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#EX-002 セレナ・ホールズの優雅になるはずだった朝食

今日はお休みの日だから閑話のSSでも。

「んー……よし」


 ホログラムとして投影されている自分の姿をチェックし、身嗜みに問題がないことを確認して頷く。帝国航宙軍の士官たるもの、だらしない姿を部下に見せるわけにはいきません。しかも、私は対宙賊独立艦隊を率いる提督でもあるのですから。尚更だらしない姿は見せられないのです。

 帝国航宙軍少佐としての生活の堅苦しさに息が詰まりそうになることもありますが、悪口と噂話で盛り上がる『淑女のお茶会』にひっきりなしに参加するよりはいくらかマシです。それを思えば武門の家柄であるホールズ侯爵家に生まれて良かったと思います。綺麗なドレスやアクセサリは嫌いじゃありませんけれど、お茶会は苦手ですから。


「はぁ」


 しかし、帝都に帰ってきたからにはそういった場に何度かは足を運ばなければならないでしょうね。もっとも、私はもう五年ほど帝都を離れて軍務に就いていたわけですし、さほどお呼ばれすることもないでしょうけれど。


「おはようございます、少佐」

「お早う、大尉」


 レスタリアスの士官用の食堂に行くと、既にロビットソン大尉が朝食を摂り始めていた。彼は良い副官です。私のような小娘をちゃんと引き立て、艦隊の司令官として敬意を払ってくれるのですから。

 自動調理器から出てきた朝食と紅茶をトレイに載せ、私もテーブルに着く。ぱらぱらと現れる士官達に挨拶をしながら朝食のトーストにマーマレードを塗る。もう少しこの自動調理器はどうにかならないのかしら。紅茶は美味しいけれど、それ以外がなおざり過ぎます。

 士官用の朝食でトーストとマーマレード、ベイクドビーンズ、それに紅茶という内容なら、果たして一般兵用の食堂では何が出てくるのか。折角帝都に来たのですし、全艦の自動調理器入れ替えを申請しておきましょうか。

 なに、昨日までの面倒な手続きと申請に比べれば何ほどのこともありません。謁見やセレモニー関係の申請に比べれば些事のようなものです。


「ようやく一段落ですね」

「そうですね。後はセレモニーまで少しはのんびりできそうです」


 そう言って私は朝の紅茶を口に運びながら食堂のホロディスプレイに目を向ける。朝のニュースでは帝都のあちこちに植樹されている木が開花の季節を迎えているとか、先日成人の儀を終えられて十年ぶりにマスメディアの前に姿を現されたルシアーダ皇女殿下の――!?


「ぶふっ!?」

「うおっ!? しょ、少佐!?」


 突然紅茶を口から噴き出し、咳き込んだ私を見てロビットソン大尉が驚愕の声を上げます。ですが、今の私はそれどころではありませんでした。ホロディスプレイに映るルシアーダ皇女殿下のご尊顔から目を離せません。だって、その顔はとても見覚えのある顔だったのですから。

 口許を手で拭いながらホロディスプレイから流れてくるニュースを一字一句聞き逃さないように集中します。ああ、なんてこと。こんな特大の厄介事が……やはりキャプテン・ヒロはどこかおかしいのでは無いでしょうか? まさかピンポイントで……い、いや、こんなことを考えている場合ではありません。このままではセレモニーで大騒ぎになることは必至。そうなる前に手を打たなければなりません。


「のんびりは返上です……内務府に連絡を入れなければ!」

「な、内務府!? しょ、少佐、一体……」

「一分一秒でも早く動かないと大変なことになります。大尉、付き合ってもらいますよ」


 まずは事態を把握していない大尉に事情を説明して、それから資料を集めて内務府に連絡を取って――ああ、頭と胃が痛くなりそうです。

 おのれ、キャプテン・ヒロ……この件は高い貸しにしてやりますからね。

だいたい店頭特典のSSはこれくらいの文量ですね_(:3」∠)_

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― 新着の感想 ―
気づいたお前が悪いのだよ(褒めてます
いや貸し返してるだけじゃね?
[気になる点] 〉自動調理器から出てきた朝食と紅茶をトレイに載せ、私もテーブルに着く。ぱらぱらと現れる士官達に挨拶をしながら朝食のトーストにマーマレードを塗る。もう少しこの自動調理器はどうにかならない…
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