってますよ。数字にも表れていますね。
例えば円を描くようにボールをおいたパッティングですが、前回3回チャレンジして平均が2.7個だったの対して
今回は4.0個、50cm毎に置いたボールの練習では前回1.7mだったのが今回は2.3mになってますね。」
なるほど、練習でも結果を数値化するとこういう形で評価できるのかと感心した。
「この数値が沢田さんの自信の表れということですね。」その後もいくつかアドバイスをしてもらいながら練習を
続けた。帰り際、西垣プロからアプローチにしろバンカーショットにしろ勇気を持って打つようアドバイスされた。
俺は“勇気”という言葉を心に刻み、練習場を後にした。