#276 再出撃
ちょっと来客で書く時間があまり取れなくてな……短いけど許して_(:3」∠)_
翌朝、足腰がガタガタになっている姉妹を抱っこしてバスルームへと連れて行き、三人でゆっくりと入ることにした。俺とミミやエルマ、メイが二人で入るとちょっと狭い風呂も、小柄な整備士姉妹であればなんとか三人一緒に入ることが出来る。
「兄さん楽しそうやなぁ」
「そりゃ楽しい。最高だな」
絵面は完全に犯罪的だが、慣れてしまえば――というか一度受け容れてしまえばなんてことはない。二人とも文句なく可愛いし。
「ウィーは今更そんな赤くなってどうすんねん」
「だ、だってぇ……んっ、お兄さんお腹撫でないでぇ……」
「お肌がすべすべで触り心地が良いんだよなぁ」
湯船に浸かり、膝の上に抱っこしているウィスカのお腹を触っているとウィスカがやたらと色っぽい声で抗議してくる。
「兄さんもその辺にしときや……またおっ始めるつもりかいな」
「たまにやるなぁ」
実際、ミミやエルマ、メイと仲良くした翌朝にこうして一緒に風呂に入ってもう一戦なんてのは珍しくもない。
「ただ、流石に昨日の今日でそこまでするほど鬼畜じゃないぞ、俺は」
「その手を止めてから言わんと説得力皆無やぞ。あと、昨晩うちにしたことをよぉく思い出してもろてええかな?」
「際どいところにはタッチしてないからセーフ。昨晩のアレに関してはまぁ……その場の流れで?」
「うちとウィーの扱いに差があったように思うんやけど?」
「つまりティーナは昨日のウィスカみたいな感じにして欲しいと」
「そ、そうは言って――ないこともないけどぉ……」
今度はティーナが顔を赤くしてごにょごにょと言いながら俺から視線を逸らす。なんだこいつ可愛いな。
「あっ……」
俺の膝の上でもじもじしていたウィスカが何かに気がついたような声を出す。いや、ウィスカさん。それはな、ちゃうねん。いや、違わないんやけどな。そんなにもじもじして刺激されると自然とな? そしてティーナもウィスカの反応から察したらしく、顔を赤くしたまま挑発的な笑みを浮かべた。
「昨日は良いだけ兄さんにやられたんやから、次はうちらの番でええよな?」
「おうやろうってのか、かかってこいよ。経験値の違いってのを見せてやるよ」
「その言葉、忘れんなや」
この後滅茶苦茶イチャイチャした。
☆★☆
「で、二人は?」
だいぶゆっくりとしたお風呂タイムを終え、ティーナとウィスカを俺の部屋のベッドに放り込んでから食堂に行くと、エルマにジト目で迎えられた。そんなに見るなよ、照れるだろ。
「今日は一日休んでもらうことにしたぞ」
今日辺り再編成は終わるはずだが、再編成が終わっても即出撃とは行かない。まずは戦力を次の星系に大移動させなきゃならないし、移動させた後にも色々と調整が要る。まぁ行動プランは既に立てているのだろうから、これから向かう先々で既に用意は始まっているのだろうし、そこまで時間はかからないかもしれないが。
何せ単艦で飛び回る身軽な傭兵と違って軍ってのは動きが鈍い。足並みを揃えないと戦力を集めた意味がないから仕方のないことではあるのだが。せっかく百の戦力を集めても、足並みが揃わず一の戦力を百回ぶつけるのでは何の意味もないからな。
何にせよ今日明日くらい整備士姉妹が使い物にならなくなっていても何の問題もない。
「むー……いいなぁ」
「次の休暇でな」
「約束ですよ?」
「私は?」
「時間の許す限り頑張らせていただきます。上手くシェアしてくれ」
今までも大概だったが、これで俺も名実共にハーレム野郎の仲間入りだな。この世界の傭兵の在り方としては正しいのかもしれんけどさ、慣習的に。ついに一線を超えてしまった感が強い。
「シェアね。まぁ良いわ、それで手を打ちましょう。メイに管理してもらえば良いでしょ」
「そうですね、メイさんなら安心です」
エルマの言葉にミミも頷く。メイはいつの間にか女性陣から謎の信頼感を得ているよな。一体俺の知らないところでどんな話を――ああいや、あまり知らないほうが良さそうだな。知らなくても良いことを知ってしまって心にダメージを負いそうだ。
「それで、今日の予定は?」
「何か命令が下るまで待機だが、そろそろ動きがある頃だろ。流石に移動後即星系封鎖、殲滅開始とはいかんだろうが」
「どうかしらね。中佐ならそれくらいやりそうだけど」
「どこまで先だって用意をしているかって話ですよね。確かにセレナ様なら抜け目なく用意をしていそうです」
「そうか? まぁそうかもな」
彼女はあの若さで帝国航宙軍の中佐まで昇りつめている女傑だ。迅速に宙賊どもを駆逐できるよう先を見越して艦隊の運用計画を練っていてもおかしくはないか。
「何にせよ俺達にできることは待機だな。勝手に出撃するわけにもいかんし」
「それもそうね。ま、今日のところはあの二人に譲ってあげるわ。お世話して上げなさいな」
「そうですね。何かあったら呼びますから、ごゆっくりどうぞ!」
「ごゆっくりと言われるのもなんかなぁ……まぁうん、お言葉に甘えて二人をケアしてくるよ」
二人とも朝食を取っていないはずなので、腹ペコの筈である。とりあえずまた二人とも動けなくなってしまったので、今日は一日二人の世話を焼くとしようか。
え? 宙賊とのドンパチの最中だってのにこんなにのんびりしてて良いのかって? 命の危機を感じる状況だからこそ日常を大事にしないとな。平和で充実した生活は健やかな精神を保つための大事な要素だよ。
☆★☆
帝国航宙軍の次の動きは思ったよりも早かった。朝風呂の件でまた足腰の立たなくなってしまった姉妹を抱っこしてブラックロータスの食堂に連れて行き、食事を終わらせた頃には移動命令が発令されたのだ。まぁ、次の戦場への移動だけならメイに任せていれば良いので俺が何かする必要はないのだが、軍の動きが予想よりも早いとなると、目標の星系に到達次第即時軍事行動に入る可能性もある。となると、俺としてもクリシュナで待機していつでも出られるようにしておかなければならない。
「忙しないなぁ」
「仕方ないよ、お姉ちゃん。でもお兄さん、本当に休んでいて良いんですか?」
「整備は完璧だし問題ないぞ。二人はゆっくりしててくれ」
「タブレットはここにあるから、戦利品の回収とかボットとかドローンの操作もできる。ここにおってもやれることはあるから、そっちこそ気を遣いすぎんでもええで。ティーナちゃんにおまかせや」
「私もね。お兄さん、気をつけて」
そう言ってウィスカが俺に抱きつき、頬にキスをしてくる。俺もウィスカの頬にキスを返しておいた。
「あー、ずっこい。うちもうちもー」
「はいはい。ありがとよ」
騒ぐティーナとも笑いながらハグとキスを交わす。これが漫画やアニメなら死亡フラグになりそうな気もするが、そういうフラグというか展開に関して言えば色々と今更だからな。ま、死なないように精々頑張りますかね。




