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黄昏と丑三つ時  作者: 浩幹
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ハロウィン(前編)

如月高校の学祭の後の話。

「…誰が誰や?」

夜の6時に集まれって言われて5時30分くらいに誠介ん家に行った俺は、ドアを開けるなり思わず言ってしまった。

「おー。」

「やっと来たか。おせーぞ!」

うん、誠介と俊太は分かったわ。あと集合時間までまだ30分もあるんやけど。

「鳥本は?」

「はーい!」

「尾鳥。」

「…。」

無言で手をあげられた。いや分かるからええけどな。

「んじゃ、邦海の仮装終わったら行くか。」

「んじゃ、それまでゲームしてるぜ。」

今日は10月31日、ハロウィン。俺達5人は、仮装をして遊びに行こうって事になった。誠介はドラキュラ、俊太は狼男、鳥本と尾鳥は魔女になってた。みんな似合ってるな。

「で、俺は何になるんだ?」

「いろいろと考えてたんだけどね?」

「やっぱり邦海は女装かなーって。」

「…。」

暫く誠介を睨んでいた。マジで許すまじ。




「はい!完成。」

「ツインテールも案外似合うもんだね。」

「お、出来たか?」

ずっとスマホゲームに没頭してた俊太がこっちを向いた。あ、ヤバイ。

案の定、俊太はこっちに来ると、頭をなでなでしてきた。「可愛いな~、可愛いな~。」って言いながら。だから俺はそういわれると恥ずかしいんやって!

「…。」

誠介が無言で写真を撮っている。何する気や。

「よし、行こっか!」

「よもぎはテンションが高いね~。」

「多分、鳥本が低いだけだな。」

「そんなことないよー。私はただただマイペースなだけ。」

うん、相当なな。

さて、ミドルチョーカーを付けて出発しますか。




「いやー。広い!」

「やっぱ弥生は広いのが何よりの取り柄だよな。」

俺達は、弥生ショッピングモールに来ていた。ここにあるカフェで色々と食べようって話になっていた。



「やっぱりさー。チョコパフェだよねー。」

「いやー。私はバニラが乗ってるやつだなー。」

カフェに入るなり、いや正確にはショッピングモールに入ってから尾鳥と鳥本は何を食べるか話し合ってた。

「…俺たちどうする?」

「コーヒーで。」

「うちはコーラーやな。」

「じゃ、俺もコーヒーで。」

最近よく思うことがあるんや…。

「何でみんな選択肢にコーラー入ってても頼まへんの?あんなに上手いのに。」

「…俺そこまでコーラー愛してないからなぁ。」

スマホをいじってた誠介が呟いた。

「!?」

どうやら心の声が漏れていたようだ。

「お待たせいたしました。コーヒーが2つとコーラーが1つ、チョコパフェが1つ、バニラケーキが1つです。」

「「来たー!」」

女子が深夜テンションや。まだ7時なってないけど。

「おいしいー。」

「最高!」

「可愛い…。」

俊太は鳥本を眺めながら言った。

「森は相変わらずだな。」

「一条…。ま、事実だしいっか。」

誠介はコーヒーに砂糖を大量に入れていた。いやどんだけ入れるんや…。

「そういや、ハロウィンと言えばさ。」

俊太が急に話を切り出した。

「去年あたりからレイドフォーズ病っていうのが流行っているらしいぜ。」

「レイドフォーズ病?」

「何それ、どんな症状?」

既に半分近くまで食べ終えていた鳥本と尾鳥は、身を乗り出して聞いた。

「あ、え、えっとだな…。とりあえず落ち着いてくれ。」

俊太は両手を前に出しながら言った。

そして、わざとらしい咳ばらいを一つすると、話し始めた。

「ハロウィンで仮装した人の3分の1がかかる病気らしい。てかそもそも病気なのか怪しいんだけどな。」

ツッコミどころ満載の病気やな。

「それで、かかった人は各々の悩み?によって魔女とか狼男とかに本当になってしまうらしい。」

やっぱりツッコミどころ満載やな。

「発病時間?が、ハロウィンの日の午後11時から次の日の午前3時の4時間らしい。」

マジでツッコミどころm(以下略)

