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俺、ぷにお。


 ーーードラゴンって、何?


 そう言われた時、俺が思い浮かべるのと似たような事を、皆思い浮かべると思う。


 蛇のようににょろにょろしてるヤツか、翼が生えたトカゲに似たものだ。

 そして強い。

 もしくは、ちょっと強い雑魚キャラかな。


 本当に強い奴らになると、邪悪だったり神聖だったりするよね。


 他にも、お姫様を狙う魔王だったり、あるいは勇者を守護する神様だとかいう設定もあるし。

 金銀財宝を溜め込んでたり、あるいはすっげー賢かったりもする。


 でもまぁ、ドラゴンって言われたら、とりあえず強大というか、そういうものを想像しないか?


 俺も、実際そうだった。


 ドラゴンが好きで、家ではよく、モンスター図鑑のドラゴンを眺めたり、なろうでドラゴン系の小説を漁ったりした。


 ああ、だからって陰キャラだとかって誤解しないでほしい。


 俺は友だちは少なかったが、ぼっちというほどでもなかった。

 休みの日に友だちと遊ぶこととかなかったけど。


 家族と仲が悪くもない。

 弟を含めてそもそも喋らないのに、仲が悪くなりようがないしな。


 顔が悪い訳でもなかった。

 トカゲっぽくて何考えてるか分からない、とか、不気味、とかクラスの女子にディスられたりはしたが。


 まぁ、は虫類系イケメンとかもこの世にはいるし、聞こえよがしにそう言っていた女子と話した事はないので、多分照れ隠しかなんかだったんだろう。


 スポーツも苦手じゃない。

 小学校の野球クラブでは万年補欠で、中学からは運動部どころか部活に入った事もないけど。


 決して勉強が出来なかった訳でもない。

 中の下くらいの高校で、数学の実力テストは下から2番目だったりはしたが、国語はトップだった。


 総合点は真ん中より少し下くらいに落ち着く感じだ。

 真ん中じゃない理由? バカヤロウ、英語も苦手だからに決まってんだろ!


 おっと、話が逸れた。


 とにかく、ドラゴンは強くてカッコいい、そういうもんだ。


 決して……いいか、決して、だ!


 例えば、ドラゴンって名前なのに、村人の女の子に愛でられるほど愛くるしい外見をしていて。


 猫に遊ばれるほど弱くて。


 知性が俺そのもので。


 鱗っぽい皮膚がふんわりとした毛皮に覆われていて、触るとなんか自分でもぷにぷにして気持ち良かったりだとか。


 ドラゴンに限って、そういう事は絶対にない筈なんだよ!!


 なのに……。


「ぷにおー? ぷにおー、どこー?」

「ぷに!?」


 おっと、ご主人さまが、また一人で外に出て来てしまった。

 慌てて近付いていくと、俺のご主人さまは満面の笑みを浮かべてくれた。

 とってもかわいらしい二歳の女の子だ。


 この子は中々オムツが取れなくて、二歳になる前にようやく取れた。

 それを、お父さんお母さんと一緒に喜んだのはいい思い出だ。


 真ん丸の大きな緑のお目めに、淡い茶色の髪でクルクルくせ毛の、シーラちゃん。

 俺の中の愛称はシーたんだ。


 ……ちなみに一応言っておくと、ぷにお、というのが俺の名前だ。


 ぷにっと鳴くドラゴンとしての、俺の名前である!


 もふもふプニプニで、超ザコい、そんなドラゴンである俺の名前だ!

 大事な事なので三回言った。


 シーたんの両親は基本的に優しいお父さんお母さんだが、そのネーミングセンスにだけは文句を言いたい。


 俺は口がきけないので、文句を言う方法もないが。

 ぷにぷに鳴いて抗議しても、可愛いとしか言われないし。


 クッ……俺は精神年齢は現代で言えば17歳だったから、今は20くらい、つまりオトナの男だ。

 可愛いと言われるのは、ものすごい屈辱であると言っておこう!!


 だがプニプニのお陰で、村の女の子たちには抱っこされたい放題で、その子らの様々にふくよかな感触を享受している。

 でもまぁ、それは役得というか?


 ……なんだよ、そんな目で見んなよ。

 いいか、いくらその感触を楽しんだところで、俺はあの子達と付き合える訳じゃねーんだぞ!?


 ああ、また話が逸れた。


 とりあえずシーたんの手を引いてを村の表通りからおうちの中に連れ戻した俺は、ちょっとのんびり屋さんのお母さんにそれを知らせた。

 全く、俺がいなかったらどうするつもりなんだという抗議を込めて、俺はぷにっ! と鳴いたが。


「あらあら、ぷにちゃんありがとう〜」


 超美人で、ほんわかしたお母さんはいつものように、そうお礼を言ってビスケットを一つくれた。


 この、あーん、の瞬間が俺の至福だ。

 お母さんの指は、結構ひんやりしている。


 何で知ってるって?

 いやいや、わざと舐めてる訳じゃないぞ。


 たまにお母さんが目測を誤って、口の中に突っ込まれるんだ。

 全く、お茶目さんである。


 さて、どうでも良い話はこの辺にして、俺がドラゴンに転生した理由だが。


 実は知らん。


 トラックに跳ねられただの、病気で死んだだの、召喚されただの、転生の秘術を使っただの、そんな事は一切ない!!


 寝て起きたら卵から孵りました。

 名前はぷにおです。


 そんな感じだ。


 つー事で、特に何もなくのんびり平和な暮らしに三年ですっかり馴染んだ俺は、シーたんのお世話をしながら平和に暮らしているのだった。

 

【後書き】

ぷにぷにボディ:触ると気持ちいいので女の子にモテモテ。


ネコに遊ばれても、ぷにっと弾力で跳ね返すのでケガはしない。



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