#EX 言ってはいけない一言
こちらは最強宇宙船2巻のゲーマーズ様特典SSです。
うん、またなんだ。このラノの投票お願いしまっす!_(:3」∠)_
これは2巻の特典なので、時間軸としてはエルマ加入後、歌う水晶を対艦反応魚雷でぶちこむ前くらいの話ですね。
基本、僕は特典SSを書く時には前巻くらいの時間軸で書くようにしています。
「ヒロ様とエルマさんって、どっちが強いんですか?」
アレイン星系を目指して旅をしているある日、ミミがそんなことを言い出した。
「……条件によるんじゃないか?」
俺は途轍もなく嫌な予感がしたので、その質問に対する答えをはぐらかすことにした。以前に傭兵ギルドのシミュレータールームで図らずもエルマに実力を見せつけた際、彼女は俺への対抗心を剥き出しにしたのだ。既に俺の実力を見せつけた今であれば違う反応を示すかも知れないが……。
「……条件によっては負けるけど、基本的に自分の方が強いとでも言いたげね?」
エルマがにっこりと笑みを浮かべながら獰猛な気配を漂わせ始める。
「ほらぁやっぱりこうなった! ミミーッ!」
「えっ、あっ、あうっ……す、すみません」
どのように答えてもミミの口からあのような言葉が紡がれてしまった時点でこの展開は避けられなかった気がする。俺のほうが強いと言えば当然エルマは反発しただろうし、逆に俺の方が弱いと言えばそれはそれで怒っただろう。どうしろというのだ。
「落ち着けエルマ。生身の格闘戦ではエルマに勝てる気がしないのは本当だし、船での戦いに関しても互いに同じ船で戦うとなったらどうなるか俺にもわからないと本気でそう思ってるんだ」
「ふぅん……?」
エルマがエルフ耳をピコピコと動かしながら俺の顔色を探るかのような視線を向けてくる。あの耳は嬉しい時にもピコピコと動くが、疑っている時にもピコピコと動くんだ。俺は知っているぞ。
「やっぱりここははっきりさせるべきね」
「何をでございましょうか」
「私とヒロ、果たして本当はどっちが強いのかをよ!」
ババーン、とでも効果音でも付きそうなキメ顔でそう宣言するエルマ。
「あ、うん。エルマの方が強いよ。うん」
「ちょっと! それで納得すると思うの!?」
「どっちが強くてもいいじゃんかよー、エルマと俺が戦うことなんてありえないんだからさー」
エルマが俺の胸ぐらを掴んでガクガクと揺さぶってくるが、俺は抵抗もせずなすがままである。
「そんなこと言いながらあんた、格闘戦以外では私に負けないって思ってるでしょ?」
「……」
エルマの言葉に俺は沈黙した。実際のところ、生身での格闘戦以外で俺がエルマに負けるとは思っていない。生身での射撃戦であれば俺に分があると思っているし、船での戦いに関しても船の性能が同等以上であるならば負けることはないだろうとも考えている。
「どうなのよ!?」
「ソナコトナイヨー」
「白々しいわ! あったまきた! 勝負よ!」
「えー……」
接待プレイなどをしてそれがバレたりしたらそれはもう烈火の如く怒るに違いないので、手を抜くことは出来ない。そうすれば順当に俺が勝つだろう。当然、エルマの機嫌は悪くなるに違いない。正直言って、俺にまったく得がない。
「どうしてそんなにやる気が無いのよ!?」
「だって俺に得がないじゃないか」
「得があればいいのね? じゃあ負けた方は一日の間なんでも言うことを聞くってことにしましょう」
「ん? 今なんでもって言った?」
「そうよ。でも命に関わるようなこととか、お金に関することとかはダメよ。その辺りのジャッジはミミがしなさい」
「えぇ……」
突然大役を押し付けられたミミが困惑の声を上げる。事の発端は君なんだから、それくらいの苦労は負ってもらおう。
「よーし、それじゃあやるか」
「急にやる気を出したわね」
「エルマが何でも言うことを聞いてくれるって言うから」
「もう勝ったつもり……? そう簡単に勝てると思ったら大間違いよ!」
☆★☆
「さーて、どんなお願いを聞いてもらおうかなぁ」
「くっ……殺せ」
約二時間後。俺の目の前には『私は泣きの一回を三度も繰り返した上に完敗しました』という札を首から下げた哀れなエルフがいた。
容赦? しませんでしたとも。
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