「本当だったら怖いな。」

「対策とか無いの?」

「一番の対策は仮装しない事だろうな。」

俺達はもう無理やな。

「今日は誰かと一緒に寝よ…。」

尾鳥が呟いた。

「…わりぃ。何かしんみりしちゃったな。」

「んじゃ、その雰囲気を壊すためにもそろそろはしゃぎまわりますか~。」

「せやな。」


俺達はショッピングモールを出て、歩行者天国の所や、商店街など色々と歩き回った。

結構疲れた。多分みんなも同じやったと思うで。


 ☆★


「じゃーねー。」

「ばいばい~。」

現在9時。俺達は学校で別れ、それぞれ家に帰っていった。まあ、俺は誠介ん家に、鳥本は俊太ん家に行ったから何人かは自分の家ではないけどな。

「にしてもレイドフォーズ病かー。」

「ちょっと怖いよな。」

「まあ、無いとは思うけどな。」

「な。あまりにも非科学的というか。」

「でも確か、研究者が本気で調べてるらしいけどな。」

「ホンマにあるんか、その研究者がおかしいんか…。」

学校から徒歩10分の所にある誠介ん家にはすぐ着いた。



「俺もう寝るんだけど…邦海はどうする?」

「俺も寝る!」

風呂に入った後暫くテレビゲームをしていた2人は、もう寝ることにした。

「んじゃ、俺はソファで寝r」

「俺と一緒に寝るぞ。」

毎回そうなんよな。誠介の思考回路が気になる。

「分かったよ…。てかなんでいっつも俺と一緒に寝たがるんや?」

「秘密~。」

教えろや。

「邦海のクジラ可愛い。」

話をそらすな。いくら俺のTシャツに可愛いクジラが印刷されているとはいえ…。

「ほら。入れ。」

いつの間にかベットに入っていた誠介はふとんを半分開けて手招きしてきた。お前は俺の父親か。

「お休み~。」

「おやすみ。」

疲れてたんやろう。5分後に寝てしまった。


☆★


…喉乾いた。しかもかなり。

「うぅ…。」

麦茶のみに行くか。

そう思って、俺は誠介を起こさないようにキッチンに向かった。そして、冷蔵庫から麦茶を取ろうとした。

「痛って…。」

しまった。手前にあった袋で指を切ってしまった。結構深く切ったようだ。血が沢山出てきた。

「救急箱、救急箱…。」

そう言いながらリビングに行った。そして絆創膏を張ろうとしたら。

「あれ?」

いつの間にか切れたところをなめていた。しかも、

「血ってこんなに甘かったっけ…。」

すんごく甘かった。癖になる味というか…。少なくともいつもの血の味ではない。

「…味覚おかしなってる?」

暫く呆然としていたが、とりあえず傷口を洗い流すことを忘れていたのを思い出した。必要ないかもしれないけど、念の為。

「は…?」

洗面台に来た俺は、鏡を見てまたまた呆然とした。

「目…赤っ。それに、え、き、牙?」

鏡に自分の姿が写っている以外、見た目は吸血鬼と大差なかった。

「~っ!」

焦った俺は、慌ててベットに戻った。しばらく考えていたが、その内ぼんやりとしてきて、何も考えられなくなってきていた。

「あ…れ…。」

体が勝手に動く。

どう考えてもおかしい。てかそもそも思考が停止しとる。

俺は気づいたら誠介の上に乗って、血を飲んでいた。誠介の、血を。

「ん…う…。ふぁ…。」

誠介が起きた。しかし暫く動かなかった。

「え…え、は!?」

自分の身に起きている状況を理解したのか、誠介は慌てて起き上がり、俺を引き離した。

「え、邦海。お前、まさか…。」

そのまさかだよ。

「な…あれって本当にあったのかよ。」

それな。俺もないと思っとった。

「大丈夫か…?」

いや自分の心配しーや。

「…。」

俺が何も言わないからだろうか。誠介も黙ってしまった。

そして何を思ったのか、俺に抱き着いてきた。

「!」

「…何があったのか知らねぇけど、気が済むまで吸っとけ。」

そういうと、誠介は目をつむり、かすかに首を傾けた。覚悟は出来ている、と言いたげだ。

「…。」

俺は少し迷ったが、甘えることにした。もっとも、体は考えるよりも早く首筋に向かっていたが。

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