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#197 イーグルダイナミクス

頭痛がペインで遅れました(´゜ω゜`)

 帝都の高級レストラン――なんか寿司バーみたいな感じだった――で食事を取り、食事中にメイにイーグルダイナミクスとのアポイントメントを取り付けて貰って、そのままイーグルダイナミクスの帝都支社に向かうことにした。

 イーグルダイナミクスの帝都支社は帝城の軍用区画にほど近い場所に存在しており、かなり立派な構造体を支社としているようだ。


「地下に工場があるそうです」

「ほぉ、ここで製造もしているのか」


 イーグルダイナミクスの構造体の前に降り立った俺は構造体を見上げる。うん、デカいな。構造体の入り口には警備用の戦闘ボットが待機しており、構造体の前に設けられている広場には大小様々な戦闘ボットが展示されている。


「わぁ、沢山ありますね! どれも強そうです!」

「そうですね。普段はあまり見ないものばかりなので興味深いです」


 ミミとクリスが展示されている戦闘ボットを仲良く眺めている姿に目を細めながら、俺も展示されている戦闘ボットを観察する。


「大型のはいらないわよね?」

「そうだな、基本はブラックロータスに移乗攻撃を仕掛けてきた宙賊に対抗するためのものだし」

「或いはその逆に移乗攻撃を仕掛けるためのものよね」

「そういうこった」


 そうなると、軽自動車からトラックほどのサイズもある大型の戦闘ボットは選択肢から外れる。軽自動車程度の大きさのものならブラックロータスの主通路は移動できるだろうが、やはり展開に難があるので今ひとつだな。格納庫やカーゴスペースになら展開できると思うけど。


「小型か中型だが……」

「クリスちゃん、これ可愛くないですか?」

「たしかに可愛いです」


 そう言ってミミとクリスがしゃがみこんで見ているのは小型タイプの戦闘ボットの中でも標準的な大きさのものだ。小型犬くらいの大きさのもので、耐久力は低いが殺傷能力十分なレーザーガンを装備している。仕様によっては敵に突撃して自爆するようなのもいる。割と厄介なタイプの戦闘ボットである。


「うーん、特化させるか汎用性を取るかやな」

「特化させたほうが性能は高くなるけど、汎用性の高い機種も捨てがたいよね。あ、お姉ちゃん。これ面白いよ」

「ほーん、モジュール換装タイプか」


 ティーナとウィスカは中型の戦闘ボットを中心に見て回っているようだ。やっぱり導入するならこの辺だよなぁ。中型と呼ばれるのは概ね大型犬サイズから大型二輪車程度の大きさだ。人型なら2.5m弱くらいまでかな。


「やっぱり人型に近いほうが売れ筋なのかね?」

「どうなのかしらね。私は人型に拘る必要はないと思うけど」

「ふぅむ、それもそうか……?」


 確かに無駄に背を高くしてもな。見た目はヒロイックになるが、実際には四足歩行獣の背中に火器を搭載したようなタイプの方が合理的なんじゃないかと思う。


「でも室内戦というか白兵戦の場合は自由に動き回れるスペースもないし、二足とか四足とかの形状よりもシールドとか耐久性とか火力を重視したほうが良いんじゃないかな」

「それは確かにそうかも知れないわね」


 エルマが頷き、中型重戦闘ボットの展示スペースへと移動する。この辺りの製品は機動性は今一つだが、装甲が頑丈だったりシールドの展開機能を持っていたりする機種のようだ。火力面もレーザーライフル級の火器を二門とグレネードランチャーを装備していたりしてなかなかに充実している。


「狙い目はこの辺りかね?」

「あまり鈍重過ぎるのもどうかと思うわよ。展開が間に合わなかったら意味無いんだから」

「それもそうだな」


 と、話しているうちにスーツを着たイーグルダイナミクス社の社員らしき人達が俺とエルマの所へと歩いてきた。ミミとクリスも同行しているようだ。


「アポイントメントをお取りになられていたキャプテン・ヒロ様ですね? 私、イーグルダイナミクスのピジョーと申します」

「これはどうもご丁寧に。キャプテン・ヒロです。こちらはクルーのエルマ」

「はい、ミミ様とクリスティーナ様より伺っております。お会いできて光栄です」


 ピジョーと名乗った中年男性はサラリーマンの割には妙に体格の良い中年男性であった。それなりの格好をさせれば軍人とか傭兵と名乗っても違和感が無さそうな人だ。


「よろしければあちらの社屋へ。最新機種なども併せてニーズに沿ったご提案をさせていただきます」

「そうさせてもらおうか。ティーナ! ウィスカ! 中に入るぞ!」


 整備士姉妹を呼び、ピジョーの案内でイーグルダイナミクスの社屋へと向かう。そんな俺達の後ろをメイがしずしずとついてくるのだが、イーグルダイナミクスに着いてから彼女はずっと無言だ。


「メイも意見を出してくれると嬉しいんだが」

「……承知致しました」


 何か躊躇うような気配があったのが気になるが、メイの表情はいつも通りだ。俺は内心首を傾げながらもピジョーの後を追って社屋へと足を踏み入れるのだった。


 ☆★☆


 イーグルダイナミクスではまさに下にも置かない歓迎を受けることになった。これがセレナ中佐からの紹介状の効果なのか、それとも伯爵令嬢や子爵令嬢であるクリスやエルマが同行している効果なのか、あるいはゴールドスター受勲者にしてプラチナランカーである俺に対してのものなのかはようとして知れないが、まぁ良い待遇を受けて嫌な気持ちになることはないよな。


