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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

因果応報

作者: 白雀

初投稿になります。緊張でどうにかなりそうです。

宜しくお願い致します。

「起きて下さい」

「さあ起きて」

穏やかな女性の声が聞こえる。

かつて僕が経験したことの無いような、優しい声音・・

促されるまま、僕は目を開けた。


途端に激しい違和感。


身体が何かふわふわして感覚がまるで無い。そして目にした風景が青一色。

まずは自分の両手を見る。


透明だった。


足もあそこも胴体も真っ裸の状態で無色透明。辛うじて視認出来る程度。

なんだこれ・・!

しかも足元に地面が無く、どうやら宙に浮いているようだった。

混乱する頭の中にまたしても女性の声が響く。


「気が付きましたね」

「・・・・」


返事をしようとしたが、声が出ない事に気づいた。なので自分の思いを強く念じてみる。


「これは・・どういう事ですか?僕は一体・・」


自分の声が頭の中に響いた。それに呼応するように女性の声が後に続く。


「単刀直入に申し上げれば、あなたは死にました」

「えええ・・死んだ?僕が?」

「そうです。あなたは今、魂の状態で空に浮いています」

「どうりで青一色・・」

「時間がもったいないので、早速あなたに重要な質問をしていきます。正直に答えて

 ください」


混乱している僕をよそに、女性の声は要件を進めようとしてきた。


「いやいや・・気持ちの整理をしたいんですけど」

「それは私にとって時間の無駄でしかありません」


相変わらずの優しい声で、辛辣な言葉を吐く頭の中の女性。

他に選択肢も無いので、僕は渋々了承した。


「分かりましたよ・・質問をどうぞ」

「あなたは・・転生という概念を知っていますか?」

「知っていますよ・・異世界に転生とかそういうやつですよね」

「では因果応報という概念は?」

「ああ・・悪い事をすれば、それ相応の報いを受けるというやつですね」

「そう。それこそが、これからのあなたの運命」

「運命・・?異世界転生が?」


僕の質問に答えず、女性の声は話を続けた。


「今あなたは、死んだことで意識だけの存在になっています。そして生前の記憶もリセット

 され、無垢な状態にあります」

「そうなんですか・・」

「では質問を続けます。あなたは殺人をどう思いますか?」

「勿論犯罪ですよ。やってはいけない事です」

「自分がもし、その犯罪に巻き込まれて殺されてしまったら、どう思いますか?」

「悔しいでしょうね」

「殺した相手を憎みますか?」

「当然そうなるでしょう」


極々当たり前の話だ。一般常識と言っていい。何でこんな質問をするのだろうか。

異世界転生が運命なら、その設定とかスキルの説明が重要だと思うのだが。

すると女性の声が、いきなり無機質になった。怒りとも取れる声音で言ったのだ。


「あなたは生前、その殺人を犯したのです」

「え?」

「3人ものいたいけな少女を残忍に殺しました」

「そんな・・嘘ですよね?」

「そしてあなたは上手く逃げおおせ、幸せな生活を送って安らかな老後を迎えます」

「・・・・」

「最後は老衰で苦しむ事なく死にました」

「ということは・・地獄へ・・?」


恐怖が僕の心を支配した。

自分のしてしまった事は全く覚えていないが、女性の声が嘘をつく理由などない。

何より自分は全く無力な存在であり、運命を受け入れる以外に道はないのだ。


「いえ・・あなたはこれから転生し生まれ変わります」

「そ・・そうなんですか・・では相当なペナルティのある異世界に・・」


僕は無意識のうちに、異世界転生ものの話をしている自分に気が付いた。女性の話が本当なら

僕は相当歳を重ねて死んでいる。人生のいつ頃の事かは分からないが、魂に刻み込まれる程に

好きだったのだろう。


「異世界・・?さっきからあなたは何を言っているのですか?」

「いや・・異世界のファンタジー世界に転生して、特殊なスキルや職業で成り上がりを・・」

「いえ・・あなたが転生するのは過去の世界です」

「過去?」

「そして3回」

「3回って・・?」


女性の声は突如威厳に満ちた声音で、僕に宣言した。


「あなたはこれから、自分が殺した3人の少女に順番に生まれ変わるのです。そしてその少女達

 の人生を追体験する」

「と・・いうことは・・」

「そう。最期は自分に殺されるということです。その悔しさや怒りを思い知りなさい」

「そ・・そんな・・」

「そう。転生する前に、あなたの意識へ恐怖と後悔を植え付けてやりたかったのです。あなたの

 ような外道が幸せな老後?老衰で穏やかな死?そんな事は決して許されない」

「あああ・・あああああああ!!」

「これが因果応報というものです。ではさようなら」


そして僕の意識は途切れた。


読んで頂きありがとうございました。

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