「めっちゃVIP待遇やん」

「私達まで良いんでしょうか……?」

「そのうち慣れますよ」


 落ち着かない様子のティーナとウィスカをミミが菩薩のように穏やかな表情で宥めている。いや、それは宥めているのか……? どちらかというと諭していると表現した方が正確かもしれない。


「今回は当社の軍用戦闘ボットをご購入頂けるとか」

「ああ、そのつもりだ。整備システムも含めて一通り購入しようと思っている」

「それはそれは……当社は帝国航宙軍への納入実績も豊富です。きっとご満足頂けるかと思います」


 ピジョーが満面の笑みを浮かべながら揉み手で何度も頷く。わかりやす過ぎる程にわかりやすい態度に若干不安を覚えるが、まぁホールズ侯爵家からの紹介状を持ってきた俺に対して阿漕な真似はしないだろう。そんなことをしたらホールズ侯爵家の顔を潰すことになるからな。


「外では様々な機種をご覧頂いたようですが、どのような機種のご購入をお考えですか?」

「宙賊の移乗攻撃に対する備えが主だが、こちらから移乗攻撃を仕掛けることも視野に入れている。そうそう無いと思うが、惑星等に不時着した際にも展開できると良いな」

「なるほど、それでは汎用性の高い中型の重戦闘ボットが良さそうですね」

「そうだな、そう考えていた」


 ピジョーの提案に頷く。流石に企業が誇る専門家なだけあって提案にそつがないな。


「中型の重戦闘ボットは一番選択肢が多いですね。整備・換装システムも一緒に導入されるのであれば、一番のおすすめはこのアルケニーです」


 そう言ってピジョーがタブレット端末を操作し、ホロディスプレイにアルケニーという機種の情報を表示する。アルケニーという機種は重厚な四脚タイプの戦闘ボットだった。重厚な脚部の上にはこれまた重厚な感じの上半身が乗っかっており、武器や様々な装備を取り付けることのできる腕型ハードポイントが四つ付いている。バックパックを換装することによって突撃型や防衛型、通信特化型や隠密斥候型など様々なタイプの特殊機能を持たせられるようだ。


「なるほど……カッコいいな」

「かっこええな」

「可愛くはないですね」


 ミミ、流石に重戦闘ボットに可愛さを求めるのはいかがなものかと俺は思うぞ。


「ははは、私達にとっては可愛い子どものようなものですけどね。このアルケニーの軍用タイプは小型ジェネレーターを搭載しているため、無補給でかなり長時間稼働することが可能です。出力にも余裕があるので、装備もかなり自由に選べるようになっています」


 そう言いながらピジョーが様々な装備に換装したアルケニーの姿を表示する。標準的な装備は両腕にレーザーライフル級のレーザーを装備し、サブアームに小型のシールド発生装置を装備したタイプであるようだ。バックパックには小型ミサイルポッドやグレネードランチャーを装備している。


「これが標準仕様の装備ですね。敵の攻撃をサブアームのシールドで防ぎながら正確な射撃で敵を殲滅します。腕部レーザーはスプリットレーザーや実弾武器への換装も可能です。また、バックパックユニットもミサイルランチャーやグレネードランチャーのような攻撃的なものだけでなく、通信装置や対電子戦装備を搭載したコマンダーパック、医療ナノ等の医療装備を搭載したメディックパック、他の機体の応急修理などを行うことが可能なリペアパック、高度な三次元機動を可能とするアサルトパック、光学迷彩などの電子欺瞞装置を搭載したステルスパックなども用意されています」

「なるほど、そうなると機体の数が増えれば増えるほど採れる戦術が広がるわけだ」

「はい。それに非戦闘時はメインアームやサブアームを使用して荷運びなどの軽作業や陣地構築なども行えますし、ペイロードにも余裕があるので行軍時に補給物資を運ばせることも可能です」

「一機辺りの値段はいくらなんだ?」

「標準価格ですと一機7万エネルですね。無論、ホールズ侯爵家からの紹介状もお持ちいただいておりますし、整備・換装システムを含めて複数台購入頂けるということであればお値引きさせて頂きます」

「とりあえず十機と整備・換装システムの導入、それと一通りのオプション装備を揃えていくらになるか値段を出してみてくれ」

「はいよろこんで!」


 ピジョーが満面の笑みを浮かべて計算を始める。他の機種も含めていくつかプレゼンしてもらって、その上で決めるとしよう。まぁ、こういうのは割とプロのおすすめ通りに買ったほうが良かったりするんだよな。たまに売れ残りの不良在庫を押し付けられたりすることもあるから注意が必要だけど。

ツシマはクリアしました_(:3」∠)_(ロケーションは全部埋めた

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― 新着の感想 ―
皆忘れてるっぽいけど、兵器提供の話はどこ行ったん? 兵器提供と戦闘用ロボ?両方貰える話だったやん。
[気になる点] アルケニーってことはタチコマっぽいのかと思ったけどカッコいいなら四脚型ACっぽいのかな
[気になる点] 重力の一定した惑星表面上の建造物ならば人が活動する必要上人型有利な面もあるでしょう。 でも宇宙船内であればはたして? 無重力で真空で有害な放射線やら高熱やら極低温やら人には不都合な環境…
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